八条学園怪異譚
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第五十三話 空手部主将その六
「うん、いいケーキね」
「はい、美味しいですね」
「美味しいケーキですね」
二人もそのチョコレートケーキを食べている、そのうえでの言葉だ。
「何処のケーキかわからないですけれど」
「これはかなり」
「やっぱりケーキは日本のものね」
母国のケーキがだというのだ。
「イギリスのケーキはね」
「やっぱりまずいんですね、イギリスだから」
「自慢のティーセットでも」
二人もわかってきていた、イギリスというと料理については絶望的な状況なのだ。それは大英帝国の頃からだ。
「だから。いつも言ってるけれどね」
「実際にイギリスに行かれてですね」
「まずかったんですね」
「そうよ、同じメニューを日本で食べたらこれがね」
「美味しいと」
「そうだったんですか」
「そういうことよ、このティーセットにしてもね」
紅茶を含んだそれもだというのだ。
「全然違うから、お水も調味料も焼き加減もね」
つまり何もかもがである。
「全然違うのよ」
「お塩とお酢だけっていうのは」
「幾ら何でも」
それぞれ食堂とパン屋の娘である愛実と聖花から見ればだった、その調味料では。
「あんまりですよ」
「お店でそんな味付け出来ないですよ」
「パンもぱさぱさだったわ」
紅茶を飲みながら言う茉莉也だった。
「何これ、ってレベルでね」
「ううん、ある意味最凶ですね」
「イギリスには行きたくなくなりました」
「食べ物は期待しないでね」
その後に行間として絶対に、と入れたことは二人もわかった。そうした話をしてだった。
茉莉也は二人にあらためてこう言った、その言った言葉とは。
「それじゃあ今回は私も一緒だから」
「先輩が案内役をしてくれますか」
「今回はそうなんですね」
「そうよ、楽しみにしてね」
茉莉也は二人に微笑んで話す。
「私も空手はしないけれどね」
「トライアスロンって空手よりハードですよね」
愛実は茉莉也がしていることから話した。
「そうですよね」
「ええ、消費カロリーはね」
「泳いで走って自転車ですから」
「やってると絶対に太らないわよ」
「ですよね」
「ただ。私は脂肪率は低いけれど筋肉は目立ってないわ」
自分の体型のこともここで話す茉莉也だった。
「特にね」
「あっ、そういえばそうですね」
「泳いで走ってですけれど」
「それに自転車もですけれど」
「それでも」
「どれも独特の体型になるけれど」
例えば自転車では太腿が極端に太くなる、橋本聖子女史がそうである様に。
「私部活は真剣にしてるのよ」
「それでもですか」
「筋肉が目立たない人もいるんですね」
「そう、私がそうみたいね」
自分で言う茉莉也だった。
「筋肉があってもね」
「何かそれって豹みたいですね」
愛実は茉莉也の説明を聞いてこう思い言った。
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