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ヘタリア大帝国

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TURN119 アフリカ侵攻その二

「所詮はな」
「それでは」
「確かにどの星域の防御も堅固で攻略にあたっては損害は出る」
 このことは避けられないというのだ。
「しかしだ」
「それでもですな」
「そうだ、エイリス軍の防衛ラインには致命的な欠陥がある」
「ではそれは」
「多重ではない」
 レーティアが指摘したのはそこだった。
「一重だ、どれもな」
「あっ、そういえばそうですね」
 リディアもレーティアの言葉でこのことに気付いた。見ればソビエト軍の布陣は確かに堅固だがそれでもなのだ。
 防衛ラインは一重だ、二重三重ではない。
 リディアはその防衛ラインを見てだ、こう言った。
「ソビエト軍は何重にも敷きます」
「これより質の落ちるラインを何重もな」
「はい、防衛ラインは突破されるものですから」
 それでだとだ、リディアはコンドラチェンコに応えながら話した。
「何重にも敷いて敵の戦力を暫減していきます」
「エイリス軍は何で一重なんでしょうか」
 かえってだ、リディアはこのことを不思議に思った。
「何重にもしないんですか」
「いえ、これがエイリスの防衛ラインですが」
 ここでネルソンが答えた。
「そうなのですが」
「あれっ、そうなんですか?」
「はい、エイリス本土は重厚ではないので」
 そこがソビエトと大きく違う、ソビエト即ちロシアはあまりにも広い。だがエイリスはというのだ。
「防衛ラインは堅固なものをです」
「一重ですか」
「そう敷きます」
「成程、国土の関係なんですね」
「むしろ艦隊の戦力を使います」
「艦隊と防衛ラインを共に配置していますね」
 宙図を見ればその通りだった。
「それも綿密に」
「しかも艦隊が動きやすい様に」 
 ここがマジノ線と違っていた、マジノ線は完全に防衛衛星に頼っていた、だが今のエイリス軍の防衛ラインは。
「配備されていますね」
「はい、じゃあ」
「艦隊の機動力と防衛ラインの防御力双方を使って」
 そのうえでだというのだ。
「守ります」
「アシカ作戦の時もだったな」
 レーティアの目がここで光った。
「そういうことだな」
「そうなりますね」
 ネルソンもこのことを否定しなかった、そうだというのだ。
「エイリス軍ですから」
「ではだ、やり方がある」
 これまでの作戦会議でも一応は見つけていたことだがそれでもだ、レーティアはここで確かな声で言い切った。
「二つの備えを組み合わせているのならだ」
「まずはその一方をですね」
「倒す」
 そうするというのだ。
「ここはな」
「それで、ですか」
「艦隊を引き寄せて先に叩くという方法もあるが」
 これもレーティアが事前に言っていたことだ。
「しかしエイリス軍の提督達も愚かではない」
「ああ、あいつ色々と問題はあるが馬鹿じゃねえよ」
 このことはフランスも保障する。
「王女さんも騎士提督の人達もな」
「だからだ、誘い出すことは無理と思うことだ」
 それには絶対に乗らないというのだ。 
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