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久遠の神話

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第六十四話 戦いを止める為にその六

「当然政策も大きく変わる」
「内政だけでなく外交も」
「今の共和党の政策はかなり極端だね」
 実はこの領事は民主党系だ、それでこう言うのだ。
「何というかね」
「ネオコン的過ぎるというのですね」
「大尉はどちらだったかな」
「共和党か民主党か、ですか」
「そう、支持政党はどちらだったかな」
「軍人ですので」
 中立性を守りたい、それでこう言うのだった。
「そういうことは」
「そうか」
「ただ、私はシカゴ出身ですし」
 それに加えてだった。
「アフリカ系ですので」
「そういうことだね」
「親は民主党員です」
「君自身はそうなんだね」
「そういうことで、ですが私は軍人です」
 あくまで軍人だというのだ、政治的には中立である。
「ですから」
「そうか、では大統領が交代しても」
「その政策に従うだけです」
 ただそれだけだというのだ。
「私はそうです」
「そうだね、ではね」
「気になることは事実ですが」
 彼が大統領に告げられた任務がどうなるか、それは気掛かりだったが言うことは出来なかった。例え相手が領事であっても。
「しかしです」
「命令に従う」
「そういうことだね、軍人らしく」
「そうさせてもらいます」
「まあ今回の選挙はね」
 この話に戻った。
「民主党だね」
「民主党有利ですね」
「大統領は絶対に代わるよ」
 民主党の大統領になるというのだ。
「あのメキシコ系のね」
「カルフォルニア州上院議員の」
「あの人にね、しかし今度はヒスパニックの大統領か」
 メキシコ系だからそうなる、所謂ラテンアメリカ系がヒスパニックなのだ。
「面白いことになるね」
「アフリカ系の大統領だけでなく」
「うん、今度はヒスパニックとはね」
「アジア系の大統領も出ますね」
 アメリカでマイノリティーとされている彼等からだというのだ。
「やがては」
「そうなるだろうね、女性大統領とかもね」
 出るのではないかという話が為される、そして。
 領事は今度はこうスペンサーに話した。
「今の民主党が掲げている政策だけれどね」
「それですね」
「随分穏健だね」
「今の共和党と比べますと」
「共和党の政策は伝統的だね」
 領事は少しシニカルに述べた。
「ネオコンのね」
「まだネオコンに動かされているのは」
「問題だと思うよ、ああした強硬なやり方はね」
「そのことについては言えませんが」
 軍人としてだ、やはり軍人として語り動くのだった。
「ですから」
「ああ、では聞いてくれるかな」
「それでは」
 構わないというのだ、己の言葉を言えないのならそれで。
「そうさせてもらいます」
「合衆国が世界の盟主であり続けるのはいいとしてこだわり続けるのはどうかと思う」
「そうですか」
「その為にどうもお世辞には綺麗とは言えないこともしている様だしね、魔術に訴える様なことすらしているというが」
「それはですか」
「どうかと思うよ、私個人としてはね」
 民主党系の領事の言葉だ。
「あの人はそういう人じゃないからね」
「合衆国を世界の盟主とすることは絶対としても」
「そう、そこまではね」
 魔術やオカルトを使ってだというのだ。 
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