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久遠の神話

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第七十七話 百億の富その二

「そのことは」
「しかし話の内容まではですか」
「それがどうにも」
 わからないというのだ。
「何て話していたんですかね」
「選挙の状況ですよ」
 話しているのはそのことについてだったというのだ。
「つまり民主党の候補が有利だと」
「ああ、そういうことですか」
「合衆国のニュースで話している通りです」
「それをそのまま喋ってたんですか」
「はい、そうです」
「共和党は今回相当まずいですからね」
 つまり劣勢だというのだ、少尉は言う。
「政策がどれも失敗してますからね」
「内政も外交も」
「特に経済政策が」
 そのネオコン的政策が、というのだ。
「失敗していますからね」
「ですよね、ですから」
「共和党は負けますね」
 スペンサーはこのことは絶対として言い切った。
「この状況では」
「今大体八割ですか」
「はい、選挙人の八割が民主党に投票すると話しています」
「殆ど決定的ですね」
「そうした状況ですから」
「共和党は惨敗ですか」
「そうなります」
 ここでも断言したスペンサーだった。
「このままでは」913
「大統領の交代ですか」
「共和党は暫くは立ち直れないでしょう」
 そこまでの大敗北を喫するというのだ。
「あまりにも支持を失い過ぎています」
「ネオコンの政策は一部にしか配当がないですからね」
 富裕層のさらに上の方だけだ、アメリカの中でもごく一部である。
「それはブッシュの時代から変わらないですね」
「見事なまでに」
「前の選挙ではよく勝てましたね」
「民主党の大統領が二期務め」
 アメリカの大統領は二期までだ、合わせて八年務めればそれ以上はない。四選を果たしたルーズベルトにしても批判を受けてもいた。
「その次の民主党の候補が」
「ああ、ぱっとしませんでしたね」
「それに対して共和党はなりふり構わぬ攻勢に出ましたから」
「僅差で勝ちましたね」
 その選挙でだ。
「それで、でしたね」
「はい、そうなりましたから」
 今の共和党の大統領になったというのだ。
「しかしその政策は」
「変わりませんでしたね」
「はい、相変わらずのネオコン政策でした」
 アメリカでも一部にしか配当が渡らないあまりにも独善的かつ強権的な政策故にというのだ。
「ですから」
「今みたいに支持を失いましたね」
「流石にブッシュの様な戦争はしませんでしたが」
 アフガン、イラクと戦線を無闇に拡大はしなかったというのだ。ネオコンも流石にこの辺りは学習した様だ。
「戦争による予算と人材の無駄な消費はありませんでした」
「それはまだましでしたね」
 軍人である彼等にとってもだ、軍人だからこそ無益な戦争に参加して戦死したくはないのだ。
「まだ」
「しかしその政策の根幹は変わらず」
「国内外から批判を受けて」
「前の中間選挙でも」
 アメリカの選挙は大統領の任期の二年目でも行われる、任期途中のその政策への審判という意味も大きい。
「敗北を喫しましたね」
「あの敗北も凄かったですね」
「あそこで共和党は穏やかな方向に政策を転換すべきだったかも知れません」
「そうすればですね」
「今の様にはならなかったでしょう」
 大統領選挙でも敗北を確実視されるまでにはならなかったというのだ。 
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