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八条学園怪異譚

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第五十一話 オペラ座の怪人その十四

「ちょっとね」
「ロイヤルボックスには合わないっていうのね」
「うん、そう思うけれど」
「別にいいでしょ、何を食べても」 
 そして飲んでもだとだ、テケテケはその焼酎を飲みながら愛実に返した。
「ワインとかチーズでないと、っていうのね」
「ロイヤルボックスだからね」
 欧州のものでなければ、愛実はこう言いたいのだ。
「そう思うけれど」
「お座敷って思えばいいじゃない」
 テケテケは枝豆も食べながら自分の主張を話した。
「お相撲とか歌舞伎のね」
「そっちなのね」
「そう、南座みたいなものでね」
「京都ね」
「京都はええどすえ」
 テケテケは笑って冗談で京都弁も出してみせた。
「お上品で」
「神戸人は京都嫌いよ」
「そうよね、というか京都以外の府県の関西人って京都嫌いよね」
「お高く止まってるからね」
 そこが嫌いだというのだ、大阪を筆頭に愛実達がいる京都もそうだし滋賀、奈良、和歌山、三重もだ。三重は東海だと区分されることも多いが。
「嫌いよ、私も」
「流石関西人ね」
「というか日本の物置じゃない」
 あえてだ、愛実は京都への悪口を言った、関西で時折出る言葉を。
「何が偉いのよ」
「本当に嫌いなのね」
「拒否反応とかじゃなくて嫌味なところが嫌いなのよ」
 そこがというのだ。
「私はね」
「私も。京都の街とかは嫌いじゃないけれど」
 聖花も言う、やはり神戸人として。
「お高く止まったところがね」
「皆そう言うわね」
「大阪は好きだけれど」
 この街はというのだ。
「けれど京都はね」
「そういうことなのね」
「そう、そういえばあんたの出身は」
 テケテケの出身の話になる。
「電車に轢かれても寒くて傷口がすぐに止まったのよね」
「ああ、それ設定だから」
 実際は違うとだ、テケテケは返す。
「実際真っ二つになっても確かに暫く生きられるけれどね」
「それでもなのね」
「ああした話はないから」
 長い間苦しんで死ぬのは、というのだ。
「私実は脚も出そうと思えば出せるから」
「けれど出さないのね」
「そうよ、それで生まれは東北の北の方か北海道か」
 その生まれの話にもなる。
「そうなってるわね」
「そうなのね」
「そう、まあ今はこうしてこの学園にいるから」
 枝豆を食べながら愛実、そして聖花に話していく。
「生まれのことはあまり気にしてないわ」
「成程ね」
「それで焼酎でもね」
 ロイヤルボックスの話に戻った、それはどうかというのだ。
「いいでしょ」
「別になの」
「そう、構わないじゃない」
「そういうものかしら」
「そもそもここってオペラもやるけれどね」
 花子さんも話す、やはり焼酎を飲み枝豆を食べながら。枝豆のガラはちゃんとボールの中に置いていく。この辺りはしっかりしている。 
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