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ピーターラビットのお父さんのお話

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第三章

「逃げよう」
「そうしよう、じゃあね」
 二匹で頷き合ってでした。 
 お父さんとグラハムさんはジグザグに動いて逃げます、その後ろから。
 猟銃の音が聞こえてきます、まるで雷が落ちたみたいです。
 そしてです、拳銃が地面をえぐります。それを見てです。
 グラハムさんはお父さんにです、必死に駆けながら言いました。
「わかってると思うけれどね」
「うん、猟銃にはね」
「当たらないようにしてね」
「当たったら終わりだからね」
 お父さんも必死に駆けながら応えます、ジグザグに駆けながら。
「だからだね」
「そう、逃げようね」
「それじゃあね」
「茂みまで逃げたら」
 お父さんは今の目的地の茂みを見つつ言いました。
「とりあえず猟銃は心配しなくていいけれど」
「マクレガーさんから僕達は見えなくなるからね」
「うん、いいけれど」
 それでもだとです、お父さんは言います。
「問題はね」
「犬だよ」
 後ろから犬の吠える声がまだ続いています、しかもです。
 その声が近くに寄ってきています、つまりそれは。
「マクレガーさん放したよ、犬を」
「そうみたいだね」
「だから捕まったらね」
「やっぱり終わりだね」
 猟銃の弾に当たった時と同じ様にです。
「僕達は犬かマクレガーさん達に食べられるよ」
「どっちがいいかな」
「どっちも嫌だよ」
「うん、僕もだよ」
 それはどちらもです、二匹の意見は一致していました。
「それじゃあね」
「うん、今はね」
 こう言ってです、そしてなのでした。
 二匹はジクザグに、必死に駆けつつ茂みに向かいます。猟銃の音がまた聞こえてきてお父さんの近くに落ちます。しかしです。 
 お父さんには当たりません、お父さんは必死に駆けつつ言います。
「よかったよ」
「うん、当たらなかったね」
「何とかね、じゃあね」
「もうすぐだよ」
 茂みにです、グラハムさんも駆けつつ言います。
「あそこまでね」
「そうだね、あそこまで行ったら」
「猟銃の心配はなくなるから」
 そのことが安心になります。
「けれどね」
「うん、後はね」
「そう、犬だよ」
 猟銃の心配はなくなってもです、それでもです。
 まだ犬がいます、その犬についてはです。
 お父さんはグラハムさんにです、こう言いました。
「どうしたらいいかな」
「そうだね、ここはね」
「うん、どうしたらいいかな」
「とりあえず茂みの中を進んでね」
 そうしてだというのです。
「後はね」
「後は?」
「穴があればね」
 二匹は兎です、兎だからこそです。
「そこに入ってね」
「やり過ごすんだね」
「あの犬は大きいからね」
 二匹の何十倍もの大きさです、かなり大きなマスチフ犬です。
「僕達が入る様な穴には入られないから」
「うん、だからだね」
「安心していいから」
 それでだというのです。
「そこまで行けばね」
「穴だね」
「穴は何処かにあるよ」
 絶対にだというのです。
「だからね、そこまで行ってね」
「犬をやり過ごせばだね」
「僕達は助かるよ」
 絶対にだというのです。 
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