戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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三章
調略結果
「ではお二人の疲れが癒された所で、情報交換と参りましょう」
「美濃調略に関しては、さっき言った通りだよ。尾張の方は何かあった?」
「至って平和と言っても過言ではないでしょう。ただ本日正午より、墨俣近辺で織田家総揃えの演習を行う予定となっています」
「みたいだね。美濃の方にも話が聞こえてたし」
「皆噂してたよね?尾張の弱兵が演習何かしたって強くなれないのに、とか」
「まあ尾張って東海一の弱兵・・・・って言われてるもんね。上方の方とタメを張る位に弱いんじゃないかな」
とか言われてるらしい。まあ本当の事だが、一つだけ訂正するなら俺がいる事をお忘れなくと言いたい所だ。ひよところは、俺分を補給したから大丈夫と言ってたので、演習の準備をさせた。俺はと言うと一度トレミーに戻っていた。副長と部隊長でのミーティングルームにて。一真隊の運営は三人に任しているので、それに一度準備を手伝おうとしたが、分からない事だらけだったのだ。それで一真隊について、俺は一切口を出さないようにした。
「ところで隊長、この後演習があると聞きましたが・・・・」
「まあ本当だ。もしかしたらお前達の活躍が来るかもしれないから、一応準備だけをしておけ。ISは使わないからお前ら男だけで集めた訳だ」
「なるほど。一応確認何ですが装備はどうしましょうか?」
「アサルトライフルで水性のペイント弾を装備。一応特殊警棒を装備。模擬戦なので、殺してはダメだからな」
「了解しました。人数はどうしましょうか?」
「ちょうど鬱憤を晴らしたい者だけにしようと思う。が、そうだな?二十人くらいかな」
「そちらはお任せ下さい。ちょうど鬱憤晴らしたい者が二十人程おりますので、それも墨俣戦で行けなかった者ですが」
ああ、そう言う事かと思って部隊長は解散。劉零は、俺に付き合えと言って射撃場に行った。詩乃を救出した後から撃ってない。しばらく狙撃したらもうすぐ正午になりそうだったので、一応用意させた隊員はアサルトライフルと手榴弾を何発か持たせて格納庫に整列させた。呼ぶかどうかは、俺の指示で動くように全員通信機を付けて待機させた。で、俺はさっきまでいた部屋にしばらくいたら太鼓の音が聞こえた。
「この音は太鼓の音?」
「この調子は、登城せよって事のようですね」
調子って言うのは、太鼓のリズムだったな。何かあったのか?
「たぶんだけど、ひよところの報告を聞くためじゃねえの?」
「恐らくそうでしょう・・・・では私はここで待っていますので」
と言ってから俺とひよところは城に行った。行くのは評定の間だ。
「皆、揃っているか」
「はっ、御前に揃っておりまする」
「デアルカ」
下座にいる皆を見回し、久遠がゆっくりと口を開ける。ちなみに俺は久遠の隣だ。
「先日の稲葉山城制圧をした首謀者であった竹中半兵衛重治を一真が説得及び救出し、我が織田家中に加わった事は皆、知っているであろう。稲葉山城は、現在本来の持ち主である斉藤龍興が起居している・・・・が、先日の事件があった事で、美濃内部は動揺しているとの報せが入った。ここが切所。蝮より受け継いだ譲り状を、現実のものとすべき時が来た」
「しかし殿。美濃は国人衆美濃八千騎と言われ、強き武士が多き国。・・・・対して尾張は東海一の弱兵と薦まれる程、兵の質は悪うございます。果たして・・・・」
「うむ。麦穂の懸念も当然の事であろう。だからこそ我は先日来より美濃内部の調略を進めておる。・・・・一真、報告せい」
「分かった。先程調略をし終えた二人に説明してもらおう。ひよところ、緊張しなくていいから気楽に報告をしろ」
「「はいっ!」」
と俺が気楽になと言った後に調略をした二人が説明をし始めた。
