転生とらぶる
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スーパーロボット大戦OG外伝
0523話
「……これは……」
レモンの研究室に、フィリオの口から思わず漏れた声が響く。
バルシェムの生成チャンバーにより治療をされていたフィリオだったが、つい先程その治療が完了したのだ。
「兄様っ!」
今日治療が完了すると聞かされ、レモンの研究室に来ていたスレイがその目に涙を溜めながらフィリオへと抱き付いていく。そしてそれをその場で受け止めるフィリオ。
「え?」
スレイの身体を受け止められた自分が信じられなかったのだろう。再びその口から漏れたのはどこか呆然とした様な声だった。
それも無理はない。治療をする前のフィリオなら、病で身体が弱っていてまず間違い無く押し倒されたのだろうから。
「……もしかして僕の身体に何かしたのかな?」
量産型WやWナンバーズといった人造人間を作り出す技術のあるレモンだ。フィリオが思わずそう尋ねるのも無理はないだろう。
そんなフィリオの質問に、軽く笑みを浮かべつつ頷くレモン。
「正確には何かをしたんじゃないけどね。病気を治療した後に同じ病気にならないよう身体に抗体を作った結果の副産物と言うのが正しいかしら」
「副産物」
呆然とした顔をするフィリオだったが、レモンは説明を続ける。
「とは言っても、あくまでも普通の人間の範囲内よ。量産型Wのように軍人として一流な身体能力を持っている訳じゃないから安心しなさい。……希望するのなら今からそうしてあげてもいいんだけど?」
「いや、このままでいいよ。その、助かった」
「ええ。喜んで貰えて何より。ただ、今の身体に慣れる為に多少のリハビリは必要だから注意してね。……そうね、魔法球の中でやるといいわ。あそこでなら時間の問題もないし。それにテスラ・ドライブの件もあるしね」
「そうだね。じゃあ早速今日から……」
「明日になさい」
すぐにでも魔法区画へと向かおうとしたフィリオを止めるレモン。
「え?」
何故? と言わんばかりのフィリオに、レモンは溜息を吐きながら兄に抱き付いているスレイへと視線を向ける。
「せめて今日1日くらいは兄妹水入らずで過ごしなさいな。急がなくても明日からはきちんと働いて貰うから」
「……そうだね。確かにそうだった。僕の為に色々と苦労してくれたスレイを放ってすぐに仕事ってのは無かったよね」
「兄様……兄様。良かった……」
いつもの強気な凛とした表情はどこへいったのかとばかりに涙を流して抱き付いているスレイの髪を撫でながら照れくさそうな笑みを浮かべるフィリオ。
こんな所を見ると、やっぱり兄妹なんだよなって気はするな。
そのままスレイが泣き止むまで約5分程。そしてスレイは自分が人目も憚らずに泣いていたのに気が付くと、いつもは強気な表情を浮かべている顔を赤くしながら下を向く。
「ああいうスレイも珍しいから、たまにはいいと思うんだがな」
そんなスレイの様子を見ながら思わず呟くと、顔を赤くしながら俺へと視線を向けてくる。
……ただし先程までの照れと羞恥の赤では無く、怒りの赤であったが。
「アクセル・アルマー!」
叫びつつ睨み、俺との距離を縮めてくるスレイ。その手は思い切り握りしめられており、俺を殴り飛ばす気満々だった。当然俺としてはこのまま殴られてもダメージは受けないのだが、かと言って大人しく殴られるのもごめんなのでスレイの前から逃げ出す。
「あらあら。全く、アクセルもスレイをからかう癖は抜けないのね」
「兄としては、あそこまで感情を露わにするスレイというのはちょっと珍しいんだけどね。今まではスレイ自身の能力が突出しすぎていたせいでどうしても一歩引いて物事を見ていたから」
「それがここでは違うと?」
「そうだね。何しろここにいるのは多かれ少なかれ常識離れした人ばかりだから。多少他の人より能力が高いだけのスレイは、シャドウミラーだと一般人に近い扱いだろう?」
「あら失礼ね。私なんかはアクセルに比べると普通の一般人に近いわよ?」
「……僕が言うのもなんだけど、技術者や科学者としては超を越す一流で、パイロットとしても彼には劣るものの十分に一流以上の実力を持っている。そんな人を一般人と呼んでもいいのかな? ……おまけに、これ程の美貌も持っているし。天は二物を与えずとか言うけど、君には当てはまらないらしい」
「あらお上手ね」
