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万華鏡

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第五十二話 文化祭のはじまりその一

             第五十二話  文化祭のはじまり
 琴乃はシャワーを浴びた後で高等部の正門を見た、そこにもう看板があった。
 その看板、虹色に彩られた大きな看板を見上げながら共にいる里香達に言った。
「いよいよね」
「ええ、はじまるわ」
 里香もその看板を見上げながら琴乃に応える。
「文化祭がね」
「そうね、本当にね」
「何かここまで長い様で」
「あっという間だったわね」
「文化祭がはじまるまでもね」
 本当にそうだったというのだ、長い様で短かったというのだ。
「何かね」
「そうね、私的にはね」
 琴乃はこうも言った。
「これまでが第一幕でね」
「これからがなのね」
「うん、第二幕って感じだけれど」
「そうね、言われてみれば」
「でしょ?文化祭の間も学校に泊まり込みよね」
「そうなるわ」
「だったらね」
 それならというのだ。
「これがはじまりじゃなくてね」
「第二幕なのね」
「それで終わってからがね」
 その時はというと。
「第三幕かしら」
「確かにね」
「そう思うと文化祭って面白いよね」
 琴乃はにこにことして言った。
「特に文化系の部活だとね」
「ああ、本当にな」
 今度は美優が応えて来た、シャワーから出たばかりの清潔な顔だ。
「そうだよな」
「私たちの出番だからね」
「ああ、思いきり演奏してな」
 そしてだというのだ。
「やってやろうな」
「この時の為だったからね」
「用意してきて練習してきたのもな」
「だからね」
「ステージにお店にな」
 そのどちらでもだというのだ。
「出番あるからな」
「忙しいわよね」
「ああ、皆な」
「一年生も出られるなんて」
 彩夏はこのことに驚きを隠せないといった顔だった。
「凄いわよね、うちの部活って」
「部長さんが言われるには」
 どうかとだ、景子が言う。
「一年生も二年生も演奏してこそだから」
「そうしてこその軽音楽部だからよね」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「皆ね」
「演奏してこそなのね」
「そうしたお考えだから」
 だからだというのだ。
「私達一年生もね」
「出ていいのね」
「一年も二年もなくて」
 軽音楽部の部員ならというのだ。
「出てね」
「演奏するのね」
「音楽はまず演奏すること」
 景子は彩夏にこの言葉を出した。
「部長さんがいつも仰ってるじゃない」
「確かにね」
「まずは演奏して」
 そして歌う、それがだというのだ。 
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