幽霊だからって恋がしないとは限らないっ!
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失われた記憶。
「・・・お・・・いお・・・伊織!!」
俺が目が覚めたのは病院のベッドの上だった。
「・・・・・・」
俺はその銀髪の美少女を見ながら首を傾げる。
「伊織・・・・やっぱり記憶が・・・」
その子は俺の胸で泣いた。
すると突然ドアが開いた。
「伊織!?」
入ってきたのは金髪の美少女だった。
「渚ちゃん、伊織は・・・」
「梓ちゃん・・・・・記憶が無いみたい・・・・・」
「そ、そんな・・・・」
梓と呼ばれた女の子は泣き崩れた。
「・・・・・・」
俺は無言で二人の頭を撫でた。
「すいません、俺のせいで・・・」
「大丈夫!伊織のせいじゃない!」
「そうよ、責任感じないでほしいわ!」
「・・・・ありがとうございます。」
俺は軽く笑った。
「・・・ヤバい、超格好いい・・」
「伊織、笑えばいいのに。」
「えっ?記憶があるときはわらわないんですか?」
「うん、昔に嫌な思い出があったからね。」
すると、ゆっくりドアが開いた。
「やぁ、伊織。」
「・・・・あ、あの・・」
「ああ、大丈夫、話は聞いてるよ。」
「私は神崎刹那、君が所属している部活の部長だ。」
「そうですか、すいません。」
「いいや、君が悪い訳では無いからな、それよりは私達が守れなかったほうが・・」
「はい、ありがとうございます。」
俺は軽く笑った。
「うおっ!」
「部長!来るでしょ?胸にくるでしょ!」
「あ、ああ。こいつに笑顔を渡したら犯罪だ・・・」
「伊織ぃ!」「伊織!」「伊織!」
入ってきたのは黄緑の髪の毛の美少女と、無駄に格好いい男の子と、巨乳の眼鏡女子だった。
「おう、来たか。」
「伊織!記憶がなくなったって本当!?」
黄緑の髪の毛の女の子が聞いてくる。
「はい、すいません・・・」
「いや、謝ることはないよ!」
「それじゃあ自己紹介からにしようか。」
「あっ、そうですね♪私は伊織の彼女の玲瓏渚です!渚って読んでください!!」
「か、彼女!?」
「違います!あなたはまだ許嫁でしょ!って・・・私は、水無梓です。」
「許嫁!?俺はどんな家庭なんだ!?」
「ははっ、そうだな、まぁ、俺はただの酒屋の一人息子の神居智輝だ、親友立ったんだぜ!?」
「ああ、悪いな、記憶がなくて・・・」
「いや、大丈夫だって!」
「えーっと、僕は・・姫神ツカサです、女ですよ?」
「ああ、分かってるさ、これからもよろしくな!」
俺は笑顔で答える。
「い、伊織ぃ!笑顔久しぶりに見たよ!」
「そうなのか?」
「まぁまぁ、私は冬宮奏です、よろしくお願いします。」
「ああ、みんなよろしくな。」
「後は水嶋さん何だけど・・・」
「連絡はとれたのか?」
「まだですね。」
「まぁ、まずは伊織家に上がらせてもらおう。」
「俺んちですか?」
「ああ、そう言えば言ってなかったな、お前はヤクザの二代目、獅童伊織だ」
「えっ?ええぇぇぇぇぇぇぇ!!」
家に着くと執事のような人が出迎えてくれた。
「伊織様!記憶をなくされたとは本当ですか!?」
「えっ?う、うん、あなたは?」
「・・私は影山と申します。」
影山と名乗った男は深々と礼をした。
「伊織、記憶がなくなったの?」
「あ、はい・・・・・すいません。」
「そう・・・・私はあなたのお母さんの獅童由美子、ゆっくり記憶を治していきましょう。」
「はい・・ありがとうございます。」
俺は案内された自分の部屋に一人で寝転んだ 。
「伊織・・・・」
「ぐおっ!?」
俺は飛び上がるように起きて、声の主を探した。
「伊織・・・記憶がないんだね。」
脳裏に焼き付いた何かが、吐き気を模様した。
「伊織!?」
「・・・今・・記憶が・・・」
「伊織!どうしたの!?」
「あ、ああ、だいじぃうぶです。」
「・・・・私は、水嶋霙、幼い頃から一緒にいたの。」
「すいません・・・」
「いや、謝ることはないよ!」
「皆さん、優しいですね。記憶がある俺はこんな人に囲まれてたんですか。」
「そうだね、」
俺は霙の隣に座った。
「・・・・伊織、キスしよっか。」
「・・・・なんですか!?いきなり?」
「キスしたら何か思い出すかも・・・」
霙の顔はどんどん近づいてくる。
「ダメです・・・」
「えっ?」
「今の俺は貴方の好きな伊織ではありません」
「・・・・そっか、ごめんね?なにやってたんだろう、私。んじゃ帰るわ」
霙はこっちに顔を向けずにドアを開けた。
「待ってください!・・・・」
「?」
「少なくとも・・・俺は、今の俺は貴方の事が好きです!」
「・・・ありがとう♪」
そう言うと、霙は涙を貯めた目をこっちに向けた。
「んじゃね!」
霙は走り去っていった。
「・・・・・俺は・・・いったいなんなんだ?」
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