鉄槌と清風
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37部分:36:衝撃(笑)の事実
36:衝撃(笑)の事実
良彦となのはの怪我からおよそ2年、この間になのはが魔導師ランク空戦Sになり、少し前に教導隊に入ったり、フェイトが3度目の執務官試験で合格し、空戦Sランクも取得し、一寸前に局の施設で保護されていた子の保護責任者になったり。
はやてが、ランク総合SSを取得、この間は上級キャリア試験にも合格していたし、ユーノは論文などを発表、さらに無限書庫の室長になったらしい。
まぁ、他の皆も階級が上がったり、ランクが上がったりはしていたのだが、では良彦はといえば。
とりあえず、修行もうすすみ『音貫き』はできるようにはなった、ただし未だに実戦での使用は禁止されている。
『無風』も、少しずつだが技の取っ掛かりが判ってきた、ユーノに無限書庫から古代ベルカ式だけでなく、いろいろな武術の資料何かを探してもらったりしたのだ。
魔導師ランクは、空戦AAAランクを取得、騎士としては完全にカリムの下、まぁシスターシャッハとほぼ同じ立ち位置である、一応管理局の階位も持っているが三等空尉で、恐らく便宜上のものだろうこれ以上は昇進しないらしい。
と、まぁ…状況はこんな感じで、現在12月も半ば、もうすぐクリスマスなのだが…良彦は困ってというか、苦悩というか、ある種絶望を抱いていた。
中学一年、13歳なのに、身長が133cmから一向に伸びないのだ…ちなみに、この身長10歳の頃、怪我をした頃のままである…筋肉などは付いているので、そっちは問題ないのだが。
あと、ここ数年、魔法と出会ってから、髪の色…元々濃い青色、光に透かさないと判らないくらい…が、鮮やかな青に段々とはえ変わってきているし、瞳の虹彩も左の濃い翠が、以前より鮮やかな翠へと変わってきている。
シャマルに相談し、検査を受けたのだが…髪と瞳は魔法資質が目覚めたことによる、先祖帰りに近いものだと言われた。
身長は、今のところ不明、ただ伸びてない時期を考えると、2年前の事件が原因の可能性は強そうらしい。
一応シャマルには、身長関係の事は口止めしておき、まぁ、伸びないものは仕方ない、と思いつつ…5人娘に軽く見下ろされるのには一寸絶望した。
クリスマス前の街を歩く青い髪の少年と赤い髪の少女…良彦とヴィータだ…が、歩きながら雑談している。
「ま、伸びねーもんを無理やり伸ばす方法も有るらしいけど、体への負担が大きいらしいから、諦めたよ」
「ふーん、良彦がそれでいいなら、いいんじゃねーの…それで、なんで今日は買い物つきあえとかなんだ?」
「うむ、あぁ身長の話は内緒な先祖帰りの影響だとでも言っといてくれ…でだ、クリスマスが近いからプレゼントを買おうと思ってな、5人娘のとか、何が良いかわかんねーから、参考意見聞かせてくれ」
「あいよ、そっちは了解だ…5人て、はやて、なのは、フェイト、アリサ、すずかの5人か?」
「あぁ、今年もクリスマス会があるからな、買っておかねーと、仕事して金は少し余裕あるしな」
「ふーん…そっか、まぁいいや、んじゃはやてのから見ようぜ」
そういうと、目的地だったミッドのデパートに到着する。
「少しは何か考えてんのか?」
「はやてには、料理道具とかいいんじゃないかと思ってるんだが、洒落の効いたのがあると良いな」
「ま、妥当か、つか13歳だしちょっとしたアクセサリーとかでもいいんじゃねーのか?」
「んー、それも考えたが、全員お揃いじゃ手抜きだし、別々じゃなんか違う意味がありそうじゃね?」
「それもそうか、んじゃキッチングッズ売り場だな」
すたすたと歩く二人、青と赤のふたりは、端から見ればどうみえるのか…。
キッチングッズ売り場へと足を踏み入れる。
「お、良彦これとか良いんじゃねーの?」
ヴィータが指し示すのはアイスクリームメーカー。
「いや、ヴィータが食いたいからだろ、それ…相変わらずアイスには目の色変えるな」
「いいじゃねーか、好きなんだから」
「つか、お前が家で作るっていってちっちゃいのだけど去年かったろ!」
「家のとはやての所じゃ別だろ、んじゃおめえは何がいいと思うんだよ」
「そうだな…この中華鍋とかどうだ?」
「業務用の本格派じゃねーか、それ、はやてが料理屋でもひらくのかよ!」
「んだよ、じゃぁ、このパン焼き器とか?」
「地球で似たようなの買ってたぞ」
「なら…」
延々とこんなやりとりをしつつ、結局買ったのは幾つか揃いの茶碗、はやてだけじゃなく守護騎士とリインフォース二人の分あわせてである。
