ヘタリア大帝国
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
TURN127 アルプス要塞その五
「私のいない間よくドクツを守ってくれた」
「は、はい」
ヒムラーは最早愕然として言葉がなくなっていた、呆然自失となっている。
だがそれでもだ、何とかレーティアに応えたのである。
「総統が生きておられて何よりです」
「では私は今からベルリンに戻る」
「そうしてですね」
「御前は副総統だ、これまで通り頼む」
レーティアはヒムラーの素顔を知らない、それで信頼する部下として言ったのである。
「ではな」
「わかりました、では」
ヒムラーは蒼白になりながらも何とか応えていく、そしてだった。
レーティアにだ、こう言った。
「ベルリンにある軍を武装解除してきます」
「そうしてくれるか」
「どうぞアルプスにお入り下さい」
アルプスは明け渡す、それしかないことはすぐにわかった。ヒムラーの政治的直感は今も健在だったのだ。
「是非共」
「うむ、ではな」
「それでは私は」
そそくさとした感じでだ、ヒムラーは言う。
「先にベルリンに向かいますので」
「武装解除だな」
「ではベルリンで」
「また会おう」
このやり取りはごく普通のものだった、ヒムラーは司令部を後にした。その彼に表の側近達が満面の笑顔で言ってくる。
「副総統、よかったですね」
「総統が戻ってこられます」
「副総統の今までの苦労も報われますね」
「ドクツを守ってきたことが」
「うん、そうだね」
何とか表の顔を保ってだ、ヒムラーも応える。
「それじゃあね」
「はい、それではですね」
「ベルリンに行かれますね」
「君達は総統をお迎えするんだ」
こう彼等に告げるのだった。
「いいね」
「はい、わかりました」
「それでは」
「うん、それじゃあね」
ヒムラーは彼等に応対してそうしてだった、そのうえで。
司令部をすぐに去る、ベルリンに向かう船の中で裏の部下達に言う。その顔は信じられないといったものだった。
「一体どういうことなんだ?」
「はい、我々もです」
「この事態は想定していませんでした」
「まさかレーティア=アドルフ総統が生きているとは」
「想像もしていませんでした」
「俺もだ、生きているなんて」
今も信じられないという顔のヒムラーだった、船の中でもそうである。
「こんなことは」
「法皇、それでどうされますか」
「この状況は」
「もうドクツは完全にあの娘のものに戻りました」
「一体どうすればいいのでしょうか」
「これからは」
「いや、諦めないさ」
ヒムラーは歯噛みしながらもだ、こう言うのだった。
「ここまできたんだからね」
「では、ですね」
「ベルリンに戻ると」
「サラマンダーはあるよな」
「はい、移動させています」
「ベルリンに」
レーティアが戻って来た混乱の中でだ、これだけはそうしたのだ。
「今こちらに戻って来ています」
「そうしていますので」
「そうか、それとあの機械の軍勢とサラマンダーと」
そしてだった。
「ヴァージニアだったね」
「あれも使ってですね」
「何としても」
「戦ってそして勝つ」
絶対にだというのだ、ヒムラーもここで退く訳にはいかなかった。
ページ上へ戻る