こんな私(俺)の物語
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第十話 チェスゲームですか敗北ですか
前書き
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ありがとうございます!
まだまだだな、俺も。
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『ライザー・フェニックス様の「兵士」三名、リタイア』
運動場に移動していたとき、アナウンスが入った。木場が倒したらしい。これで状況はライザー九人、こちら六人。
まだマシになったな。が、油断できるものではない。
ん?一誠の動きが止まった。おお、木場か。
「なんだ、お前か」
「うん」
びっくりしたんだろうな。
「すまん、木場。子猫ちゃんは・・・・・・」
「アナウンスを聞いているから僕も知っているよ。無念だっただろうね。いつも何を考えているかわからない子だったけど、今回は張り切っていたよ。森にトラップを作るときも一生懸命にしていた」
「・・・・・・勝とうぜ」
「もちろんだよ、イッセーくん」
男同士が友情を確かめあってる。
「で、相手の『兵士』を倒したのはあなた?」
「まあね。運動場の部室棟は重要なポイントだから敵が多いんだ。なんとか、見回りの『兵士』だけを集めて一網打尽にできたんだけど、ここを任せられているボスが冷静でね、まだ挑発に乗ってこないんだ。というよりも『兵士』を使って僕の攻撃を見ていたのかな。犠牲が好きな戦法のようだね、ライザー・フェニックスは。自分が不死身ってことと、下僕の人数が多いからこそできることなんだろうけど」
戦争とかおきたら真っ先に死ぬタイプだな。自分の不死性に胡座をかいてる。
まぁ、俺も境界を操る程度の能力に胡座をかいてるんだけども、それでも、能力無しで使える技作ったり、体鍛えたりそこそこ努力している。
あの焼き鳥は絶対努力とかしていなさそう。平気で犠牲戦法とるフェニックスは、最初に敵対するとかより、そこで気に入らない。
そういえば、ここのボスは焼き鳥の妹のレイヴェル・フェニックスだったけ。面倒だから焼き鳥妹だ。
あ、俺の服って目立つ。
「ここを仕切っているのは『騎士』、『戦車』、『僧侶』が一名ずつ。合計三名だよ」
「ちょうど三対三ね。兵士がいなくてよかったわ」
「兵士も合わせると六人だったのか。すげぇ厳重だな」
「それだけここからの侵入を警戒されているのさ。ただでさえ、体育館を消し飛ばされたわけだから、こちらに力も集中するよ」
少し震えてきた。やっぱり、ゲームとはいえ殺しあいは恐い。
初めて堕天使と戦ったときも、
銀髪と死闘をしたときも、
さっき焼き鳥の眷属と戦った時だって、
逃げ出したかった。本当に恐かった。命のやり取りなんて一瞬で終わることもあるんだ。
能力がなかったら、俺はただの弱い人間なんだ。強がっているだけの人間だ。
「緊張しているのかい?」
一誠にかけられた言葉なんだろうが、俺も反応してしまった。緊張じゃない。恐怖だがな。
「あ、当たり前だ!こちとら戦闘経験なんて零に等しいんだぞ。それでいきなり本番だ。戦闘経験豊富そうなお前に比べたら俺は雑魚もいいとこさ」
ここで不安にさせると不味いな。俺は必死に自分の気持ちを抑える。
「ほら」
木場の手も震えている。緊張感がすごいのだろう。
「イッセーくんは僕を戦闘経験豊富だと言ってくれる。確かにそれは本当だ。でも、レーティングゲームに参加するのは初めてなんだ。悪魔同士の本気の戦い。今回が特別だとしても、本気だということは変わらない。いずれ、僕たちは否応なしに悪魔同士の競技に参加していく。これがそのファーストゲーム。油断も隙も見せられない。これは部長の眷属悪魔として全てをぶつけ合う勝負なんだよ。今後の全てにも繋がる大事なものだ。僕は歓喜とともに恐怖も感じている。僕はこの手の震えを忘れたくない。この緊張も、この張り詰めた空気も、全て感じ取って自分の糧にする。お互いに強くなろう。イッセーくん」
俺にはないのか?もしかして朱乃に勝ったから、強いと思ってるのか?メンタルはそんなに強くないんだ。
やっぱりイケメンだよな、木場は。
「んじゃ、部長が惚れ惚れするようなコンビネーションでも展開すっか」
「そうだね。力を合わせよう」
「骨は拾ってあげるわよ~」
「紫さんも手伝ってください!」
あっはっは、お前ら男だろう?女を守れよ。その時、焼き鳥の眷属とは思えない正々堂々とした声が聞こえた。
「私はライザー様に仕える『騎士』カーラマイン!こそこそと腹の探りあいをするのも飽きた!リアス・グレモリーの『騎士』よ、いざ尋常に剣を交えようではないか!」
野球部のグラウンドに甲冑姿の女性。シュールだ。コスプレ感が半端ない。
「名乗られてしまったら、『騎士』として、剣士として、隠れているわけにもいかないか」
「あのバカ」
堂々と出ていく木場。悪態をつきながら追いかける一誠。
・・・・・・流れ的に俺もいかなきゃいけないのかな?
