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久遠の神話

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第七十一話 全ての光でその十三

「ですから」
「それで、ですね」
「例え本人の意志とは違う命令でも」
「従いしかないんですね」
「だからです。次の大統領の政策次第で」
「あの人も戦いを降りられるんですね」
「あの人の戦いは自分の為ではありません」
 このことが重要なのだ、スペンサーの場合は。
「命令に拠るものですから」
「大統領の命令で、ですね」
「アメリカ軍の最高司令官は誰か御存知でしょうか」
「ええと、それは」
「これは大抵の国でもそうですが」 
 大石は上城にアメリカ以外の国の話もした。
「アメリカ合衆国軍の最高司令官は大統領です」
「だから大統領の命令にはですか」
「アメリカ軍の軍人ならば従わねばなりません」
 絶対にだというのだ。
「ですから」
「大尉は次の大統領の政策次第ですか」
「民主党は貿易には五月蝿いですが」
 これはアメリカ民主党の特色だ、この面では共和党よりも強硬に主張することが多い、日本に対してもである。
「対外政策は穏健である場合が多いです」
「日本には違うんじゃ」
「ネットの一部の言葉です、民主党も日本にもただ貿易で主張しているだけです」
「それだけですか」
「はい、どの国にもそう主張しているだけです」
 それが民主党の対外的な経済政策だというのだ。
「共和党だから日本に甘い、民主党だから厳しいというのは」
「違いますか」
「それは政治を知らない人の考えです」
 某巨大掲示板の特定の板で書き込んでいる連中のことだ、こうした連中は政治や国際情勢をわかっている様で何もわかっていない、大石はこう看破してもいるのだ。
「お気になさらない様に」
「そうなんですね」
「それで民主党の政策ですが」
 日本の民主党とは違う、日本の民主党はそれぞれ自分のことしか考えない連中なので全くの論外である。
「福利厚生にも注意を払い富裕層以外も見ています」
「全体的な政策は穏やかですか」
「共和党保守派と比べれば」
 今現在の共和党の主流派と比べればかなりだというのだ。
「ですから」
「大尉は選挙次第ですか」
「今の民主党の大統領候補、おそらく次期大統領になる方は」
 その彼はというと。
「民主党の中でもとりわけ穏健な方なので」
「じゃあアメリカを。そうした剣士の戦いに頼ってまでは」
「無論世界の盟主であろうとし続けるでしょうが」
 これはアメリカ、それもその国家元首だからだ。誰であろうが現時点では絶対のことだった。
 だが、だ。それを剣士の戦いを通じてまではというと。
「そこまではしないでしょう」
「けれどやっぱり世界の盟主にはですか」
「なり続けるでしょう」
 そうしてくるだろうというのだ。
「これは絶対です」
「そうなんですね」
「しかしそれは軍事力やそうした戦いに拠るものではなく」
 所謂強権的なものによるものではなく、というのだ。
「ある意味さらに手強いかも知れませんが」
「ええと、何を使ってなんでしょうか」
「貿易ですね、それを使ってです」
「何か何処かで聞いたことがありますけれど」
「新聞やネットでよく言われていますからね」
 アメリカの経済政策は常によく言われている、貿易を通じても国益を追い求めそして世界の覇権を考えているのだ。
 そしてその政策をだ、次の大統領になるであろう彼は前政権以上に推し進めるというのだ。 
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