古の鉄の巨人を駆る他世界への介入者
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動く!
「な、なんだ!?」
一夏は2組のクラス代表生、凰 鈴音との試合を繰り広げていた。鈴のISの特殊主要兵装『龍砲』。砲身及び砲弾が視認出来ないという事で苦戦を強いられるが一瞬の隙を突いて『瞬間加速』を使用し、単一能力である零落白夜を発動させ、鈴に斬ろうとした瞬間、突如巨大な爆音に襲われ、攻撃を中断してしまった。一夏は剣を構えながら警戒する。鈴も同様に大型の青龍刀『双天牙月』を構えて一夏と共に警戒に精を出す。そして、土煙に塗れて姿が見えなかった物の姿が見えた。その姿は、人ではない何かだった。
漆黒に輝くボディ、間接部は銀色に輝かせながら背には死神のような巨大な翼を要していた。そしてその肩には余りにも巨大すぎる、全ての命を狩りつくす大鎌があった。それはこちらを睨み付けている様にも思えた。
「な、何あれ!?」
鈴は思わず驚きの声を漏らした。それは一夏も同じだった、いきなりの乱入に自分だって混乱している。だがこれだけは解った、やつは自分を狙っていると理解出来た。何故か、鎌をこちらに向けているからだ。
「お前は一体何者だ!」
『…クカカカカ、オマエガオリムライチカカ』
声が聞こえた、冷え切った氷河のような寒気を与えてくる声だった。それは自分だけに聞こえる通信で語りかけてきた。それの通信に同調させ死神にも見える鎧を纏ったものに叫ぶ。
『お前は何者だ!何故こんなことをする!!』
『カンタンダ、オマエガジャマイガイニナイ。オレノカンガエヲジツゲンサセルニハ』
『何!?』
『オレノタメニシネヤ』
死神は言うが早いが、膝を曲げ一瞬で距離を詰めて鎌を振り下ろした。それに間一髪で反応してステークが大鎌を受け止める。まるで溶接現場のように火花が飛び散り、凄まじい音を撒き散らす。
「なんてパワーだ!」
『カカカカカッ!ナカナカガンジョウナブキダ!ジークフリードキョウスケ・ナンブノブキ?ナンダソレハ、マアイイ、オマエヲコロシタアトデジックリシラベルトシヨウ!!』
「んなことは俺を倒してから言えよ!!」
渾身の力で大鎌を弾き飛ばし、雪片で相手の首を狙う。死神はあっさり攻撃をいなし、一夏を殴り飛ばした。苦しげな息を漏らしながら、距離をとる一夏。勇太との訓練を多く積んだ今、それなりの技術と経験が役に立った。体勢を直ぐに立て直しながら距離をとった。
「何だこいつ…半端じゃ、ねぇ」
先程の殴られた部位、わき腹は今も酷い痛みが走っている。正直痺れていて動こうとすれば激痛が襲い掛かってくる。死神は自分の痛みに耐えている姿を見て笑っている。怒りが込み上がって来そうだったがこれ以上に疑問になっていた事があった。
「(キョウスケさんの事を全く知らないって……どういう事だ…?)」
自分もキョウスケの事を知らなかった人間だったから人の事は言えないが、これは異常だ異常すぎる。名さえも聞いた事が無いっというのも可笑しい、世界最強のIS乗りの双璧の一柱の戦武人と呼ばれた男の名さえも聞いた事が無いという態度だった。
『キャハハハハハッ!!』
「よくもいちかをぉぉおお!!」
鈴は一夏を攻撃したことに怒りを抱き、龍砲を乱射しながら死神に接近していく。しかし空間を圧縮して放たれた龍砲は、鎌を高速回転させて作った壁によって無効化されている。ならばと双天牙月で斬りかかるがこれも弾かれてしまう。
『オマエハアトデタップリカワイガッテヤルカラドイテナ!!』
「きゃぁぁああああ!!!!」
鈴は鎌で殴られ吹き飛ばされる、一夏は激痛の走る体に鞭を打って最大速度で鈴の元へ向い、地面に叩きつけられる寸前で抱き寄せて自分の身体を盾にして衝撃から守る。
「いってぇ…鈴…大丈…夫か……?無茶すんなって…」
「い、いちか程じゃないもん!でもありがと」
『キェエェエエエエエエエエエエエエエエエ!!!』
死神は二人のやり取りが気に入らないのか怒ったような狂ったような声を上げながら、二人に突撃し鎌を振り下ろした。しかし一夏は痛みで身体が動けずにいた。
「(やべぇこれは避けられねぇ!!)」
せめて鈴だけでも守ろうと強く抱きしめて目を閉じる。そして強い衝撃と音が響いた。一夏は恐る恐る目を開くと、そこには親友である勇太が鋏で、最愛の姉の婚約者であるキョウスケが素手で大鎌を受け止めている光景が広がっていた。
「わりぃ一夏!ちょっと遅くなっちまった!!」
「全くそれでも俺の義弟になる男か、だがよく耐えたな一夏。ここからは任せろ」
一夏は安心しきったように溜息をついてから、目を閉じた。
「いちか!?ねえ起きていちか!寝ちゃいやぁあ!!」
「落ち着け凰、織斑は眠っただけだ。お前は織斑と共に離脱しろ、ここは俺が、否、俺と大神が受け持つ」
「はっはい!!」
鈴は一夏の肩に手を回して、ピットへと大急ぎで退避していく。そうはさせまいとする死神がいたが
「おっとさせねぇよ!お前の次のデートの相手は俺がするぜ!!」
スタッグビートル・クラッシャーで鎌を挟みながら、推力を最大にし押し込んで一夏と鈴の元へ行かせないようにする。
「俺の事も忘れるなよ」
アルトの武装の一つ、『斬艦刀』のみを展開しそのまま大鎌の刃を切断する。余りにも良過ぎる切れ味、鉄である大鎌をまるで紙を切るようにスパッと切った切れ味に勇太は目を丸くする。
「すっげぇ切れ味!」
「ぼっとするな、そのまま押し込め!」
「はい!!」
キョウスケの指示通りに死神を奥へと押し込んでいく勇太。二人を逃がし事で激しく歯軋りをし怒りを表現する不正転生者。
『ァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!ヨクモォォォオオオオオ!!!!』
「良く吼えるぜ、まるで獣だ」
「さて、不正転生者 阿部 隆徳。貴様が与えられた命と特Aクラススキル【この世全ての真理】を、回収させて貰う」
キョウスケの言葉に再度驚く勇太、転生者?こいつが!?ではキョウスケは自分も転生者である事も知っている!?
「キョ、キョウスケさん今なんて!?転生者!?」
「大神 勇太。準最高神の名の元にこれより俺は転生者を狩る。手伝えるか」
「えっはっえあう?はっはい!」
「ならばいい、来るぞ」
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