「僕はリアス・グレモリーの眷属、『騎士』木場祐斗」
「俺は『兵士』の兵藤一誠だ!」
「『兵士』の八雲紫よ」
カーラマインさん。好印象。ろくでもないあだ名をつける気にはならんな。
「リアス・グレモリーの眷属悪魔にお前たちのような戦士がいたことを嬉しく思うぞ。堂々と真正面から出てくるなど、正気の沙汰ではないからな」
俺は流れだ。うん。俺もお前みたいなのがいてくれて嬉しいよ。
「だが、私はお前たちのようなバカが大好きだ。さて、やるか」
剣を構える騎士ども。清々しい。
「『騎士』同士の戦いーー待ち望んでいたよ。個人的には尋常じゃない斬り合いを演じたいものだね」
「よくいった!リアス・グレモリーの『騎士』よっ!」
ギンッ!
火花散らしてが流れそう。速いな。手数で攻めるのが騎士なんだな。こういうタイプは一撃の威力が低い可能性があるから、低かったら、体力が無くなるまで結界で弾くのが効率的か?白刃取りなんざできん。
周りのものがゆっくり見えるようにできるとはいえ、体がついてかん。
ん?お客さんか?
「ヒマそうだな」
「ッ!」
一誠がびっくりする。顔の半分にだけ仮面をつけた『戦車』の女性。
それと文句言いながら来る焼き鳥妹。
「全く、頭の中まで剣剣剣で塗りつぶした者同士、泥臭くてたまりませんわ。カーラマインったら、『兵士』を『犠牲』にするときも渋い顔していましたし、主である『王』の戦略がお嫌いなのかしら?しかも、折角可愛い子を見つけたと思ったら、そちらも剣バカだなんてついてませんね」
焼き鳥妹。焼き鳥が女漁るのなら、妹は男漁るのか。
戦場にドレスで来る焼き鳥妹。俺?俺は制服みたいなもんだからいいんだよ。
頭の両側にドリルロール、典型的な高飛車お嬢様みたいなやつだ。
こいつ、ライザーより働いてなくね?お前が犠牲されろ。不死身だしちょうどいいだろ。
不意討ちに備え、傘を構える。
「うーん。この子がリアス・グレモリー様が可愛がっている『兵士』さん?あの方、殿方の趣味が悪いのかしら」
疑問系じゃないのが腹立つ。しかも礼儀がない。自分が貴族だからってそれを築いたのはお前じゃない。
「ブーステッド・ギア、スタンバイ!」
『Boost!!』
一誠が飛び退き、倍加を始める。
しかし焼き鳥妹は嘆息している。潰そうかなぁ。新技の実験台にもってこいだ。
「私、あなたのお相手はしませんわよ。イザベラ、あなたがお相手してあげたら?」
うわぁ~。超上から目線。戦わないクセに腹立つ。完全に格下と見ている。
「元からそのつもり。さ、お互い手持ち無沙汰ならば戦い合おう」
「あ、うん。それはいいんだけど、そっちの『僧侶』さんはバトらないのか?」
「あー、気にしないでくれ。あの子は特殊だから。今回の戦いも殆ど観戦しているだけだ」
「な、なんだ、そりゃ!」
ニート?
「彼女はーーいや、あの方はレイヴェル・フェニックス。ライザー様の妹君だ。特別な方法でライザー様の眷属悪魔とされているが、実の妹君だよ」
「えっ、ええええええええええええええええええ!?」
一誠五月蝿い。
「ライザー様曰く、『妹をハーレムに入れることは世間的にも意義がある。ほら、近親相姦っての?憧れたり、羨ましがる者は多いじゃん?まあ、俺は妹萌えじゃないから形として眷属悪魔ってことで』だそうだ」
・・・・・・バカの発言だが、愛のない近親相姦はいけません!
バカだ。焼き鳥。下手すりゃ、妹死ぬぞ?
悪魔ってみんなこうなのかな?やめたくなってきた。
「では、行くぞ!リアス・グレモリーの『兵士』どもよ!」
一誠に向かって拳を振るう。間一髪、顔を横に避けて当たらなかった。
って『兵士』どもよ!って。俺もターゲット!?
