直接SAOの中だった件について。
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新聞の件で外に出られなくなった件についてその2
…?
コペルは自分の上半身に違和感があることを気づき、目を覚ました。
(…あれ…僕はリトルペネントに…食われてしまったんじゃないのか…?)
コペルは少し右の肘に嫌な感触が走り右腕を見た。
何と右腕から先が無くなっていただけだった。
自分のHPを見ると《部位欠損》アイコンがあるだけでHPは満タンだった。
(一体誰が?…)
ふと、コペルは視界のはしに光る物体が映った。
コペルは不思議そうに見ると今そこで起きている出来事に驚愕の表情を見せた。
「なに…これ?」
そこにあったのは散りばめられたリトルペネントのアイテム達だ。
コペルが思考回路を必死に巡らせた。
(たまたま通りすがった人か…?いや、β時代からやってた人ならあんなリトルペネントの大群を見たら素直に帰るだろう…初心者には無理だし…「ガサッ」…‼」
いきなり近くの茂みから草木をかき分けながら歩いてくる物音がした。
(リトルペネントの残りか?今一匹だけだったら僕の足でも逃げ切れる‼)
しかしコペルの思っていた物とは違かった。
茂みから出て来たのは黒いコートを纏ったプレイヤーだった。
「あああああ…だるかったー、…まぁ、いい運動になったな…
声からして男だろう、とコペルは思った。
ただでさえ男女比率の差が激しいSAOを見ると当たり前だろう。
さて、そんな謎のプレイヤーが話しかけて来た。
「ん、おお、やっと起きたか、ずっとお前が食われないように俺一人で頑張ったんだぞ⁉少しは感謝をしてくれ‼」
「え?…あ…ああ、ありがとう。」
数十分前
side アキ
おお…俊足使って来てギリギリ着いた…うん、疲れた…
さて、と。ひとまずここで休憩するか…確かコペルの死刑執行は夜だったかな?
今はまだ、夕方だから大丈夫だろう…
んじゃ、何か神から連絡来てないかメールボックスを見るか。
俺は人差し指と中指を下に下ろし、ステータス・ウィンドウを開きメールボックスを確認した。
お、一通来てる、誰からだろ?…神からかな?もしかしていきなりこの世界に送って悪かったとかかな?それならそれでもしかしたらもう一つテンプレ貰えるとか、期待しちゃうんだけどなー…
ん?茅場?何故に?
メールの送信相手は何と茅場だった。用件は『ユニークスキルについて』
おっ?これってユニークスキル貰えちゃう系ですか?やったぜ‼
このわけの分からない俊足とユニークスキルが組み合わさったら最強じゃね?これ来た‼俺TUEEEEEEEの時代来たこれ‼
『 from茅場
君には『デスゲーム開始直後に一番呑気なことを考えていた』ことを称えてユニークスキル、『俊足』をプレゼントしよう。
これはゲーム開始直後にカーディナルがプレイヤー全員の脳波を計算し、一番落ち着いていたプレイヤーを検索してその中の一番検索結果が上だったものにプレゼントされるユニークスキルだ。
このスキル、実は簡単そうに見えてそれほど簡単ではない。まず恩恵だが敏捷値+50というチートくさいスキルだ。
…ここまでチートくさくしても意味がないので私は少し制約を掛けた。
・まずスキル『俊足』は最高でも15分しか使えないこと。
・元々の敏捷値+『俊足』で得る+50の敏捷値で一度ステータス的に最大まで行き、そこから常に8割以上の走りをしなかったり止まってしまうと君は一日中移動手段が歩くことしか出来なくなる。
しかし、見事に15分間走り切った時は10分間のインターバルが必要だが使えるようになる。(その10分間の間はやはり移動手段が歩くことしか出来なくなる。)
また、このスキル、『俊足』は武器の降る早さにも加算され、より早く武器を降ることができるようになる。
しかし、この場合常に敏捷値と降る速さで『俊足』の力は半々になってしまうので、発動時間は半分の7分30秒となってしまう。
もちろん、上の制約の内容ではチームプレイは難しいと言える。…つまり、私が何を言いたいかというと…
一番最初に変なことを考えていた奴はもういっそのこと周りから浮いてしまえ‼
という事だ。
では、この『俊足』を使ってゲーム攻略に励んでくれたまえ。』
「…」
何でだろう…
「茅場が可哀想過ぎて泣きそうになって来た…」
…色々と茅場さんも苦労をしているのだろう…
俺は今、茅場も人間なんだな、と再認識をした。
…さて、と、もう少しで日が沈むか…そろそろコペル達を探そうか…
アキは休んでいた時に座っていた石から立つと走り出そうとした。
ふと、アキは自分の足に違和感を憶えた。
(?)
