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万華鏡

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第五十二話 文化祭のはじまりその二

「音楽だから」
「一年生も二年生も」
「誰であろうとね」
 まさにだ、先輩後輩の関係なくというのだ。
「皆絶対演奏しろって」
「一回はなのね」
「例え自信がなくても」
 それでもだというのだ。
「明るく前向きにね」
「今もなのね」
「そう、だからね」
 それ故にだというのだ。
「頑張ろうね」
「私達も演奏を」
「そうしましょう」
 こうした話をしたのだった、そして。
 琴乃はここでだ、プラネッツのメンバーにこう言ったのだった。
「ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「今ちょっとお酒残ってない?」
 身体にあるけだるさを感じてだ、琴乃は四人に問うた。
「微妙にね」
「そうか?琴乃ちゃん昨日飲み過ぎたからじゃないの?」
 美優がその琴乃に返した。
「だからじゃないのか?」
「飲み過ぎたかしら」
「昨日いつもより飲んでただろ」
「そうかも」
 言われてみれば心当たりがあった、確かに昨日話をして話を聞きながら相当な量の酒を飲んでいた。言われて気付いたことだ。
「かなりね」
「そうだろ、だからだよ」
「そうなのね」
「それでもそんなに酷いか?」
「いえ、別に」
 少しけだるい感じである、酷いものでないのは明らかだ。
「あまりね」
「じゃあな」
「それじゃあなのね」
「そんなに気にすることないだろ」
 美優は明るい笑顔で琴乃に言った、朝日の様な笑顔だった。
「別にな」
「そうね、少し歩いていればね」
「酒も抜けるよ」
 今の琴乃の状況なら、というのだ。
「朝飯で何か食って飲んだらな」
「それでよね」
「お酒抜けたらな」
 そこからの話もだ、美優はした。
「わかるよな」
「ええ、それからもね」
「いよいよだよ」
「文化祭ね」
「はじまるから楽しもうな」
「たっぷりとね」
「うちの高校の文化祭は相当なものらしいしさ」
 かなり賑やかなことで評判がある、その証拠にこれまでの準備も相当賑やかだった。それで今回もだというのだ。
「悔いのない様にさ」
「悔いがない様にっていうのも」
 今度は里香が言って来た。
「部長さんいつも言っておられるわね」
「そうよね、確かに」
 里香のその言葉に彩夏が応える。
「部長さんいつも言われるわよね」
「悔いがない様に全力でって」
「何でもね」
「部長さんそうした言葉がお好きだから」
 前向きな標語めいた言葉がというのだ。
「だからね」
「それでよね」
「そう、それでね」
 この言葉もだというのだ。 
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