「うん。この程度の打撃はかわすか。すまない。少し見くびった。一段、否、二段ほどギアを上げよう!」
先程よりもはやく殴りかかるイザベラ。ブーステッド・ギアのせいで激しい運動が出来ないため、一誠はいつもよりサンドバッグになっている。
蹴りを入れようとしたところで、俺はその足を受け止める。あくまで俺は時間稼ぎ。
「ぬっ!?」
「紫さん、ありがとうございます!」
『Boost!!』
こうしているうちに倍加は滞りなく進んでいく。
「やるな。てっきり肉弾戦は専門外だと思っていたのだがな」
「あら、誰も魔術しか出来ないなんて言ってないわよ」
「それでも、そっちの『兵士』の方ができると思っていたんだ」
「そう。油断していたら沈めるわよ。」
「挑むところだ!」
素早く後ろに跳んで体制を整えたイザベラ。その直後、右拳が飛んできた。顔面狙って。
乙女の顔面を殴るな!顔を左に動かして避ける。続いて飛んできた右足を左手で受け止める。そのまま右足を掴んで引っ張る!体制を崩したと思ったら、左手を地面について、蹴ってきた!それをスキマの縁で受け止める。
怯んだ瞬間、掴んでいる足を離して、回転しながら右手に持っている傘を当てる!
「がっ!」
入りが甘かったな。俺もまだまだだ。
「紫さん!あとは任せてください!」
「あら、じゃあ頑張って」
「はい!」
一誠が俺の前に出る、が、蹴られた。
おい、俺が時間稼ぎした意味なくなってんじゃん。
ああ、サンドバッグになっているよ。これが修正力というやつか?
「以外とやるな。正直、もう一度痛め付けたら終わると思ったんだがな・・・・・・。どうやら、リアス・グレモリーはよく鍛えこんでいるようだ。何より体力が凄まじいな。真剣勝負の場合、一番重要なのは体力だ。ただ対峙して戦うだけならバカでもできる。だが、それを継続して数分間でも戦うにはかなりの体力が必要だ。戦闘は体力と精神を激しく使う。避けるだけでも相当な労力がいるからな。それがいまのところ可能なのは、君たちが相当な体作りをしてきたからだ」
一誠が持つんだ。三倍こなした俺が持たんわけがない。疲労感は凄まじいがな!
でも無茶ぶりされなくてよかった。一日三十時間修行とか、頑張れば可能なのが悲しい。
一誠が泣き出した。感動するのはわかるが、一対一の時には泣くなよ?
「・・・・・・どうやら、余計なことを言ったようだ。そちらの『兵士』から感じる重圧が増したよ」
「『戦車』イザベラ。俺はリアス・グレモリー様の下僕で一番弱くて戦闘の経験も少ない。それでもあんたを倒す!」
一誠が気合いを入れたその時、
ブゥン!
と風を切る音が聞こえる。そちらを見ると、木場が闇の剣を振っていた。
光喰剣。
木場の神器の一端。闇に包まれた名前通り、光を喰らう剣。だが、カーラマインの炎の剣で消し飛ばされたらしい。
「残念だが、私に貴様の神器は通用しない」
それが木場の神器の全てじゃないからな。俺も魔剣は創れないが、剣は創れる。まさにチート。
「では、僕もこう返そうかな。残念だね。僕の神器はこれが全てではないんだ」
「何?戯言を。グレモリー家の『騎士』よ、見苦しさは剣士としての本質を曇らせてーー」
「ーー凍えよ」
木場がそう言った。そして段々寒くなってきた。冷え性は女の敵だ!
刀身がなくなった剣が段々と氷がおおっていき、新たな刃を作り上げた。
バリン!
「炎凍剣ーーこの剣の前では、如何なる炎も消え失せる」
炎凍剣を出した。如何なる炎も消え失せるって、俺の焔は消えるのかな?
魔力返還で炎を生み出せは出来ないけど、融合と分裂の境界による焔。
・・・・・・消せるわけねえよな。皆さんおわかりだろうが、エネルギーが違いすぎる。
「バ、バカな!神器を二つも有するというのか!?」
カーラマインの剣が氷におおわれていき、固まり、砕ける。が、そこは『騎士』。剣を早々に捨て、腰に携えた短剣を抜き天にかざして叫ぶ。
「我ら誇り高きフェニックスの眷属は炎と風と命を司る!受けよ!炎の旋風を!」
ゴウウゥゥゥゥ!
カーラマインと木場を中心に、野球のグラウンドを炎の渦が包む。またか!何度肌にダメージを与えれば気がすむ!(戦闘中にそんなことを言うな)
結界で炎を防ぐ。
「カーラマインめ。味方が近くにいることを忘れているのか!」
一誠もついでに結界で覆う。イザベラが毒ずく。
が、木場はそれでも冷製だ。
「なるほど、熱波で僕たちを蒸し焼きにするつもりか・・・・・・。だけど」
また刀身がなくなった剣を前に構え、力強くいい放つ。
「ーー止まれ」
ヒュゥゥゥゥゥン!
