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MS Operative Theory

作者:ユリス
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軍編制
  クロスボーン・バンガードの編制➁


——クロスボーン・バンガードの構成と組織——

 かつて、サイド3に大きな影響力を持っていたザビ家の経済力や人脈を背景にジオン共和国やジオン公国が成り立っていたように、CVも財政界に確固たる地盤を築いたロナ家、そしてその直轄企業であるブッホ・コンツェルンの力を基に構成された組織であった。

——the Ronahs:ロナ家——

■創始者の理想現実を目指した、有能なる一族

 CVの中枢であるロナ家の歴史は、ブッホ・コンツェルンの創始者シャルンホルスト・ブッホに始まる。

のちに「ビッグ・ブッホ」と呼ばれることになる彼は、十代の頃からスペース・ジャンク回収業を営んでいたが、宇宙環境を考慮せずにジャンクを排出する人々や、既得権益の確保に汲々とする政府機関といった宇宙世紀のありように疑問を感じ、憤った。

 そんな中、ブッホがたどり着いたのが「高潔な魂と実力を兼ね備えた者たちに指導された社会」を理想とし、それによって総体としての人類を永久的に存続させるという「コスモ貴族主義」であった。

 その実現のため、ブッホはU.C.0068に旧欧州の名家ロナ家の家名を買い取ると共に、ブッホ・コンツェルンを成長させ、息子たちを財政界へ送り込むなど、名実ともに勢力を拡大していく。

 U.C.0100を待たずしてブッホはこの世を去ったが、その志は次男マイッツァーらロナ家の人々に受け継がれていくことになる。



——Crossbone Vanguard:クロスボーン・バンガード——

■クロスボーン・バンガードの母体—————ブッホ・コンツェルン

 ロナ家の経済基盤にしてCVの母体であるブッホ・コンツェルンは、U.C.0055、シャルンホルスト・ブッホによって創設された。設立当初の社名はブッホ・ジャンク・インクであり、その名の通りスペース・ジャンクの回収を生業とする「ジャンク屋」であった。

 ジャンク屋は宇宙世紀に必要不可欠な職種だったが、周囲の偏見から社会的地位は必ずしも高くなかった。ブッホ・コンツェルンもそのような偏見に晒された企業の一つであった。

 しかし、創業者ブッホの尽力や、総帥職を引き継いだマイッツァーの手腕によって事業を拡大し、財政界有数の巨大複合組織として発展した。ブッホ・コンツェルンが通常のジャンク回収業者と異なっていたのは、製造業にも手を伸ばしたほか、資源用小惑星確保のためアステロイド・ベルトにまで航行する技術と、それを可能にする従業員が所属していたことであった。

 ブッホはこれらの従業員を育成するために職業学校を創設し、特に優秀な者は連邦軍の士官学校へと送り込んだ。これにより、CVを構成する軍人が育成されたのである。


■クロスボーン・バンガードを支えた戦力—————小型MS

 ブッホ・コンツェルン(特にCVを創設したマイッツァー)は、CVの戦闘力をつかさどる軍人を育成する中、傘下の企業に独自のMSを建造するだけの技術力を養わせていた。

 これを行ったのが、ブッホ・グループの一企業であるブッホ・エアロダイナミックスである。回収したMSのジャンクやアナハイム・エレクトロニクス社との取引から得た技術によってMS建造技術を培い、U.C.0108,07には15m級の作業用MS、デッサ・タイプを完成させる。これを基にCV用第五世代MSが開発されることとなった。



——クロスボーン・バンガードの戦力と部隊編制——

 フロンティア・サイドに駐留する連邦軍を、鎧軸一触に葬り去ったクロスボーン・バンガード。その戦闘力を支えていたものは、練度と指揮の高い兵士たちと高性能MSだった。しかし、それらを効果的に運用するための部隊編制こそが、彼らの戦力の根幹をなすものであった。