家族を大事にしているはやてなら、こういうのが良いだろうと、落ち着いたのだ。
で、次に向かったのはおもちゃ売り場。
「なぁ、良彦なんでおもちゃ売り場なんだ?」
「んぁ、あぁ、なのはがぬいぐるみとか好きでな、毎年送ってるんだよ」
「そうなのか、”管理局の白い悪魔”が、ねー」
「さて、この…デフォルメされた、白い人のむいぐるみとかよくね?」
商品名が不屈のえーすおぶえーす…どうみてもなのはをモデルにしている、手にはレイジングハートらしきつえも持ってるし。
「それはいいな、良彦にしてはナイス判断だ」
「だろ、してはってのは気になるが、これなら受けも取れる」
そういって、なのはは一発オーケー。
次に向かうのは、写真関連の商品が置いてある場所。
「さて、フェイトだけど…フォトフレームにするかなと思うんだよな」
「なんでだ?」
「フェイトって、友人家族を大事にしてるからな、写真とか多く飾ってるし」
「そういや、そうかもな…なら、携帯できるのがいいんじゃねーか…このカード型の奴」
カード型のフォトフレームに小型のデータチップが組み合わされており、かなりの枚数の写真をデータ保存できるらしい。
お気に入りだけをスライドショウしたり、決めたのだけ普段は見れたりと良さそうだ。
「うん、それでよさそうだ、ナイスだヴィータ」
「へ、任せろよ」
フェイトも決まり、アリサのプレゼント。
やってきたのは本の売り場。
「さて、アリサとすずかは、大体きめてるんだ」
「二人とも本なのか?」
「あの二人は犬好きと猫好きだからな、管理世界の子犬辞典と子猫辞典でいいんじゃねーかと」
「あー、確かにそういうの喜びそうだな」
「うむ、つーわけで、よさそうなの探してくれ」
「おうっ」
で、二人に2冊ずつ本を買う。
一通りプレゼントを買って、フードスペースで休憩する。
「ふー、サンキュな付き合って貰って」
「別に構わねーよ、今日はどうせ休みだったんだしな」
「ま、そうかもだけどな、ここは奢るわ」
「そうか…んじゃ、このバナナパフェな、アイスダブル、バニラとチョコで」
「あいあい、つか予想通りのだな」
注文を聞いて苦笑する良彦。
「んだよわりーかよ」
むくれるヴィータ。
「いや、んじゃ頼んでくるわ」
で、持ってきたのはヴィータの注文したパフェと、良彦はチョコバナナクレープにしたらしい。
「ほれ、どうぞ」
「おう、いただきます、っと」
スプーンでもぐもぐと食べ出すヴィータを横目に、クレープを齧る。
感じる視線…目をやれば、クレープをチラチラと見るヴィータ。
「…食うか?」
「いいのか?」
ぱぁっと明るい顔でいって、差し出したクレープを一口齧る。
「返事の前に食ってるじゃねーか」
「うっせ、差し出した時点で許可ありだろ、ん…これもうめーな」
「よかったな、帰りにクレープかってくか?」
「そうだな、イチゴ生クリームにしてくれ」
「あいあい、了解」
しばし、お互いがデザートを食べ続け。
ふとヴィータが疑問を投げかける。
「そういや、ユーノとクロノ、エイミィ当たりのプレゼントはどうすんだ?」
「あっちは、地球の物の方が良いと思ってな、ユーノは最新の考古学資料とか、クロノとエイミィはお揃いのコップだな」
「なるほどな…あれ、そういやあたしもクリスマス会呼ばれてるけど、あたしのは?」
「流石に、本人に付き合ってもらって買ったら驚きと喜びが薄れるだろ、ヴィータのはもう用意してあるし」
「そうなのか、良彦もちゃんと考えてんだな」
「あのな、俺をなんだと思ってるんだ?」
「修行バカ」
「否定、できねぇ」
軽口を叩き合い、苦笑する良彦。
「ま、そういうことなら楽しみにさせてもらうぞ」
「あいあい、喜んでもらえると良いんだけどな」
「喜ばせろよ」
「努力はする」
お互いに微笑み、こつんと拳同士を軽くぶつけ合う。
「んじゃ、食ったならクレープ買って帰るか」
「おう、イチゴ生クリームだぞ」
「わぁってるよ」
手に荷物をもち歩く、青と赤…どこか微笑ましく見える二人組であった。
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ある意味で衝撃の事実をさらっと受け入れて居る良彦です、まぁリトの記憶があるのである種老成した考えの影響でしょう。
怪我の一件以来ヴィータが良彦の家と八神家で半々位で生活しています、局での泊まりも多いとは思いますが。
次回は折角今回クリスマスネタだしたので、時期はずれながらクリスマス会の話を書く予定です。
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