と、豪快な音を立てていた旋風が木場の剣に吸い込まれていく。
「風凪剣、一度の戦闘で二本以上も魔剣を出したのは久しぶりだよ」
風を吸い込む特殊な形をした刃。
「・・・・・・複数の神器。神器所有者から得物を奪い、自分の物にしている後天的な神器所有者か?」
「僕は複数の神器を有してもいないし、後天的な神器所有者でもない。ーー創ったのさ」
「創る・・・・・・だと?」
「そう、『魔剣創造』。僕は任意に魔剣を創り出せる。それが、僕の持っている神器の本当の能力であり名称だ」
地面に手のひらを向けると、グラウンドから複数の魔剣が飛び出した。
無限の剣製みたいなものだな。
自分の望み通りの剣が創れるか、劣化宝具が創れるかの違いくらいか。
『Boost!!』
「ブーステッド・ギア!爆発しろ!」
『Explosion!!』
お、溜まったか。両手を上下で合わせかめはめ、もとい、ドラゴン波を放つ。
合宿でなんとか魔力が操れるようになった一誠の、文字道理入魂の一撃。その威力は、山を消し飛ばす。
加減するよな?
ドンッ!
魔力の塊が飛び出した。
「ぐわっ!」
自分で撃ち出した技の反動で後ろに飛ぶって、Xバーナー開発する前のダメツナみたいだな。
一誠の五倍はある。目標は焼き鳥の『戦車』だ。
そういえば、部長は『戦車』が厄介だと言っていたな。
「レーティングゲーム」はチェスにならっている。『戦車』特有の能力、『キャスリング』。
『王』と自分の位置を一瞬で取り替えることができる。
もっと言えば、速度が速いものに駒を与えたら、オールラウンダーになる。
肉体的に弱い魔術師に与える手もある。
長所を伸ばすのも、短所を補うのもできる。まあ、これは『兵士』と『王』以外の駒全てに言えることだがな。
そろそろ戦闘に戻ろう。
「イザベラ!受け止めるな!避けろ!」
寸でのところでかわしたイザベラ。いい判断だ、カーラマイン。避けられたドラゴンショットは、テニスコートにぶち当たる。
ゴォォォオォォンッ!
うわぁ。地形が変わっちゃった。やっぱ神滅器はスゲーな。一誠程度の力であれだけの衝撃だもんな。俺もあれだけの手加減はできるかな?最低威力のマスパでも、あれ以上の威力だし。散弾の方がいいな。
「イザベラッ!その『兵士』を倒せ!そいつは!その神器はこの戦場を一変させるほどの力がある!」
「承知!ブーステッド・ギア!『プロモーション』させれば我々にとって脅威となる!その前に叩く!」
またもラッシュを繰り出すイザベラ。だが、強化された一誠は上級悪魔並みだ。ガードしてやり過ごした。
一誠が殴る。創造以上の威力に吹き飛ばされた。
「弾けろ!『洋服崩壊』!」
「なっ!なんだ、これは!」
しまった!使いやがった!急いでスキマからタオルを出して拘束兼保護をする。矛盾しているはずなのに、正しい言い方なんだよね。
「ああ!紫さん!なんでお楽しみタイムを邪魔するんですか!」
「さっさと止めさしなさい」
「あーもう!いっけぇぇぇぇ!」
魔力の波動が放たれた。
ドォォォォォンッ!
『Reset』
と、同時に光となって、イザベラは消えていった。
『ライザー・フェニックス様の『戦車』一名、リタイア』
「よっしゃあぁぁぁぁ!」
戦車撃破。
「よくやったわね、一誠」
俺が誉めるのは、あんまりないんだ。
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どうも、絶賛レーティングゲーム中の八雲紫です。
一誠は消耗が激しい。倍加したとはいっても、出力を上げているだけだ。貯蔵量は、変わらないから、疲労も増える。強化すれば負担も大きくなる。
「どうやら、あの『兵士』を、ブーステッド・ギアを侮っていたようだ、私もイザベラも。やはり、ただの『兵士』と思わない方が賢明なようだ。
・・・・・・しかし、酷い技だ。いや、恐ろしい技と言うべきか。お、女の服を消し飛ばすとは・・・・・・」
「ごめんなさい。もっと速くタオルを巻けばよかったわね。」
「イヤー、本当に面目ないね。そればかりは僕からも謝るよ。家のイッセー君がスケベでご免なさい」
謝るしかありません。このオープンスケベを矯正できなくてすいません。
「しかし、魔剣使い・・・・・・数奇なものだ。私は特殊な剣を使う剣士と戦い合う運命なのかもしれない」
「へぇ、僕以外の魔剣使いでもいたのかな?」
「いや、魔剣ではない。ーー聖剣だ」
「ーーっ」
聖剣。そのワードを聞いた瞬間、木場から殺気が生まれる。
聖剣のせいで同士が沢山殺されたんだったな。わからんでもない。
そこまで怖くはないが。
「その聖剣使いについて訊かせてもらおうか」
「ほう、どうやらあの剣士は貴様と縁があるのか。だが、剣士同士、言葉で応じるのも不粋。剣にて応えよう!」
「・・・そうかい。・・・口が動ければ、瀕死でも問題ないか」
完全に頭に血ぃのぼってやがる。瀕死まで痛め付けたらこのフィールドから消えるよ。そんなことも忘れるくらいだからな。あっちはほっとくか。それよりも、
「一誠、気を引き締めなさい」
「えっ?」
「ここね」「あれ?イザベラ姉さんは?」「まさか、やられちゃったの?」
『兵士』二名、『僧侶』一名、『騎士』一名。残りの焼き鳥眷属集合。
全く、朱乃はユーベルーナだっけ?まだやってんのか?いい加減倒せ。
「ねー、そこの『兵士』たち。ライザー様がね、あなたのところのお姫様と一騎打ちするんですって。ほら」
新校舎の屋上で、黒い翼を羽ばたかせている部長と、炎の翼を羽ばたかせている焼き鳥がいた。
・・・・・・あのバカ王。まあいいか。原作通りだし。とりあえず、ユーベルーナ潰すまでやられないでくれよ?
