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八条学園怪異譚

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第五十話 秋に咲く桜その九

「次はね、あそこにいる人はね」
「ええと、次は一体」
「どなたですか?」
「怪人よ」
 それになるというのだ。
「仮面を被ったね」
「仮面、ですか」
「じゃあオペラ座の」
「仇名はそうよ」
 間違いなくそうなるというのだ。
「オペラ座の怪人って言われてるのよ」
「その人がですか」
「いるんですか」
「妖怪さんになるわね」
「幽霊さんじゃなくて、ですか」
「妖怪さんですか」
「そう、あそこ実は妖怪さんも幽霊さんも集まる場所の一つだけれど」
 劇場は舞台を上演するところだ、つまり妖怪も幽霊も舞台を観る為にそこに集まるというのだ。
「そこにいる人なのよ」
「じゃあ次は」
「そこにですか」
「そう、行くといいわ」
 桜の場所が泉でなくともだというのだ。
「じゃあ次も決まったし」
「はい、それじゃあ」
「桜のところに」
「今日の十二時ね」
 茉莉也は二人に時刻を指定してきた。
「あそこに着く様にしましょう」
「あれっ、先輩もですか」
「来られるんですか」
「桜を観ながらね」
 どうするかとだ、茉莉也は二人に上機嫌で話す。
「今日日曜だけれどね」
「あそこに行ってですか」
「また飲まれるんですか」
「お茶をね」
 飲むのはそれだった、いつもの酒ではなくだ。
「飲みに行くわ」
「そうですか、お茶ですか」
「今回は」
「そう、お茶を」
 今日飲むのはそれだとだ、上機嫌で言う茉莉也だった。
「飲むわよ」
「お茶、ですか先輩が」
「お酒ではなくて」
「そうよ、珍しいかしら」
「はい、かなりびっくりしました」
「普段がお酒ですから」
 二人はこのことを否定せずに茉莉也に答える。
「どうしてお茶なんですか?」
「そのこともかなり気になります」
「気分の問題よ」
 それによるというのだ。
「今はあそこでお茶を飲みたい気持ちなのよ」
「じゃああそこまでお茶持ってですか」
「そうして」
「ええ、お茶はお茶でもね」
 お茶と言っても色々だ、緑茶もあれば麦茶もある、中国茶に紅茶と他の国のものを含めるとさらに多くなる。
「お抹茶よ」
「つまり茶道ですか」
「そちらですか」
「私実はお抹茶も好きなのよ」
 それで飲みたいというのだ。
「だからね、それでいくから」
「わかりました、それじゃあ」
「行きます」
 こう話してそしてだった。
 三人は桜の場所に行くことにした、とはいっても日本の学校には桜が非常に多い。三人が行く場所はというと。 
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