——部隊編制——

■MS部隊編制

 CVのMS部隊は、3機のMSで構成される小隊を基本戦闘単位とし、5個小隊=MS15機をもって戦闘大隊となる(コスモ・バビロニア建国戦争時)。大規模な戦闘や地域制圧に投入される大隊に対し、限定的な戦闘や偵察は小隊単体での運用が一般的なようだ。


■艦艇編制

 CVは総司令官・鉄仮面の乗艦で、「ラフレシア計画」の中核艦でもある戦艦ザムス・ガルを旗艦とし、ザムス・ギリ級戦艦とザムス・ジェス級巡洋艦を中心とした艦隊を編成。建国戦争の宇宙船における火力拠点とした。補助艦艇としてザムス・ナーダ級駆逐艦も多数投入させた。



——各大隊の役割——

 建国戦争におけるCVの主力は、一年戦争以降の定石道り、MS部隊である。先頭全般を担当する戦闘大隊(戦隊とも称されるが、同じタイプの艦で組織される海軍用語の「戦隊」とは意味が異なる)と、先行偵察と初期の拠点破壊・制圧を目的とする偵察戦隊に二分される。


■戦闘大隊

 戦闘大隊は、敵部隊との交戦を目的とする主力部隊である。建国戦争では、偵察部隊の侵入を受けて出撃した連邦軍との交戦と、サイドの制圧を行った。


▼ドレル隊

 ドレル・ロナ少尉が率いる戦隊。フロンティアⅣ侵攻時の主力部隊の一つで多大な戦果を挙げたが、フロンティアⅠでは3機撃墜、2機損傷の被害を受けた。

[保有MS] ベルガ・ダラス(隊長機)×1、デナン・ゾン×4、デナン・ゲー×4、機種不明×6


▼ザビーネ隊

 ザビーネ・シャル大尉率いる戦隊で、黒い機体色から「黒の部隊(ブラック・バンガード)」とも呼ばれる。ベラ・ロナの初陣をサポートしたが、8機大破、2機中破の被害を出した。

[保有MS] ベルガ・ギロス(隊長機)×1、デナン・ゾン×6、デナン・ゲー×6、エビル・S×2


■偵察戦隊

 CVの偵察部隊が「偵察戦隊」と呼ばれるのは、偵察だけでなく戦闘大隊侵攻の道を確保するための破壊・制圧活動を行うためである。基本的には3機=1個小隊で構成される。


▼アンナマリー隊

 アンナマリー・ブルージュ指揮下の偵察戦隊。フロンティアⅠの先行偵察に出たが、アンナマリー隊長が連邦軍に寝返るという事態が発生している。

[保有MS] ダギ・イルス(隊長機)×1、エビル・S×2



——クロスボーン・バンガードのMS——

 CV製MSの特徴は射撃・格闘兵器であるショット・ランサーと革新的な防御システムであるビーム・シールドを備えている点にある。また部隊編制にもあるように、偵察用MSや一般用MS、指揮官用MSなど、運用目的に合わせ異なるタイプの機体を開発している点も興味深い。


■指揮官用

 CVは指揮官用として特別な機体を配備した。XM-07(ビギナ・ギナ)やXM-05(ベルガ・ギロス)、XM-04(ベルガ・ダルス)などのMSは、ベルガ・タイプMSと言われ、機体設計に始まり、スラスター推力、ジェネレーター出力などが大幅に強化されている。


■偵察用

 CVは戦場での情報収集と電撃戦を重視しており、XM-06(ダギ・イルス)やXM-03(エビル・S)などの偵察と攻撃を任務とする専用MSが開発された。光学兵器への影響や、被発見率低下のためビーム・シールドは装備しない。


■一般用

 一般用の量産MSというと大量生産品という印象もあるが、XM-01(デナン・ゾン)やXM-02(デナン・ゲー)などのCVの一般用MSは連邦軍のMSを遥かに上回る性能を持っていた。当然、ビーム・シールドも装備している。
 
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