| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

鉄槌と清風

作者:deburu
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

52部分:51:ホテルアグスタ襲撃


51:ホテルアグスタ襲撃

 ホテルアグスタのオークション警備、前日入りした4人…良彦、ヴィータ、シグナム、リインフォースアイン…と後発組みが合流。
 後発組みは、部隊長はやてに、なのは、フェイトの隊長陣、シャマル、ザフィーラ、リインフォースツヴァイ、それに新人4人…ティアナ、スバル、エリオ、キャロ…だ。

 合流後、隊長陣はドレスアップして会場警備のためホテルの中へ、他は打ち合わせに従ってホテル各所と外周部に分かれる。
 外周はウィンドが担当なので、良彦とアインが一緒に廻っている。
 
 「ふむ、しっかし本当にガジェット来るのかね」

 「判らないからこその警備だと思うが、マスターは不満が?」

 「いや、不満は無いが制服を脱ぎたい」

 「却下です」

 白い耳をピコピコ動かしながら一言で会話を終わらせるアイン。

 「さいですか…ま、ガジェット程度ならいくらでもって感じ何だが」

 苦笑しつつ、巡回を続けていると、屋上のシャマルと六課隊舎のロングアーチ…司令室だ…から緊急連絡。

 『ガジェットの反応を感知、距離はまだあるけど、結構多いわね』

 『ロングアーチから各員、ガジェットⅠ型多数と、Ⅲ型が数機接近中です』

 連絡を受け、はやてが指示を出し始める。

 『シグナムとヴィータ、ザフィーラ、アイン、良彦隊長は先に出て数へらしや、フォワードメンバーは所定位置に移動、抜けてきたら倒してや』

 「了解、んじゃ、俺とシグナムはⅢ型メインだな」

 ホテルアグスタの周囲は森に囲まれている、この状況でⅠ型の多さとサイズを考えると、基本1対1メインの良彦とシグナムは自然と大物狙いになってくる。
 また、アインは蒐集した魔法をほとんど失ってはいたが、はやての夜天の書から幾つかの魔法を覚えなおしている…良彦とは違い、オールラウンドに戦える資質を持っていた。

 「では、マスター…いきますか」

 「おう、ゼピュロス、セットアップ」

 『了解、セットアップ』

 良彦が青の魔力光りに包まれ、青いジャケットにズボン、両手に無骨な籠手の騎士甲冑姿に変わる。
 アインは濃い紫の魔力光に包まれた後、黒の袖なし、ミニスカートのワンピースに黒の指貫グローブ、右足だけ太腿まである黒いソックス、そして背中に4枚の黒い翼を持つ姿へと変じている。

 青と濃い紫の魔力光を引きながら、空へ上がる、ホテルから飛び出してきた赤と紫、藍白の魔力光…ヴィータとシグナム、ザフィーラ…と合流し、5人が空を翔けて行く。

 「んじゃ、予定通りいくか…ガジェットとはいえ一応気をつけろよ」

 「そりゃこっちの台詞だっつの、Ⅲ型相手何だからな、おめえは」

 「機械任せの単純な攻撃でやられねーって」

 「とはいえ、戦場では万が一がある油断はするなよ、皆」

 「ああ」

 「えぇ、シグナムの言うとおりですマスター」

 「判ってるよ、痛いほどな…おっし、新人の出番なくす勢いでいこうぜ」

 4人に言われ苦笑しながら返し、一転気合を入れなおして宣言する。

 「だな、あそこまで通さねぇっていう勢いでいくか」

 並んで飛びながら、いつもの用に拳同士を打ち合わせる良彦とヴィータ。

 「お前たちは過保護だな、全く」

 「似た物夫婦ですからね」

 シグナム、アインが苦笑し

 「が、気持ちも判らないでも無い、な」

 ザフィーラが静かに一言付け加える…恐らく此処にいる5人がそう思っているだろう事を。

 「おっし、ならいくかっ!」

 「おうっ!」

 その掛け声と共に、それぞれが目標に対し向きを変える。
 シグナムと良彦は、Ⅲ型の進行予想位置に、ヴィータ、ザフィーラ、アインはⅠ型の密集している場所へと。

 途中でシグナムとも別れ、Ⅲ型の一機へと向かう。
 目前には良彦の倍以上あるサイズのⅢ型…相変わらず、コード状の触腕とベルトコンベアのような太い触腕が見える。

 相手センサーに捕らえられたのか、三つ目のような発振口から、光学兵器が放たれる…それをシールドで弾き、一気に距離をつめる。

 「相変わらず、サイズだけで発見から反応が遅いっ」

 空を翔け、太い触腕を『弾き』ながら、その内側へ…勢いを殺さず、指を真っ直ぐ揃え、魔力と風を纏った貫き手をⅢ型の中心へ打ち込む…練られていた風が刃となり。

 「風拳・一刃」

 Ⅲ型を貫き、身体を捻ればその勢いでⅢ型が裂け、爆発…一瞬早く後退し、次の相手を探す。

 数回の攻防、報告を聞いている限りでは、Ⅰ型もⅢ型も数を減らしているらしい…が、次の瞬間。

 『誰かが近くで召喚を使ってます!』

 という、キャロの全体連絡、ロングアーチからも

 『反応確認、魔力反応…大きい』

 更に次の瞬間、Ⅲ型の動きが変わる…先ほどまでの機械任せの単純な動きから、意志を感じる動きへと。
 同じように繰り返していた倒し方に反応され、防御から反撃を受ける…意志を感じた段階で回避行動に移っていたため、直撃は避けられた。
 一旦上に上がり、シグナム、ヴィータと合流する、比較的近くで戦っていたようだ。

