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久遠の神話

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第七十九話 次期大統領としてその二

「ネットで色々言っている一部の日本人は気付いていません」
「全くだな」
「はい、全くです。そのうえで」
 しかもだというのだ。
「何もかもわかっていると信じてです」
「色々言っているか」
「彼等は何もわかっていないことすらわかっていません」
 自分自身すらもだというのだ。
「そして強い者につこうという傾向があります」
「強い者にか」
「強い者につけば」
 それだけでだというのだ。
「自分が強いと思えますので」
「力こそ正義か」
「そう考えているからです」
「自分も強い立場になりたいか」
「だからこそネオコンを支持するのでしょう」
 ネオコンが強いからだ、これも彼等がネオコンを好きな理由だというおだ。
「アメリカの力に」
「事大主義か」
 大きい相手になびく、これを事大主義と言う。
「どうもな、それはな」
「領事はそうしたことはお好きではないですか」
「力は正義じゃない」
 領事は不機嫌そうな顔でまずこのことを否定した。
「正義は神にあるものだ」
「そうですね、人に正義があるかといいますと」
「人は弱いものだ」
 領事jは人間自体を弱いものと考えている、そのことを今言葉に出したのである。
「ネオコンもまた、な」
「実際に今弱体化がはじまっていますね」
「あんな思想が長続きする筈がない」
 富裕層、自分達だけのことを考えていき力のみ求める政策はというのだ。
「とてもな」
「私もそう思います、今後もああした思想の持ち主は出るでしょうが」
「ネオコン自体はだな」
「弱体化するでしょう」
 このままだ、そうなるというのだ。
「そlしてやがては」
「消えるか」
「そうなります」
 スペンサーは淡々とした口調で領事に述べた。
「日本のネット利用者の一部は理解しないことですか」
「しかし、彼等はよく他国のことをあれこれ言うな」
「その事大主義だの力こそ正義という考えを」
「しかし自分達はそれか」
 ネオコンに事大しそして力こそ正義だと言うというのだ。
「いざとなれば国際法でも何だと無視しようとしそうだな」
「実際にそうした傾向があります」
「ではあれだな」
「あれとは」
「イソップ童話の犬だな」
 この有名な逸話をここで出すのだった。
「水面に映る犬に対して吠えた」
「そして咥えている肉をその水の中に落としたですね」
「その犬と同じだな」
「そうですね、そのままですね」
 スペンサーは領事の例えにその通りという顔で頷いた、その犬は水面に映る犬他ならぬ自分自身の咥えている肉が大きい様に見えて吠えて脅して奪おうとしたのだ。
 そして吠えた、だがそれは自分自身で咥えていたその肉を水の中に落としてしまったという話なのである。
 その犬とだ、彼等は一緒だというのだ。
「言われてみれば」
「愚かな話だ」
「自分達はその愚かさに気付いていませんが」
「愚か者は自分に気付かない」
 領事は格言めいた言葉も出した。
「自分自身にこそな」
「己を知らない、そして人も知らない」
「それでは何も出来ないな」
「はい、戦争にも勝てません」
 スペンサーは孫子の言葉を出した、敵を知り己を知れば百戦危からずである。 
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