クスクスと笑っているレモン。そんな中、俺は繰り出されるスレイの拳や足をひたすらに回避し続けている。
「でも残念。私は既にアクセルと一生を共にすると決めているから口説かれてはあげないわよ?」
「あははは。これでも僕は恋人がいる身だから、さすがに浮気は出来ないよ。……それにしてもスレイは彼が相手だと感情的になるね。その辺、彼の恋人としてはどう思ってるのかな?」
「うーん、元々無自覚に女を誑し込んでいく性格をしてるから、その辺はある意味でしょうがないとは思うわ。もっともだからと言ってそうそう簡単には認められないけどね。相応の覚悟を示して貰わないと」
「覚悟、か。ある意味でスレイには難しいかもしれないね。素質に恵まれた故に。それに兄としては出来れば普通の相手を……」
こうして、俺がスレイに追いかけられている間に2人の技術者はそれなりに交流を深めるのだった。
「アクセル、今日の午後からは暇?」
フィリオの病気が完治してから数日後、いつものように朝食を食べている時にふとレモンが尋ねてくる。
「今日は特に予定は無いが……」
チラリ、とコーネリアの方へと視線を向ける。
一応これでもシャドウミラーを率いる者であり、その戦力の象徴としての立場がある以上、用事がない時は基本的に実働班の訓練に参加している。もちろんその訓練は実機を使った模擬戦も含まれるし、あるいは生身での戦闘訓練も含まれる。
……ちなみに、生身の戦闘訓練には時々ネギま世界から小太郎がやってきて混ざっていたりする。OGs、ギアス、SEED。どの世界の出身者でも、やはり生身での戦いとなると小太郎相手には手も足も出ない。よって勝つというよりは、どれだけ長く粘る事が出来るかという感じになるのだが……さすがに慣れてきたのか、最近では制限時間終了まで粘りきるというのも時々あった。
「構わんぞ。レモンが言うからには恐らく新型機の件だろう。実働班としてもシャドウミラー最大戦力である新型機に関しては気になるしな」
コーネリアが頷き、それならばという事で俺の魔法球行きが決まったのだった。
「で、俺を呼ぶって事は新型機の方に進展があったのか? 確かテスラ・ドライブ以外は殆ど完成して不具合や設計ミスが無いかどうかをチェック中だという話だったが」
「そのテスラ・ドライブについてよ」
ピクリ。レモンの口から出て来たその言葉に、思わずパリッと焼かれたウィンナーを口元に運ぼうとして動きを止める。
ちなみにこのウィンナーは四葉が肉を詰める所から手作りした超包子特製のものだったりする。
「まだあれから数日だが、もしかしてテスラ・ドライブがもう完成したのか?」
思わず口から出たその質問に、小さく首を振って答えたのはマリューだった。
「大まかなコンセプトは考えたけど、まだ実際に設計図は作っていないらしいわ。何しろアクセルが使う為の採算度外視の高性能品だから。その為に一度アクセルがどの程度の重力に耐えられるかをその目で確認してみたいらしいのよ」
「……いや、俺にはGとか一切効果無いぞ? それこそ100Gとかの重圧を感じても基本的には鼻歌を歌いながら食事出来るだろうし」
「私やレモンもそう言ったんだけど、自分の目で確認してみたいって言って聞かないのよ」
「まぁ、俺としては問題無いが」
「そ。じゃあ今日は午後から魔法球に来てね」
話は決まり、とばかりにオーブで天然栽培されている果実のジャムを入れたヨーグルトを口に運びながらマリューが告げる。
こうして、今日の午後からの予定は決まったのだった。
そして午後。約束通りに俺の姿は魔法球の中にあった。
午後からは魔法球の方に顔を出す必要があるという事で、午前は実働班との訓練に費やし、コーネリア率いる幹部連中と一緒に昼食を食べてからここに来たのだが……
「また、随分と変わったな」
魔法球の中の景色を眺め、溜息と共に言葉を吐き出す。
少し前までは科学の要塞といった感じだった魔法球の中の景色は、今では超科学の要塞とでも言うべき景色になっている。いや、ボキャブラリがないのは分かっているがそんなイメージだ。
そしてそんな超科学の要塞を20台程度のメギロートが、しきりに行き交っている。
「アクセル、来てくれたんだね」
俺の姿を見かけたのだろう。フィリオがこちらへと近づいて来ている。
……メギロートの上に乗って。
随分とまぁ、こんな短時間でここまで技術班に馴染んだものだ。いや、技術班の性質を考えるとそれ程おかしくはないのか? そのうちフィリオもエキドナ辺りに追い回されるようになるんだろうか。