何故走れない?
アキは自分の足を前に出す力を少し強めて地面をければ走れる事など言われなくても分かる。
だが何故だろう、足が自らその意思を拒んでいるような感じがするのは…?
アキはふと、茅場のメールの内容にあった一文を思い出した。
『・元々の敏捷値+『俊足』で得る+50の敏捷値で一度ステータス的に最大まで行き、そこから常に8割以上の走りをしなかったり止まってしまうと君は一日中移動手段が歩くことしか出来なくなる。』
…あ、うん、詰んだわ…ごめん…コペル…
頑張るよ‼頑張りますー‼
アキは今自分が走りたいのにはしれないというもどかしい感覚と戦いながら歩いていた。
どうやらここの間は早歩きぐらいは出来るらしく、走るか走らないかのギリギリの所で歩いている。
(ああー…くっそ‼何このもどかしい感覚‼気持ちわりい…)
アキも心の中でも耐えられないらしくずっと愚痴っていた。
「クソッ‼本当に見つからねー…イライラしてくる…絶対に見つけた時にはリトルペネントで憂さ晴らしをしてやる。『パァン‼』‼」
今のはコペルが実付きを倒した音か…今聞こえて来た方角は北…音からして少し離れてるか…早くしないとな…
アキは今一層急ぎ足でコペルの所へと向かった。
アキは結果的には間に合ったが、それでもコペルが無傷とまでは行かなかった。
アキはコペルが食われそうになった瞬間を見てギリギリの所でポーチにあらかじめ買っておいた短剣を出した。
アキは何も考えずに投げたのでスキルなどは発動しない。ただ単に投げただけだ。
しかし、投げた短剣は偶然クリティカルヒットし、ノックバックを起こした。
そのおかげでコペルは捕食されずギリギリの所で助かった。
(ふぅ、やっぱ前世の間にやっとける物はやっとけって親父に言われたからな…良かった…野球とかこのゲームに必須な剣道憶えといて…)
…とにかく、一安心だな、と息をついた
(…さて…原作を変えちまったか…別に自分の意思でやったから後悔してないけどまぁ、少し罪悪感が…)
しかし、そんな事を考える暇もなくリトルペネントは徐々に迫って来ていた。
(…さぁ、ここからか、俊足も使えない、走れない、アイテムもほとんどない、あるのはそこらで買った片手剣だけ…最高のシュチュエーションじゃないか…)
アキは自然といつも通り笑っていた。
(普通にやったら俺ががこのリトルペネントの集団に負けるが…なら、これはどうかな?)
アキは片手剣を二本(・・)取り出し、両手に握らせた。
さて、少しだけアキの前世の話をしよう
アキの前世の父親は何でも挑戦する人だった。
例えばアキが何かやりたいと言ったら自分も本気で取り組むし、興味を示した物は必ずアキにやらせる。
剣道の場合はアキがやりたいと言ってやっていたものだが、二刀流に挑戦しようと言ったのは父親だった。
最初は二刀流何て握らせて何やってるんだ、と周りの人たちから言われたがアキは飲み込みが早く、グングンその腕を磨いていた。
一年後、剣道場の一番強い奴に勝てるまで成長していた。
周りからは妬みの対象となっていた、イジメをしてくる輩もいた。しかし、その度にアキは返り討ちにしている。
気づけばアキはもう敵なしとなっていた。
アキはもう自分に勝てる相手が居ないと知り、それから今までずっと剣なんて握っていなかった。
そう、今はもうほとんど頭では二刀流何て憶えていないが、体が覚えている。
一度体で憶えた事は必ず忘れない。だから今こうやっておふざけなしでやっているのだ。
「…さて…」
アキは口を開いた。
その口調は普段のアキとは違っていた。まるでトカゲが蛇になったようなほど変わっていた。
そう、今、アキはこの瞬間を楽しんでいた。
他人から見ると異常、変人と思われるだろう。…だが、アキの中では『普通』だ。
「さて、精々楽しませてくれよ、花ども達。」
アキは口を開け、笑いながら昔の自分を思い出すため今まさに眼前まで迫って来ているリトルペネントの大群へと身を入れた。
後書き
はい、今日でも終わりませんでした。\(^o^)/
つ、次で必ず…
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