『イッセーさん!紫さん!聞こえますか!?』
「アーシア!どうかしたか?もしかして部長の事か?」
『はい。いま、私と部長さんは学校の屋上にいるんです。相手のライザーさんに一騎打ちの申し出をいただきまして、部長さんが応じたんです!お陰で何事もなく校舎まで入ってこられたんですけど・・・・・・』
・・・・・・ハア。ため息しかでねえ。最低限力量を測れ。お前は一番強い訳じゃないんだ。格上相手に馬鹿正直に真正面から勝負するな。
「お兄さまったら、リアス様が意外に善戦するものだから高揚したのかしらね。普通に戦えば私たちの勝利ですもの。情けを与えたのでしょう。このままでは、対峙する前にやられてしまいそうですし。ホホホ」
「部長は強い!朱乃さんだって『女王』を倒してすぐに駆けつけてくれる!木場も魔剣コンボでこの場にいる連中全員撃破だ!俺だってブーステッド・ギアでーー」
「『紅髪の滅殺姫』、『雷の巫女』、『魔剣創造』、そして『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。聞いているだけだと尻込みしてしまうようなお名前ばかりですわね。けれど、あなた方の相手は『不死鳥』です。どんなに絶対の力を持っていても不死身が相手ではどうしようもありませんわ。それに、そこにいる女は無名なのですから、そもそもここにいること事態おこがましいですわ」
「フェニックスにも弱点はある!それに、紫さんをバカにするな!」
「フェニックスの弱点?精神がやられるまで何度も倒すのかしら?それとも神クラスの力で一撃必殺?あなたたち、このゲームに勝とうとか思っているの?お笑いね」
「なんでだよ!」
「だって、この勝負はリアス様に勝ち目なんてないんだもの。不死身って、それぐらいあなた方にとって絶望的なのですわよ?」
単純に言えば、無限を相手にしているようなものだ。
それでも、ここまで高飛車に来られると腹立つな。が、伏線は張った。一誠に応用の例を教えておいた。出来るかは知らんが。不死身を潰すには、精神を殺せばいい。
下僕悪魔が一誠を囲む。俺は相手にする価値もないってか。
「カーラマイン。その『騎士』の子はあなたに任せますけれど、あなたが負けたら私たちは一騎打ちなんてむさ苦しいことはしませんわよ。皆で仲良く倒しますわ。それともこれ以上フェニックスの看板に泥を塗るつもり?シーリス」
「御意」
「彼女はお兄さまのもう一人の『騎士』。そこのカーラマインと違って、騎士道云々にこだわりませんわ。相手を必ず倒す。それだけです。でも、あなたはあっちの女を始末しなさい」
そう言った。シーリスは俺に対面し、幅広の剣を抜く。
「ニィ、リィ」
「にゃ」「にゃにゃ」
「彼女たちは獣人の女戦士。体術は、それはそれは大したものですのよ?」
はっきり言おう。全員体術でゆうかりんに勝ててねえよ。一誠がショボいだけだ。
あーあー、殴られてるよ。
「ブ、ブーステッド・ギア!」
『Boost!!』
それでもがんばる一誠。いい根性。
「ニィ!リィ!ブーステッド・ギアは十秒ずつ能力が倍になっていく神器ですわ!イルとネルのチェーンソー姉妹が撃破された具合から考えても三回倍加したら、あなた方では手に負えなくなります!二十秒以内にカタをつけなさい!そちらの神器の特性上、増加中は手を出してきませんわよ!逃げるか守られるだけです!足を狙いなさい!この女はシーリスが始末します!それと、その手には触れてはいけませんわよ!その方、手で触れた者の衣類を吹き飛ばす破廉恥極まりない技を持っているようですわ!」
俺は始末前提か。ずいぶんとなめられたものだ。
「最低!」「ケダモノ!」「下半身で物を考えるなんて愚劣よ!」
「下半身で物を考えて何が悪いか!俺は男なんだよ!!痛ッ!」
「イッセー君!クソ!」
木場は押さえられてこれない。
「カーラマイン!あと十秒耐えなさい!あなたがその『騎士』に勝てないのはわかりましたわ!でも、あと少しでドラゴン使いを葬れそうなの!その『騎士』を止めていてちょうだいな!」
全国のレイヴェルファンの方、スミマセン。この小娘を殴ります。ここまで高飛車かつ高みの見物をしている小娘に力の差を思い知らせます。
ドサッ
一誠が等々膝をついた。そらあんだけローキック喰らえば足は動かんわ。
で、止めをさすと思ったら、いきなり攻撃を止めた。
ゴォォォオォォンッ!
