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久遠の神話

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第七十八話 選挙の結果その十二

「これから」
「共和党はこれで終わりではないですか」
「まだまだです」
「そうなのですね」
「政党もまた変わっていくものです」
 万物は流転する、政治も政党もまた然り。
「よく変わる場合もあれば悪く変わる場合もありますが」
「今はですね」
「よく変わるべき時でしょう」
「それはネオコンがいないという意味ですね」
「より広範囲にかつ的確に国益を見て動いていく」
 そうした政党になるべきだというのだ。
「さもないと野党のままです」
「再生は彼等の為でもありますか」
「そして彼等が二大政党の片方であるアメリカの」
 彼等の国の為だともいうのだ。
「その為でもあります」
「そうですか」
「ですから。民主党支持者としてもです」
「共和党の再生を願われますか」
「合衆国の為にも」
 こうテレビを観ながら少尉とスペンサーに話すのだった、そうして。
 テレビを観終わりだ、そのうえで二人に言った。
「少し外出してきます」
「あっ、お食事ですか」
「そうです」
 それに出るとだ、少尉に答える。
「ですから」
「わかりました、それじゃあ」
 少尉もスペンサーの言葉に頷いた、そうしてだった。
 曹長と共に彼を敬礼で送った、スペンサーも返礼してそのうえで外に出た。領事館から暫く歩き八条駅の裏手に来た。 
 駅の裏手は丁度商店街の裏手だった、人通りの多い場所の裏手は案外人が少ない、今は誰もいない程だ。
 その誰もいない場所に来るとだ、その前に。
 女神達が来た、中央にいる聡美が彼に告げた。
「選挙の結果がわかりましたね」
「はい、おそらく明日にでも」
「今すぐではないのですね」
「明日ですね」
 その時はというのだ。
「私に達が来るのは」
「ではですね」
「はい、明日またお会いしましょう」
 その時にだというのだ。
「そうしましょう」
「わかりました、それでは」
 聡美もスペンサーの言葉に頷く、今彼が外出したのは女神達にこのことを伝える為だったのだ。そのことを伝え。
 彼は微笑みと共に聡美にこうも言った。
「明日またお会いしましょう」
「そしてその時にですね」
「私は戦いを降ります」
 まさにそうするというのだ。
「貴方の望まれる通りに」
「そうされますか」
「ではその時に」
 再び言うスペンサーだった、そうして。
 彼はハンバーガーショップで食事を済ませそのうえで領事館に戻った、後は日常のままだった。しかしその日が来ることはもう確実だった。


第七十八話   完


                    2013・8・12 
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