 「どうおもうよ?」

 「動きがよくなったな、召喚で何か変わったか?」

 「自動だったのが、手動になった感じだな、これ」

 良彦の問いにシグナム、ヴィータが答える。

 「要するに、一寸動きがよくなったって事だろなら、それに合わせてぶっつぶしゃ」

 「まて、あれは」

 ヴィータがもう一度攻撃しようとしたのをシグナムが止める。
 見ればガジェットの下に魔法陣、キャロの召喚と同じだが魔力光が紫だ。

 「召喚…まさか」

 良彦の言葉に、ロングアーチから通信。

 『召喚反応多数、ホテル近辺です…ガジェットが転移してきます』

 「召喚で送り込んだのか」

 「ヴィータ、良彦、残りは此方で処理する、新人の援護に」

 「わーった」

 「了解だ」

 シグナムの言葉に、青と赤の魔力光が其処を離れて行く。

 「特急だ、つかまれヴィータ」

 「あいよ、頼む」

 二人の手が繋がれ、青と赤の魔力光が一つになる。

 「ゼピュロス、一寸距離あるけど…いくぞ」

 『了解…貫き』

 バシュバシュッと2発カートリッジロードし、高速移動へ、風の結界が良彦とヴィータを包み込み、その中で抱き合い、身体を密着させ、速度を上げて行く。
 その間も、新人達のほうは苦戦しているらしい、通信からはティアナとスバルが前に出てコンビネーションアタックを掛けるようだ。

 大量のⅠ型を周りに集め、ウィングロードで疾走するスバル、ティアナが4発カートリッジをロードし、クロスファイアシュートのスフィアを形成している。

 「やばいな…ヴィータ!」

 「任せろ!」

 短いやり取りから、良彦は風の結界からヴィータを押し出し…2発カートリッジロード。

 「風拳・烈風!」

 押し出したヴィータの背中を押すように強い風を纏った拳を振りぬく…その風を受け、ヴィータは加速し

 「アイゼン!」

 『フェアーテ』

 ヴィータの足元に赤い魔力光が渦を作り巻きつけば、加速は更に上がる。
 クロスファイアシュートシュートが放たれ、Ⅰ型が打ち落とされる中、それた魔力弾がスバルへ迫る…その魔力弾をヴィータがアイゼンで打ち返し、地面へたたきつける。

 「このばかっ、なにやってんだ!」

 「あ、あぁ…」

 「ヴィータ副隊長今のは…」

 「うっせぇ、今は言い訳聞いてる時間じゃねー、後下がってろ!」

 「はぁ、此処は俺らがやっとくから、な」

 良彦も後から降りてきて、スバルの肩を叩く。

 「はい」

 「……」

 スバルは小さく頷き、ティアナは無言のまま一緒に下がって行く。

 「ってと、んじゃさっさと潰すか」

 「だな、後でなのはとはなさねーといけねーし」

 ヴィータがシュワルベフリーゲンでⅠ型を落とし、良彦がⅢ型を打ち倒していく。
 エリオ、キャロもそれぞれの受け持ちを倒しきり、どうやらガジェットの襲撃は収まったらしい。



 暫く後、ホテル内部で遅れていたオークションが開始され、無事に終わったらしい。
 ガジェットの残骸を調査していると、久しぶりに見る顔がなのはと歩いていた。

 「なんだ、ユーノじゃねーか、来てたのか?」

 「ん…ヨシヒコじゃないか、久しぶりだね、元気かい?」

 「おう、ってかこんな所でデートか?」

 「ち、ちがうって、アコーズ査察官に頼まれて護衛してくれてるんだよ」

 「仕事中だからさすがにね、それは無いよ」

 慌てて否定するユーノと苦笑するなのは。

 「ヴェロッサも来てるのか、後で挨拶しとくか」

 そういって、二人と別れ、ヴィータの方へ。

 「良彦、ティアナだけどよ」

 「あぁ、随分焦ってたな…前からやばそうな感じはあったけど根が深そうだ」

 「だよな…なんか合ったのか、アイツ」

 「俺は聞いてねーけど、はやてなら何か知ってるだろうな、今度聞くか」

 「ん…ま、とりあえず今は此処の引継ぎだな」

 「あぁ、さっさと終わらせるぞ」

 六課から来た調査員に、細かい事を報告し、ヴァイスが操縦するヘリで隊舎へと戻った。
************************************************
『貫き』の結界内に入れば一緒に高速移動も可能ですが、良彦が小さいのであんまりサイズが違うと魔力消費が多くなる為、使う相手はヴィータくらいでしょう。

次回は、魔王降臨?辺りのお話です。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