lineage もうひとつの物語
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オーレン戦役
レジスタンス集結
象牙の搭の村南門
ナイルら冒険者達の奮戦により抑えていたがそれも限界にきていた。
「フィオナ魔力がゼロになる前に下がれ!」
フィオナは首を振り下がろうとしない。
それもそのはず今の戦力では一人でも欠ければ瓦解するであろう微妙なラインでもっているのだ。
「くそっ!」
流石のナイルも魔力が減り大技は使えない。
「こうなれば・・・・」
マナスタッフを握り締め最前線に駆ける。
ナイルの基本スタイルである接近戦だが複数の敵相手にやったことはない。
自信があるといっても所詮ウィザードの脆弱な体、危険すぎるのだ。
ウィザードのゾンビにマナスタッフを叩きつける。
マナスタッフは攻撃した相手の魔力を吸い取ることができる杖である。
巧みに攻撃を避け二度三度と叩き付け魔法を放つ。
「サンバースト!」
ウィザードのゾンビは消し飛んだ。
そして次のゾンビに向かう。
ナイルの戦法を理解した戦士が援護に回り1対1の状況を作ってくれた。
「ありがたい!」
そう叫び次々とゾンビを駆逐していく。
そうしているうちに30名ほどの援軍が到着した。
「怪我人は村の広場へ!もうすぐ大勢やってくる!もうしばらくの我慢だ!」
レイピアをゾンビに突き刺しながら援軍のエルフは皆に伝えた。
しばらくすると背後から行軍の足音が聞こえ
「下がれ!」
戦線を維持していた者達は一斉に引き揚げる。
すると援軍のエルフ達から大量の弓矢が放たれた。
倒れていくゾンビ達。
しかしゾンビは次から次へと迫り来る。
そして号令がかかった。
「こちらから撃って出るぞ!突撃!」
雄叫びをあげ突っ込んでいく戦士達。
その後ろからウィザード達が強力な魔法を唱え、エルフが矢で援護をしゾンビを倒していく。
「ご苦労だった。君らは回復に専念してくれ」
そう声をかけたのは指揮官でありシルバーナイトタウン支部のリーダー、ゲオルグだ。
ナイルは驚いた。
駆けつけた冒険者達だろうと思っていたところにレジスタンスがきたのだ。
「無事だったか」
そう声をかけてきたのはハスラン。
ハスランから事のあらましを聞き納得する。
フィオナも無事でナイルの隣に腰を下ろして一緒に聞いていた。
「さすがリーダーだな。我々の状況も見ていないのに・・・」
単なる救援要請にここまでしてくれたナターシャに感謝するとともに安堵した。
「リーダーは現在負傷者の手当てに向かっておられる。二人は皆と広場まで戻り回復に専念してくれ」
「了解」と言い残し二人は広場へ向かっていった。
「一体一体が強い!」
アレンはゾンビを倒しながら呟く。
元々が兵士であったゾンビ達は戦闘慣れしておりなかなかに手強い相手だった。
現在二人一組で当たるよう指示が出ておりアレンはサミエルというウィザードと組んで戦っていた。
「アレンさん!右です!」
右より突き出た槍を避けツーハンドソードを叩き込む。
「サミエルさん、助かった!」
止めにファイアーアローを叩き込んだサミエルは笑顔で答えアレンに続く。
大剣を持ったゾンビを打ち倒し次の目標へ進んだときアレンは周囲を見渡した。
そして叫ぶように部隊へ伝える。
「前に出過ぎだ!皆下がれ!」
そう、敵は元々兵士であり集団戦に慣れている。
ゾンビになったからといって身に付いたものは忘れることなく発揮し小部隊をわざと孤立させようと誘導していたのだ。
それに気付いたアレンも流石だが指揮官のいないゾンビ達がそれを成していたことに驚きを隠せない。
戦線を一旦戻したイスマイルは部隊に向けて声をだした。
「数は減ってきている!ここが正念場だ!」
オオー!
戦っているものは雄叫びをあげた。
ナイルらは広場のナターシャの元へ到着した。
「ナイル!フィオナ!よく無事で!」
ナターシャが駆け寄ってくる。
「リーダーの素早い行動のお陰です」
そう言って頭を下げる。
「頭を上げてください。当然のことをしたまでです」
ナイルとフィオナの手を取ったナターシャは安堵の笑みを浮かべ急拵えのテーブルまで二人を招いた。
「お二人は休憩しておいてください。」
魔力を使いきり戦力にならないと感じた二人は承諾し腰を下ろす。
「象牙の搭の方はどうなっているかわかりますか?」
魔力回復のためメディテーションを唱えナイルは問う。
「象牙の搭にはゾンビはいないようです。ですが念のためガルダミスさんに待機してもらってます」
あの門は下手な城よりも硬い。
当分は大丈夫だなとナイルは安心する。
「この村では西門をイスマイルさん、南門をゲオルグさんが向かってくれています。あとは時間の問題でしょう」
そしてナターシャは運ばれてくる怪我人に寄り添い野営病院となった広場の一角に戻っていった。
時は少し戻り村の広場
救援を受け真っ先に駆けつけたナターシャはキャスタ、ハスランの両名に住民の避難を手伝うよう指示を出し広場にてレジスタンスの到着を待った。
次にケント支部が到着しイスマイルはナターシャを見つけ声をかけた。
「お嬢さん、危ないから避難しなさい」
面識の無い二人である。
ナターシャは避難するわけではなくイスマイルに
「あなたは?」
と尋ね
「イスマイルだ。私の部下をつけるから早く避難を!」
と怒気を込め言い放ち部下を呼ぼうとするが
「あなたがケントの!私はナタリシアといいます。救援要請を出したのは私です。お請け頂きありがとうございます」
とナターシャは頭を下げた。
「し、失礼致しました!この戦闘が終わりましたら何なりと処罰はお受けします。それまではどうか」
イスマイルは急ぎ膝まづき頭を垂れる。
剣士として斬られてもおかしくない態度を取ってしまったのだ。
ナターシャは全く気にせず当然の行為だと思うがイスマイルの立場を思えば仕方ないかもしれない。
「では処罰を言い渡します。あなたは指揮官として混成部隊を率いて西門を死守しなさい。さぁ立ってくださいな」
ナターシャはイスマイルに声をかけるが動こうとしない。
イスマイルは泣いているのだ。
ゲオルグ達が到着しナターシャと言葉を交わしたあとイスマイルを立たせる。
「ほら、気持ちを切り替えろ。やるぞ。まず30名程西門と南門へ向かわせよう。あとは揃い次第向かうとしようか。イスマイル、おまえは西門を頼む。こっちは南門に向かう。」
「わ、わかった。殿下はこの場にいてください」
「わかりました。怪我をされた方はすぐこちらに戻してください。こちらで対処しますので」
ナターシャの言葉にイスマイル、ゲオルグの二人はすぐに動き精鋭部隊を西門、南門に向かわせる。
未だに冒険者達がテレポートしてくる中ゲオルグは冒険者に向けて言葉を放つ。
「集まってくれた冒険者諸君!各々で両部隊に加わり防衛戦をお願いする。西門はイスマイル、南門は私、ゲオルグが指揮を摂る。負傷者はここまで下がり治療にあたるように!」
そして前線より負傷者が運ばれてくる中広場では各部隊に分かれ冒険者達のテレポートも一段落ついたようだ。
「ではいくぞ!」
イスマイル、ゲオルグ各部隊は一斉に行動を開始した。
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