「美濃という国は普通、二つの地方に分けられています。それぞれ西濃、東濃と呼ばれ、そこに根付く勢力も西濃衆、東濃衆と呼ばれています」
「一般に、西濃は畿内に近く、京への道に連なるためか商人多く、多いがために西濃出身の者は利に聡く、聡いがために主家への忠誠が薄いのが特徴です。対して東濃衆は主家への忠誠力が強く、固陋な者が多いために、西濃衆との仲はあまりよろしくありません」
「殿より命じられました我ら一真隊は、西濃衆を中心に調略を進め、程なく、安藤・氏家・稲葉の三氏に内応の約束を取り付ける事に成功しました。このお三方は、元々稲葉山城乗っ取りにも加わっておりましたし、その事で龍興殿との仲も険悪になってましたから結構簡単に落とせました」
「また東濃衆の内、遠山、市橋など、尾張に近い在所の勢力も、内応する手手筈となっております」
ころが言った遠山・市橋は、遠山氏の本拠地・遠山庄と、市橋氏の本拠地・市橋庄の事だったな。と言う事は、美濃斉藤家の柱石らしい。それが揺らいだそうだ。稲葉山城乗っ取りから見て、龍興の人心が離れているようだ。
「はい。今は西美濃三人衆からの上申、と言う形で、兵の移動や城内の備蓄を浪費するように仕向けています」
「愚考ながら、最早稲葉山城は塾れた柿と見て、まず間違いないかと」
「一真はどう思う?」
「俺か?俺もひよやころの言う通りだと思う。もう稲葉山城は内部はボロボロのはず、それに外では美濃の有力豪族がバカにしてると思うし。それに今は龍興の側近が暴走してると思う」
「デアルカ・・・・よし。美濃の事はひとまずおけ。今はこれより行う演習に集中する。各隊は稲葉山城攻略を念頭に励め・・・・開始は一刻後とする。壬月、お前が宰領せい」
「御意。では各々方にお伝えいたす。演習は赤組、白組に分けて行う。赤組は不肖、勝家が指揮を執らせて頂く。白組の指揮は丹羽五郎左。また赤組には佐々、前田を配置。白組には滝川、織斑。以上だ。何か質問はあるか?」
「墨俣近辺で出張ってやるって話ですけど、稲葉山の連中は大丈夫何でしょうね?」
「演習中に横槍ーとかなったら、まずいかもー」
「それを試す思惑もある」
「どう言う事ですー?」
「稲葉山近くで、堂々と演習をする織田の軍勢に対し、手を出すか否かで、稲葉山の士気がある程度見えてくると言う事ですよ、犬子ちゃん」
なるほどーと言った犬子に対してはいいが、もし攻撃してきたらに対しては反撃すると言ってた。という事はガチ装備でやるって事かな?だが、今の連中にはペイント弾だけを用意しろと言ったからどうなんだろうな。
「人数はそれぞれ三千。それぞれ大将がいる本陣を制圧するか、大将の馬印を奪えば勝利とします」
馬印っていうのは、己の存在を明示するため馬側や本陣で掲げた印。トレードマークみたいなもんだ。
「制限時間はー?」
「二刻だ。・・・・それで勝負つかんかったら、勝負がつくまでやるから、覚悟せい」
一刻が確か現代でいうなら二時間だから、二刻だと四時間か。
「質問。一真隊はいいが黒鮫隊についてはどうしたらいい?」
「それは我が答えよう。一応一真隊の中に入れていいが殺してはダメだ。あとどの位までの距離を知りたい」
「それについては心配ない。ペイント弾という弾を使う。ペイント弾とは、当たったらここで言うなら墨が付く事になる。殺傷能力はないから安心しろ、ただし当たったら衝撃はあるかもな。あと使われている塗料には、一般的に水洗い出来るものだ。だから当たったら撃たれた証拠になるから当たったら退場してくれ。それについては了解した。ここの鉄砲とは大きく違う物だとお見せしよう」
「承知した。では各々、良いな?では解散する。すぐに準備に取りかかれ」
「「御意」」
家老が言ったあと解散となった。なぜか知らんが俺は今久遠の屋敷にいる。これからブラック・シャーク隊の打ち合わせをするところだったんだが。まあいいやと思って扉を開けた久遠。
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