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久遠の神話

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第七十話 富と地と名とその九

「必ずや」
「ですか、では」
「ただ、私達もです」
 その女神達が揃ってもだというのだ。
「戦いの粋組みは変えられませんでした」
「といいますと」
「貴方は願いを適える為に戦わなくてはなりません」
「結局戦わなくてはならないのでしょうか」
「一度だけ、怪物と」
 それとだというのだ。
「戦わなくてはなりません」
「そうなのですか」
「これはどうしようもありませんでした」
 戦いの枠組みは、というのだ。
「セレネー姉様が戦いを縛られていますが」
「そこに力は及ぼせませんでしたか」
「貴方達が戦いから自分の意志で降りられるのなら別ですが」
 戦う彼等はそれが可能だというのだ。
「私達外にいる者達から出来ることは限られていますので」
「だからですか」
「そうです、一度だけ戦ってもらいます」
 願いを適える為にだというのだ。
「そうして頂けますか」
「それで願いが適うのなら」
 高代は微笑んだ、そのうえで女神達に答えた。
「喜んで」
「そうしてくれますか」
「戦って頂けますか」
「はい、そうさせて頂きます」
 こう答えたのである。
「是非共」
「では」
 豊香は高代の言葉を受けた、だが。
 ここでだ、智子がまた高代に言った。
「では明日に」
「今からではないのですか」
「明日、貴方の為にその怪物が来ます」
 そうなるというのだ。
「ですから」
「その時にですか」
「いらして下さい、場所は校庭です」
 そこだというのだ。
「明日の夜、十時です」
「わかりました、その時ですね」
「この学園の校庭に来て下さい」
 高等部普通科の校庭にだというのだ。
「そこに」
「はい」
 高代は二人の女神の言葉に頷いた、そしてだった。
 彼は女神達の前から去ろうとする、だがここで。
 智子はだ、その彼をこう言って呼び止めた。
「このことですが」
「何か」
「どなたかにお伝えされますか」
「今この時まで考えていなかったことですが」
「そうだったのですか」
「しかし今そのお言葉を聞いて」
 高代は丁度踵を返そうとしていたところだった、その状態で止まったまま智子に返す。
「考えてみました」
「ではどうされますか」
「上城君と村山さんでしょうか」
 二人にだというのだ。
「見てもらいましょうか」
「貴方の戦いをですか」
「貴女達の仰る通りになるのか」
 戦いを降りられるかどうかというのだ、願いを適えて。
「その実証を見てもらいたいので」
「戦いを止めたいお二人にですね」
「そうです」
 それ故にだというのだ。
「お二人に」
「わかりました、それでは」
 智子は彼のその言葉に頷いた、そしてだった。
 高代、まだ踵を返そうとしている格好のままの彼にこう返したのだった。 
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