鉄槌と清風
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54部分:53:それぞれの想い
53:それぞれの想い
明日にでもと言っていた夜の事、隊舎内にアラートが鳴り響く。
ロングアーチからの報告では、Ⅱ型の編隊を確認、近くにはレリックの反応も施設も無いらしい。
また以前のⅡ型よりも高性能らしく速度などが上がってるそうだ。
「ちゅーわけなんやけど、どう見る?」
「此方の戦力の確認と改造したⅡ型のテスト、かな」
「私もフェイトちゃんと同じ、かな」
「そう考えるのが自然だわな」
はやての問いに、フェイト、なのは、良彦の隊長陣が答える。
「そやね、そしたら?」
「今まで相手が知ってるはずの戦力だけで叩き潰す!」
「だな、相手に態々情報やる事も無いだろ」
更に問いかけるはやてにヴィータ、良彦が答える。
フェイトの捜査でガジェットドローンの製作者は、広域次元犯罪者Dr.スカリエッティらしいと判明している、現在最も敵とみなされている相手だ。
「それでいこ、なのはちゃん、フェイトちゃん、ヴィータ、アイン、頼めるか?」
「了解」
「判った」
「任せとけって」
「判りました」
それぞれが返事をし、急ぎヘリポートへ、そこには新人4人も来ていた。
ヘリへと乗り込みながらなのはが新人を見ながら。
「じゃぁ、今回は空戦だから皆は隊舎で待機ね」
「そっちの指揮はシグナムや、ちゃんという事きくんやで」
「あと、ティアナは待機から外れておこうか、体調も魔力もまだ万全じゃないよね」
はやてに続いてなのはが指示する、それに
「何でですか、いう事を聞かない隊員は要らないって事ですか?」
ティアナが噛み付く。
「自分で言ってて判らない、それ当然のことだよ」
なのはの返しに
「自分で努力しちゃダメなんですか、私にはエリオみたいな才能もキャロみたいな希少技能も、スバルみたいな素質もない、ただの凡人が頑張っちゃいけないんですか?!」
搾り出すように叫ぶ、それを…シグナムがティアナの腕を取って振り向かせ、頬に一撃。
「相手にするから付け上がる…ヴァイスヘリの方は?」
「乗ってくれりゃいつでも出せますぜ」
「だ、そうださっさと行け」
その後なのはを追いたて、ヘリへ向かわせる。
「ティアナ戻ってきたらちゃんとお話しよう、思いつめちゃってるみたいだから」
「いーから、後はあっちに任せとけば何とかなるってのあたしらは行くぞ」
押し込むヴィータが一瞬良彦を見る、それに頷きを返す良彦。
ヘリに乗ったなのは、フェイト、ヴィータ、アインがヘリポートを離れる。
「はぁ…シャーリー、いるんだろ」
良彦が階段の所にいたシャーリーに声を掛ける。
「ばれてましたか…何だか皆見てられなくて」
「丁度いい、時間はあるから一寸皆ではなそうや、資料頼むなシャーリー」
「はい、了解です」
新人にシャーリー、シグナム、良彦がラウンジへ移動する、心配したのかシャマルもいつの間にか来ている。
頬にアイスパックを当て、暗い顔をしているティアナを前に、シャーリーが幾つかの映像を見せる。
なのはの事、フェイトの事、良彦の事…プレシア・テスタロッサ事件、闇の書事件…そして。
「なのはは休みもなしに戦い続けた、俺らが気付いた時には遅かったんだ、その任務が終わったら無理に休暇をって言う矢先の任務だ」
映されるのは、アンノウンの刃に貫かれる良彦となのは。
驚く新人一同。
「身体に負担のかかる戦い方、休みの無い戦い、その無茶の付けは反応の遅れだった…普段なら気付いただろうこれに気付かなかったんだ」
これとはアンノウン、普段のなのはなら早く気付いただろうし、ちゃんと防御できたはずだった。
「一瞬遅れたなのは、気付くのが遅れた上、救いきれなかった俺…結果はまぁ、あまり酷くはないが、それでも軽症じゃすまなかったな」
「あ…お風呂で見た、あれって」
エリオが何かに気付く。
「そうだ、無理をしてたなのはに気付けず、怪我までさせた…自分勝手な思いだけど、その戒めって事だ」
「なのはちゃん、自分の無理で良彦君に怪我させたって、凄く悔やんでたの、怪我は比較的軽かったんだけど、怪我が治っても暫くは仕事にならなかったみたい」
「何度も謝ってきたからな…良いって言ってるのに、まぁそんな訳で俺たち…隊長副隊長陣だな…は、こういう事にならないようにしっかり教えてたつもり何だが、判りづらかったかな」
シャマルの言葉に苦笑を浮かべ、呟く。
シグナムが静かにティアナを見ながら
「確かに無茶が必要な場合はある、だがあの時はそういう場合だったか、犠牲を出さなければ倒せない相手だったか?」
その質問にティアナは答えられない、そして、時間だけが過ぎて行く。
空戦は4人の活躍により、Ⅱ型の編隊を殲滅、さほど時間は掛からなかったらしい。
待機解除になり、部屋に戻った良彦…制服のまま、ソファに沈み込んでいた。
「ただいま、良彦…話したんだって?」
「ん、まぁ…チョコッとな、俺の情けない過去とかを」
「んなことねーよ、良彦は何時も一生懸命じゃねーか、それを隠そうとしやがって」
隣に座ったヴィータが、ぽこんと良彦の腹を叩く。
「これだって、残らねーように出来たのに、態々残しやがって…一生懸命で、一寸人が悪いよなおめえ」
「気付いてたのか?」
「ったりめーだ、これが合ったらなのはは自分がした無理をわすれねー、それもあって残したんだろ、自分で言う戒めも含めて」
「他の皆も気付いてんのかね」
「どうだろうな、はやてとアイン、シグナム、ザフィーラは気付いてると思うぞ」
「あー…はやてはあれでよく見てるからな、アイン、シグナム、ザフィーラはまぁ、予想内だな」
叩いた後、傷のある辺りを優しくなでていたヴィータとそんな会話をして
「ティアナ大丈夫かね」
「帰ってきたとき、なのはが話しに行ったから平気だろ」
「そか、ヴィータは見に行かなくて良かったのか?」
「新人はなのはの領分だかんな、あたしは手伝うだけだ」
「なるほどな…ま、他に人居たら話しづらいこともあんだろうしな」
「そういうこった、さてあたしも風呂入ってくるよ」
「あー、俺もマダだったな…一緒に入るか?」
「ばぁか、きかねーでいいよ…出たら直ぐ寝んだろ、どうせ」
「だな、疲れてるしな、精神的に」
「なら、さっさと入ろうぜ、あたしも疲れてんだ」
二人立ち上がり、一緒に風呂場へ歩いていく。
実際疲れていたのだろう、風呂を上がり髪を乾かさないうちに二人とも眠ってしまったのだから。
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とりあえず、模擬戦とティアナの事情あたりまでです。
次回は夜間出動中の隊舎会話になると思います。
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