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久遠の神話

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第六十四話 戦いを止める為にその三

「難しいな、本当に」
「ですね」
 高橋が工藤に応える。
「人間、神様もな」
「人を好きになるっていうことは」
「好きになれば一途になるが」
「その一途がこんなことになるんですね」
「人を好きになることはいいことだが」
「俺達をずっと戦わせているんですね」
「正直癪に触りますね」
 大石はこの感情をあえて二人に出した。
「そうですね」
「ええ、本当に」
「そうも思います」
 二人も大石に応えてそうだと答える。
「利用されていますから、俺達は」
「神話の頃から命を賭けさせられて戦わされて」 
 そうしたことが癪に触らない筈がないというのだ、こう話してだった。
 二人は大石に対してあらためて言った。
「この戦いは個人的にもです」
「終わらせたくなりました」
「そうですね。私もです」
「俺達はその仕事上個人としての感情は出してはなりません」
「それは絶対にです」
 自衛官に警察官、それならばだ。
「しかしそれでもそこまで利用されているとなると」
「どうしてもそう思ってしまいますね」
「いい気持ちにはなれません」
「どうしてもです」
「私もです、ですから」
 だからだった、大石も言うのだった。
「この戦いは何としてもです」
「はい、終わらせましょう」
「俺達の手で」
「公の話にしますと本当に無益です」
 大石は彼個人の感情を消して公に戻って述べた。
「人と人のエゴをぶつけ合わされ、そして利用されるだけの」
「本当に無益で醜い」
「そうした戦いでしかないですね」
「なら終わらせましょう、私達の力なぞ限られているかも知れませんが」
 それでもだというのだ。
「誰も道を誤らず生き残ったうえで」
「戦いを終わらせるべきですね」
「何としても」
「私達の考えは同じですね」
 大石は微笑んだ、二人の確かな心がわかったからだ。
 それでだ、こうも言ったのだった。
「これからも宜しくお願いします」
「はい、それではこれからも」
「共に」
 三人はほぼ無意識のうちの手を差し出し合った、その手を握り合ったのだった。
 三人は決めていた、そして。
 二人は午後その足で上城のところに向かった、彼は丁度部活に行く途中だった。
 その彼にだ、こう言ったのである。
「話は聞いた」
「それでだけれど」
「はい、僕も連絡を受けてます」
 上城も携帯を出してそのうえで二人に応える。
「神父さんから」
「なら話は早いな」
「俺達は決めているよ」
 戦いを止めるとだと、こう上城に告げた。
「神父さんと一緒にな」
「そうさせてもらうよ」
「そうですか。僕もです」
 上城もだった、その顔を向けて二人に答えた。 
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