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久遠の神話

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第七十五話 避けられぬ戦いその二

「軍隊や経済力でな」
「ううん、本当に現実ですね」
「それで覇権を求める」
「永遠の覇権を得られるんですよね。大尉が勝てば」
「アメリカのな」
「それってアメリカにとっていいことなんじゃないですか?」
「しかしだ、それは極端でだ」
 しかもというのだ。
「覇権も過ぎればどうなるかだ」
「あまり強い覇権は、ですか」
「かえってアメリカにとってよくない」
 そうなるというのだ、工藤は高橋に言う。
「何処かの保守系新聞のアメリカ駐在記者は違うことを言うだろうがな」
「ああ、あの記者ですか」
 名前は出ていない、だが高橋もそれが誰かわかってその顔を少し顰めさせてそのうえでこう言ったのだった。
「実は俺あの人は」
「好きじゃないか」
「嫌いですね」
 はっきりと答えた言葉だった。
「あまりにもアメリカべったりですよね」
「それも共和党のな」
「ネオコン一辺倒ですね」
「何かあるのかも知れないな」
 その記者には、というのだ。
「だからあそこまで贔屓にしているのかもな」
「その可能性は否定出来ないですね」
「そうしたジャーナリストは多い」
 実はジャーナリストの世界はかなり腐敗しやすい、情報が集まりそれを独占出来る閉鎖的な世界だ、情報は権力であり他のどの権力にも情報から介入出来る。それならだった。
「腐った奴はな」
「あの記者もそうですかね」
「ネオコンをないと言っているな」
「はい、確かに」
「ネオコンは存在している」
 間違いなくだと、工藤は言った。腕を組み確かな顔で。
「民主党から流れたかなり極端な思想の持ち主だ」
「ですよね、いますよね」
「間違いなく存在しているものをないと力説する」
「それ自体がですね」
「腐敗している証拠だろう」
 これは日本の中の様々な特権の話でも同じであろうか、その特権をあるというのにないと力説する輩は怪しいとみなされるものだ。
 それでだ、工藤はその記者について言うのだ。
「だからだ」
「ですよね、俺もそう思いまして」
「あの記者は嫌いか」
「ええ、胡散臭い奴じゃないですかね」
「少なくとも政治的な人物だな」
 工藤はその記者をそうみなしていた。
「俺もあの記者は嫌いだ」
「ですか」
「そしてネオコンのやり方や思想もだ」
「日本にとってはいいっていう人が多いですけれどね」
「それは間違いだ」
 工藤は日本の所謂ネトウヨ、もっと言えば似非保守達の浅はかな国際情勢の見方をこの言葉だけで一蹴した。
「ネオコンはアメリカのことだけしか考えていない」
「日本のことはですね」
「考えていない」
 全く、だというのだ。
「そしてだ」
「しかもですね」
「アメリカのことと言えばまだいい」
 そうだというのだ。
「実際はだ」
「自分達のことだけですね」
「他のことは考えていない」
 それがネオコンだというのだ。 
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