空で轟音。
見てみると、無傷の焼き鳥と疲弊しているリアス。もう部長とは呼ばん。
「ふふっ、あれが現実。あなたたちに勝ち目はないのよ。シーリス」
「はっ」
「そちらの『兵士』を片付けなさい」
「なっ!止めろ!」
何だろう。ピンチに追い込まれたカップルみたいだな。カップルなら私はどうなってもいいからみたいなことを言うのか?生憎と、俺は我が身が大事だがな。
「悪いな」
そう言って剣を振るう。
「「紫さん!」」
一誠と木場が叫ぶ。なんだよ。俺はあんまりシリアスは得意じゃないんだ。
振られた刃。
時間がゆっくりになっていく。
全てがスローモーションで。
その幅広の剣の刃は俺の脳天に、一直線に吸い込まれていき・・・・・・
当たる直前、俺以外の時間が止まった。
『模倣「ザ・ワールド」ってね』
時間を止める。最も、5秒止めれればいい方だが。それで避けて、後ろに回り込む。頭を掴み、時間が動き出すとともに、地面に叩きつけた。
ドゴォン!
作用と反作用の境界を操って繰り出した一撃は、意図も簡単に『騎士』を光に変え、消した。
『ライザー・フェニックス様の『騎士』一名、リタイア』
「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」
その場にいた全員が言葉を失った。
一撃で『騎士』を葬った無名の『兵士』。
誰も予想だにしていなかった。そこで終わると思っていたのに、結果は一瞬で形勢が逆転した現状に。誰もが思考停止した。
クソ。やっぱり体力の消耗が激しい。スキマは使い続けたから消耗は少ないが、時間を止めるとなると、体力が凄い減る。
一番最初に思考を取り戻したのは、一誠だった。
「負けてらんねえ!俺に力を貸しやがれ!ブーステッド・ギア!」
『Dragon booster!!』
「もっとだ!あのときはアーシアだった!今度は部長だ!俺の想いに応えてみせろ!ブーステッド・ギアァァァァァッ!」
『Dragon booster second Liberation!!』
形状が変わっていくブーステッド・ギア。第二の力が使えるようになった。
ほんっと。こんな土壇場で覚醒とは、さすが主人公だな!後はそれを木場に譲渡すりゃOKだな。
「紫さん!お願いします!ブーステッド・ギア、第二の力!『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』!」
『Transfer!!』
・・・・・・えっ!?俺!?木場じゃないの!?いや、確かに俺の方が安全に譲渡できるかつ、近いけど!
俺に譲渡したらただでさえ威力高いのがふざけた物になるじゃんか!抑えきれねえよ!
マスパ無しじゃあぶねえよ!あーもう!こうなったら!
『幻巣「飛光虫ネスト」!!』
後ろに開かれたスキマ。そこから無数の散弾が放たれる・・・・・・のだが、
一発一発の威力が高くなってるよ。相手の『兵士』ぐらいなら一発で十分なくらい。オーバーキルも大概にしやがれ。
ついでに焼き鳥妹も巻き込んだ。仲間まで巻き込みかけたのは秘密だ。
ドゴゴゴゴゴォォォォォン!!!
「カハッ」
「・・・・・・バカな」
「これもドラゴンの力だというのか・・・・・・?」
『ライザー・フェニックス様の『兵士』二名、『騎士』一名、『僧侶』一名、リタイア』
「よっしゃ!」
俺が起こした惨事をみる。流れ弾で地面が抉れたりしている。爆発する弾幕じゃなくてよかった。
「やったね、イッセー君、紫さん」
「ああ、この籠手で紫さんを強化したんだ。でも、俺の強化だけじゃーー」
そこまでいいかけて、この二人にとって信じられないアナウンスが飛び込んできた。
『リアス・グレモリー様の『女王』一名、リタイア』
「ッ!」「なっ!?」
「ッ!一誠!木場君!こっちに来なさい!」
いいながら結界を張る、が、一誠は間に合ったが、木場は僅かな距離で間に合わなかった。
ドォォォォオオオンッッ!