そんな風に考えながら、小さく手をあげてから地面を蹴って混沌精霊としての力で浮き上がってフィリオの乗っているメギロートの上へと降り立つ。
「まだ数日だって言うのに、随分とシャドウミラーに馴染んでいるようだな」
「あははは。確かに外では数日だけど、この魔法球の中で過ごした時間を考えれば何ヶ月も経ってるんだから無理はないさ。いや、この魔法球はいいね。何しろ外での1時間が内部では48時間。それも中にいる限り歳を取らないときているんだから。この事を知ったら、僕達の世界ではそれこそ戦争が起きるんじゃないかな?」
笑顔を浮かべつつも物騒なことを口に出すフィリオだが、その言葉は冗談でも何でも無い。実際、時の指輪の力を持ったこの魔法球は魔法世界的に見ても極めて貴重であり、少なくてもM.M.には絶対に秘密にしておいた方がいい代物との評価をフェイトやエヴァから貰っている。
魔法が存在する世界ですらもそれなのだ。OGs世界の者達にしてみれば、それこそ喉から手が出るどころか胃の中から手が出る程に欲しい代物だろう。もちろん俺としてはシャドウミラーが持つ最大級の機密となったこの魔法球の存在を他の者達に知らせるつもりはない。だがもしフィリオがこの件を広めるようなら……
チラリ、と視線を向けると俺の方を見ているフィリオと視線が合う。
そして苦笑を浮かべて小さく首を振るフィリオ。
「安心していい……と言っても信じられるかどうか分からないけど、僕としてはこの魔法球の存在を向こうの世界の人に知らせるつもりはないよ」
「そうである事を祈ってるよ。もしそうでなければ、俺はスレイに恨まれてもお前を処理しないといけないからな」
呟きつつ、指をパチンっと鳴らして影から30本近い影槍を作り出してフィリオの周囲を覆い尽くす。
魔法について知らない者へと見せる時の穂先がない影槍ではなく、先端が尖っており、十分に人を殺せる鋭い切っ先を持っている影槍だ。
だが、いつでも自分を貫く事が可能な影槍を囲まれながらもフィリオは特に何かを感じたような様子も無く口を開く。
「僕としても君達には病気を治して貰ったのを感謝してるんだ。それにブルーマーズ計画に関われる事もね。僕がやりたかった研究。本来目指したかった研究。向こうの世界ではどうしても出来なかった研究。それをここで出来るとは思っても見なかったからね。……まぁ、外宇宙に出るにはまだまだSEED世界の宇宙艦では性能が足りないけど」
「なら俺の新型機に使う為のテスラ・ドライブの開発はどうなんだ?」
意地悪いと分かっていつつも尋ねるが、フィリオは小さく肩を竦めて答える。
「確かに全面的に喜んでやれるかと言われると頷けないけど、コスト度外視で高性能なテスラ・ドライブを作るというのは恒星間航行機開発計画のプロジェクトTDにとっても有益なものだしね。それに僕にも技術者としての自負というのはあるんだ。これ程に開発環境の整った……それも、資金の心配は一切しなくてもいいような状況である以上は奮い立つものがあるのは間違い無い。……正直、君達シャドウミラーの技術班が何故あれ程までに高い技術力を誇っているのか。その理由は個人の才能や、他の勢力の技術を貪欲に吸収している事、そして平行世界からの技術すらも吸収している事があるけど、そんな理由の1つに技術者にとっては天国と言ってもいいこの環境があると思うよ」
その言葉に満足し、再び指を鳴らして影槍を影精へと戻す。
「なるほど。なら、フィリオが開発するというテスラ・ドライブには期待させて貰おうかな」
「ああ。期待していて欲しい。その代わり、君が本当にGを無視出来るのかどうかを確認させて貰うのが大前提だけどね。僕の作ったテスラ・ドライブのGで君が死んだなんて事になったりしたら目も当てられないし」
笑みを浮かべつつ、早速とばかりに俺を実働部隊が受ける技術班特製の耐G訓練所へと引っ張っていく。
……いつの間にかこんな施設まで増設されていたとはな。
最終的に、俺は本当の意味で100Gまで耐えてフィリオを驚かせるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:40
PP:300
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
撃墜数:447
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