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戦国異伝

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第百四十九話 森の奮戦その十

 戦は続く、やはり昼だけでなく夜も続く。そしてその夜にだった。
 門徒達は来る、果てしなく来て攻めて来る、森も兵達も必死に戦うがやはり数が違う。そうした戦が続いて。
 城兵達は誰もが疲れきった、それで森も言うのだった。
「これは思った以上にな」
「ですな、これは」
「皆疲れが出ています」
「こう昼も夜も攻められては」
「身がもちませぬ」
 こう言うのだった、誰もが。
 しかし目は死んでいない、それでこうも言うのだった。
「ですがあと少しです」
「猿夜叉殿からの援軍が来ます」
「そして殿も」
「ですから」
「うむ、来る」
 こう言うのだった、それでだった。
 彼等は今も戦う、あくまで引かない感じだった。
 その中でだ、森は侍大将の一人にこう問うたのだった。
「朽木殿はどうされておる」
「はい、こちらのご自身で兵を率いて向かっておられるとのことです」
「そうか」
「明日かと」
 彼とその軍勢が来るのは、というのだ。
「早くとも」
「そうか」
「そして浅井殿の軍勢ですが」
 彼等はだ、どうなるかというと。
「あの方は」
「何時になるかはか」
「わかりませぬ」
 そうだとだ、侍大将は答えた。
「兵の動きは速い方ですが」
「うむ、おそらく浅井殿の軍勢にもな」
「はい、門徒達は向かっているでしょう」
「だからじゃな」
「勝てばいいですが」
 敗れる場合もある、勝敗は兵法の常だからだ。
 それでだ、彼も言うのだ。
「それでも、わかりませぬ」
「ううむ、明日までか」
 その朽木の援軍が来るのもだった。
「このまま昼も夜も攻められてはな」
「その明日もですか」
「わかったものではないな」
 森は今も戦いながら言うのだった。
「最早な」
「左様ですな、このままでは」
「昼だけの戦ならまだ何とかなった」
 それなら、というのだ。しかし今の戦はというと。
「昼も夜もじゃからな」
「しかも弓矢も鉄砲も多いです」
 これも予想外だった、門徒にしてはそうしたものをあまりにも多く持ち過ぎているのだ。それでそうしたのである。
 それでだ、侍大将も話すのだった。
「勢いが強過ぎて」
「三万は確かに多い」
 十倍、その数は。
「しかしな」
「それ以上にですな」
「昼も夜も、多くの弓矢や鉄砲で攻められてはな」
「今日もつかどうかですな」
「こわはまずい、しかしな」
 だが、というのだった。ここで。
「この城は守り抜く」
「逃げはしませんか」
「ここが陥ちれば朽木殿の場所からさらにな」
「都にですな」
「門徒共に行かれる、だからじゃ」
 ここで城を捨てる訳にはいかないというのだ、そして。
 さらにだ、こうも言う森だった。
「ここで何としても粘る、最悪でも時間を稼ぐぞ」
「時をですか」
「そうじゃ、時をじゃ」
 それをだというのだ。 
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