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MS Operative Theory

作者:ユリス
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軍編制
  クロスボーン・バンガードの編制➂

——偵察戦隊の先制攻撃と戦隊突入による各個撃破——

 前項でも語ったが、CVは連邦軍と比較して小規模な戦力しか持たなかったためか(建国戦争の緒戦、フロンティアⅣ襲撃時のCV機と連邦軍機のキル・レシオは1:4を上回ると言われるが、総力戦となればCVに勝ち目はない)、偵察行動による情報収集と、即座にそれを解析し戦術に織り込む戦闘方法を重視していた。

 具体的には、まずXM-03(エビル・S)の無人ポッドを先行投入し、敵艦の位置や港湾施設などの情報を入手。それをリアルタイムでトレースしながら偵察戦隊が目標に接近し、強行偵察を兼ねた攻撃を行う(この時、偵察情報はリンクする見方機や艦隊にも送られていると思われる)。

ターゲットは駐留艦や司令/監視施設などで、この段階で敵部隊の組織的抵抗力を奪うのが最大の目的となる。情報が最大の武器となることは不変の事実であるが、CVは宇宙世紀の軍事組織の中でも偵察行動を特に重視しており、それが偵察用MSの広域配備に繋がっているようだ(情報とその分析が絶対的な意味を持つ企業=ブッホ・コンツェルンを母体とするCVならではの携行といえよう)。

 偵察戦隊の情報収集及び重要ポイントへの攻撃の後、戦闘大隊が侵攻する。命令系統を破壊され混乱に陥った敵軍の掃討と、コロニーなどの制圧が目的となる(ブラック・バンガードことザビーネ隊などのような独立性の高い部隊では独自に偵察MSを装備しており、部隊単体で偵察戦隊と戦闘大隊に機能を併せ持っていた)。

 MSがビーム・フラッグを立てて悠々と侵攻できるのは、コスモ貴族主義者としての誇りだけでなく、偵察戦隊の働きによるところが大きいのだ。戦闘大隊は、コロニーの港湾や地下エリアなど遊撃兵を作りやすい場所では小隊単位に部隊を分割しつつ、敵部隊との戦闘を行う。CVの敵は連邦軍だが、装備や練度の差から1対1ではCVが有利だった。

 そのため、建国戦争におけるフロンティア・サイド侵攻では隠密性を排した電撃戦が行われた。混乱に陥った敵部隊は、苦し紛れにコロニー内に逃げ込み、市民を巻き込んだ戦闘を行うことも多かったため、敵部隊の迅速な掃討は必要不可欠であった。

 コロニー内戦闘においては、CVは特に細心の注意を払っていた。CVは、フロンティア・サイドに新興国家コスモ・バビロニアを建国するためにも、市民とコロニーに無用な被害を与える訳にはいかなかったのだ。

 そのためCVのMS部隊は、コロニー内戦闘においては流れ弾が発生しやすい射撃戦ではなく格闘戦を重視し、MSの誘爆を招きにくいショット・ランサーなどを多用。

 また、MSの走行や着地などでコロニーの地面を傷つけないように、MSの足部にゴム製のカバーを付けるなど、その配慮は徹底していた(しかし、これは「ラフレシア計画」の布石でもあった)。

 このような二段構えの戦術を採ったCVだが、最初の奇襲以降は連邦軍も防御態勢を固めるようになったことと、フロンティア・サイドを占拠したCVが攻められる立場となったため、偵察戦隊は攻撃よりも偵察任務の比重が大きくなり(直接戦闘に加わらなくとも、多くの偵察用MSを装備するCVの情報収集能力は連邦軍よりも高かった)、戦闘は戦闘大隊が担う場面が多くなっていった。





補足事項

——木星宇宙輸送船サウザンズ・ジュピター——

 核融合の必須物資であるヘリウム3(中性子数が一つ少ないヘリウムの同位体)は、自然界には極少量しか存在しない。

 人為的に生成することも可能だが費用対効果に問題があるため、木星でのヘリウム採掘と輸送を目的とする木星資源船が就航している。地球圏での核融合発電に使用されるヘリウム3は、ほぼ100%が木星資源船から供給されているため、南極条約で中立性が保証されていた。

 だが、CVは慣例を破って木星資源船サウザンズ・ジュピターを掌握、コスモ・バビロニアへの協力を要請した。だが以外にも、サウザンズ・ジュピターの船長はこれを了承した。
 
 

 
後書き
次回 
リガ・ミリティアとザンスカール帝国の編制
 
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