木場が爆破された。あたり一面に血が飛び散り、煙をあげて地面に突っ伏している。そして、すぐに光に包まれ消えていった。
『リアス・グレモリー様の『騎士』一名、リタイア』
うるせえよ。
俺は柄にもなく、そう思った。
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敵が入り乱れていた戦場は、俺と一誠、爆破魔だけになった。
無傷の爆破魔。確か、フェニックスの涙だっけ。エリクサーみたいな物。ホント、詰めの甘い奴らばっかりだ。
「・・・全く、憎たらしい『兵士』ね。今も、あの小娘をやったときだって、あなたがいなければ、全員爆破していたものを・・・。まあ、何はともあれ、『騎士』、撃破」
「朱乃さんと木場をやったのもてめぇ!降りてこい!朱乃さんの!子猫ちゃんの!木場の仇を取ってやる!てめぇに俺の神器の力を叩き込んでやるから降りてきやがれぇぇぇぇ!」
爆破魔は、一誠を嘲笑するような眼差しを残して新校舎の屋上に飛んでいった。
「待て!待ちやがれ!・・・・・・あがっ!」
一誠が後を追おうとするが、体力の限界なのだろう。倒れてしまった。
とか言う俺も、殆ど残ってないのだがな。後は精々、大技三発が限度だな。全く。考え無しに倍加したから、余計に消耗した。
やっぱり、まだまだ強くならないと。俺のためにも、幽々子のためにも、籃のためにも。
「ぬがぁぁぁぁあああああああ!」
立つのか、お前は。そう、がんばるなら、手を貸さん訳にゃいかねえな。
一誠を肩に担いで立たせる。幸い、身長差はそこまでない。
「まだ戦いますの?」
焼き鳥妹が空から降りてきた。所々にダメージがある。当たり前だ。俺の理不尽に強化された『幻巣「飛光虫ネスト」』から逃げ切れたとは思えん。
一誠が拳を構える。
「私、もうやりませんわよ。だって、どう考えてもあなた方の負けですもの」
「うるせぇ。まだ俺も部長も紫さんも倒れてねぇぞ」
「先程のドラゴンの力。確かに凄まじいものでしたわ。相手へ増大した力を譲渡できるだなんて、異常な能力だと思いますし、そこの『兵士』ですらあの威力。『雷の巫女』やリアス様の滅殺の力が膨れ上がると考えるだけで怖いですわ。今後の『レーティングゲーム』で、その力は上級の方々にとって脅威となりますわね。ーーでも、この戦いはあなた方の負け」
「・・・・・・フェニックスが不死身だからか?」
「それもありますけど、あなたもリアス様も、もう体力が残ってないでしょう?そこの『兵士』がシーリスを倒せたのはマグレ。どんなに傷が癒せても体力までは戻りません。今の状態ではじり貧で敗北します」
俺の時間逆流も、傷だけに使ってもとんでもない消耗をする。体力も元に戻すとしたら、どんだけ消耗するか想像したくもない。
「それに、フェニックスの涙。聞いたことあります?この瓶の水はそれ。私たちフェニックスの涙はいかなる傷をも癒すんですのよ。卑怯とおっしゃらないでくださるかしら。そちらだって、『聖母の微笑』を持つものがいるでしょう?」
ついでに、境界掌握扇所持者もいますが何か?
「それにちゃんとルールにも記載されていますわ。『フェニックスの涙はゲームに参加する悪魔二名までしか所持できない』と。あまりに強力なので規制されてしまいましたの。まあ、当然ですわね。あなたたちの空間移動と同じですわ。私たちの場合は私と『女王』が持っていましたの。だから家の『女王』は『雷の巫女』を倒せたのですわね。それに私たちの一族の涙は高値で取り引きされていますのよ。お陰でフェニックス家の財政は潤っていますわ。ゲームが始まってから良いこと尽くめですの。不死身と涙、私たちの時代でしてよ」
「長い戯れ言は終わったかしら?行くわよ、一誠」
「・・・はい・・・!」
「はぁ!?なんですって!負け犬の癖に!どうせ負けるのですから、ここで私とお喋りしていた方が健全で安全・・・・・・!?」
「いい加減黙りなさい」
服を掴んでそのまま開いておいたスキマにぶちこむ。出口は適当。
そうして俺は手のひらの上にある小瓶を見てほくそ笑む。
フェニックスの涙を奪っておいた。まあ、このゲームでは使わないが。
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校舎の裏手から侵入してしばらくすると、プロモーションの条件が満たされた。
「プロモーション!『女王』!」
ズザァァァァ!
一誠がプロモーションして走り出すが、激しくこけた。そこからも頑張っていた。
七転び八起きとはよくいったものだ。俺の服も血やらでかなり汚れてしまった。
そりゃそうだ。ここは現実だ。ゲームじゃない。いや、レーティングゲーム中だけど。
要約屋上についた。勢いよく扉を開け放つ一誠。
眼前には、対峙するリアスとライザー。おろおろしているアーシア。
少しみるだけでもこちらが劣勢だとわかるほど、リアスは疲労していた。
「部長ォォォォッ!兵藤一誠!ただ今参上しましたぁぁぁぁ!」
「イッセー!」「イッセーさん!」
俺もいるがな!忘れるな!
「ドラゴンの小僧か?レイヴェルの奴、見逃したのか?」
「スキマ送りしただけよ」
「・・・いたのか、お前」
・・・潰す。と、そこに爆破魔もきた。
「ライザー様、そこの女の『兵士』は私にやらせてください。他の『兵士』と『僧侶』はともかく、あの『兵士』、いや、八雲紫は私がやります。それに、もう片方の『兵士』の能力も厄介かもしれませんわ。相手が身に纏っている物を消し飛ばす能力ーー」
「俺が纏っている炎を消されたら厄介だと?どうだろうな。その能力と、そっちの『兵士』の性格を考えてみても、女にしか効果ないんじゃないか?リアスたちの相手は俺がやる。お前はもう一人の『兵士』と好きなだけやっていろ」
「ありがとうございます。さあ、やりましょう。こそこそと逃げ回るだけの鼠のような『兵士』さん?」
・・・・・・ここまで露骨にバカにされたのは初めてだな。
「がぁ!?」
俺は蹴りを入れて屋上から吹き飛ばして空に放り出す。近くにいると巻き込んじまうからな。
「この!『兵士』ごときが!」
『八雲「夢想封印」』
虹の七色と、太極図の柄をした八つの追尾弾を放つ。
ドガァァァァン!!
目映い光とともに、勝負は呆気なくついた。
『ライザー・フェニックス様の『女王』一名、リタイア』
ふん。格が違うんだよ!スキマを開いて屋上に戻る。
「・・・・・・ユーベルーナを一撃で倒すとはな・・・・・・。だがな、リアス。戦況は変わらない。投了するんだ。これ以上は他の場所で見られている君のお父上にもサーゼクス様にも格好がつかないだろう。君はもう詰んでいる。こうなることはすでに読んでいたことだ。ーーチェックメイトだ、リアス」
「黙りなさい、ライザー。私は諦めない!読んでいた?詰んだ?まだ『王』である私が健在なのよ?」
「アーシア!」
一誠がアーシアを呼ぶ。いまだに余裕のライザー。俺以外の治療を始めるアーシア。俺は疲労はあるが怪我はないし、念のため、警戒しておく。
「ブツブツ・・・(ユーベルーナを軽く上回る力に空間移動というレアな神器。是非とも俺の眷属に欲しいな・・・)」
何ブツブツいってんだ?悪寒がするが。
暫くして、二人の傷が癒えたらしい。
と、次の瞬間、アーシアに炎弾を放った!結界を二重にして炎弾を防ぐ。
「なっ!ライザー!あなた!」
「悪いな。あんまり長引くと君たちが可哀想だ。だから長引かないように倒そうと思ったんだが、予想以上に強いね。リアス、君の『兵士』は。(あっさりと受け止めた。やはり逸材だな。駒のコストはどれだけだ?)」
悪寒が増した。何考えてンだ?
「部長、勝負は続行ですね?」
「ええ!」
「こちらは俺と部長、アーシア、何よりも紫さんがいます。まだまだやれます。やれるんです!絶対に勝ちましょう!」
「よくいったわ!一緒にライザーを倒すわよ!イッセー!」
「はい!部長!」
バカが。根性論でどうにかなる範疇を越えてるんだよ。ここは大人しく投了した方が一誠のためだ。
「いくぜ!」
『Burst』
限界だ。よく頑張った。小説読んでいるんじゃなくて、現実で見ているからどれだけ苦しいかわかる。
血反吐を吐いて倒れる一誠。
「ブーステッド・ギアの能力はな、想像以上に宿主を疲弊させるんだよ。力を無理矢理倍加させていくこと自体、異常すぎることなのさ。体への負担は他の神器に比べると段違いに高い。この戦場を駆け回り、俺の下僕たちと戦いながら、ブーステッド・ギアを使い続けた。ーーリアスの『兵士』、お前はとっくに限界だったんだよ」
それでも、立ち上がって立ち向かい、そのたびに倒される。最早、傷ついたとか、瀕死とかそんな次元じゃない。
もうやめろ。
見ているこっちが辛いんだよ。
俺の魔力も尽きた。
後は最低限逃走に使える程度しかない。
わかんないのかよ。
もう万策尽きたんだよ。
て言うか、なんで俺まで感傷的になってるんだよ。
こうなることはわかってたはずなのに。
ああ、そうか。
俺も、ここで生きているからなんだな。
「私の負けよ。投了します」
終わった。
こうして、レーティングゲームは、俺たちの敗北で幕を閉じた。
負けるとわかっていた試合。
それでも、俺はもう、負けたくないと思った。
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俺は家に帰って倒れ伏すように寝た。
一回戦っただけで疲労困憊とは、情けない。
なにが守るだ。自分一人ですら精一杯なのにさ。
そんな事を考えながら、俺は深い眠りについた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そんな紫を見ていた、死の使い手と、九尾がいた。
後書き
言っておきますが、別にレイヴェルが嫌いな訳じゃありません。
美脚その2、飛光虫ネスト登場。
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