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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──

作者:なべさん
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SAO
~絶望と悲哀の小夜曲~
  初めての死

「だ、誰………………?」

突然現れた謎のでこぼこコンビに俺は、あらゆる事を忘れ、言った。

そんな俺を見て、幼い少年プレイヤーの方が鋭い声で言う。

「そんなことは後!来るよ!」

その見た目通りの幼い声に俺はようやく立ち直る。

そして俺は、聞こえているか解らないが、俺は離れた茂みに向かって語りかけた。

「………コペル。知らなかったんだな、お前。たぶん《隠蔽》スキルを取るのは初めてなんだろ。あれは便利なスキルだけど、でも万能じゃないんだ。視覚以外の感覚を持っているモンスターには、効果が薄いんだよ。たとえば、リトルネペントみたいに」

俺の声を聞き、女の子は怪訝そうな視線を、少年の方はどこか納得したような視線を向けてきた。

その二つの視線を無視し、俺は襲いかかってくる植物達を見た。

しゅうしゅうと猛り狂いながら、雪崩を打って襲いかかってくる捕食植物の一部は、明らかにコペルの隠れる藪を目指している。今頃は彼ももう、ハイドしてるのに自分がターゲットされ続けていることに気付いているだろう。俺が索敵(サーチング)を優先して隠蔽(ハイディング)を取らなかったのは、まさにこれが理由だ。

俺は妙に静かな気持ちのまま、くるりと後ろを向き、そちらから突進してくるネペントどもの列に視線を据えた。背後で謎の乱入者達がそれぞれ別々の方向を見るのが分かる。

「………ありがとな」

思わず出てしまった声。すぐに返事が返ってきた。

「どーいたしまして」

「………死なないでね」

前者は女の子で、後者は少年のほうみたいだ。

背後の敵はコペルを襲うから、しばらくは放置しておける。

でこぼこコンビの実力は解らないが、前、右、左の敵を殲滅して、その後、後ろの敵を殲滅できれば、もしかしたら生還のチャンスがあるかもしれない。もちろん、万に一つ以下の可能性ではあろうが。

死がこれほど間近に迫っているというのに、それを現実として感じられないまま、俺は手の中の簡素な剣、スモールソードを握り直した。

今までの戦闘で耐久度は相当に消耗し、そこかしこで刃こぼれしている。乱暴な使い方をすれば、この戦闘中にへし折れてしまうかもしれない。

斬撃回数は、ぎりぎりまで少なく。蹴り足と腕の振りで威力をフルブーストした、片手直剣単発水平斬り《ホリゾンタル》を、敵の弱点である捕食器の真下にピンポイントで命中させ、一撃で一匹をほふる。最低でもそれができなければ、武器消失(アームロスト)という最悪の死に様を迎えるのは確実。

背後で、モンスターの咆哮と攻撃音、そしてコペルが何かを叫ぶ声が聞こえた。

しかし俺はもう振り向かず、自分の敵にのみ全神経を集中させた。











正直に言って、かなり困った。進むのに邪魔だった二匹のネペントをユウキと協力して倒し、少し拓けた場所に転がりこむと、そこにいたのは驚きを通り越して、呆然としている女顔の男剣士だった。

思わず、もう一人は?と言いそうになったレンは、言葉を飲み込み、辺りに目を走らせる。

周囲には、モンスターということを示す赤のカラーカーソルが、実に三十を超える数で浮かんでいる。

そこに一人になっているプレイヤー。

それだけ解れば、もうレンにはここで何が起こっているのか解った。これは───MPK(モンスタープレイヤーキル)だ。

なんらかのアクションを起こし、周囲からモンスターを呼び寄せる。その後、自分は身を隠し、モンスターのターゲットを一緒にいたプレイヤーに集めさせる。

昔からある、伝統的(トラディッショナル)PK(プレイヤーキル)方法だ。

そんなことを考えていると、その女顔男剣士が少し離れた茂みに向かって、言い始めた。恐らくあそこに犯人のプレイヤーがいるのだろう。

「………コペル。知らなかったんだな、お前。たぶん《隠蔽》スキルを取るのは初めてなんだろ。あれは便利なスキルだけど、でも万能じゃないんだ。視覚以外の感覚を持っているモンスターには、効果が薄いんだよ。たとえば、リトルネペントみたいに」

そこまで言われてようやく気付いた。

コペルと呼ばれた犯人のプレイヤーは、隠蔽スキルを取ったので、見つからない、と思っていたのだろう。

だが、それは間違いだった。リトルネペントには視覚以外の感覚を持っているため、隠蔽できない。

そのため、こちらに向かって来ているネペント達の幾らかは明らかに、その茂みに向かっている。

だが、こちらに向かって来ている奴も、少なくない。というかこちらのほうか圧倒的に多い。それもそうか、こちらのほうが人数は多いんだし。

そんなことを考えつつ、意識を戦闘に切り替える。と、その時、左に向こうを向いて立っている女顔男剣士が、小さく

「………ありがとな」

と言ってきた。一瞬、隣にいるユウキと顔を見合わせ、レンは笑顔で言った。

「………死なないでね」










そこからの数分───あるいは十数分の詳細を、レンはのちのちになっても満足に思い出せなかった。

気が付くと、地面に寝っ転がり、荒い呼吸を繰り返している自分がいた。

隣ではユウキも同じように地面に寝っ転がり、荒い呼吸を繰り返している。

女顔男剣士はというと、コペルと呼ばれた犯人のプレイヤーがいたと思われる茂みで、彼の物と思われる剣を拾い上げ、周りで一番大きな樹の根本に突き立てた。そして、何か種みたいなものを取り出して、その根本に置く。

「お前のだ、コペル」

そう呟き、やっとこちらに向き直る。

「君らは……元β(ベータ)テスターなのか?」

ここで、レンの頭にハテナマークが浮かぶ。特大のが。

そんなレンの顔を見て、剣士は怪訝そうな声を出す。

β(ベータ)テスターじゃない?」

「よく分かんないけど、そう」

ここでユウキが場違いに無邪気に言った。

「あっ、自己紹介しないとね。ボクはユウキ、こっちがレンだよ」

そんなユウキに苦笑しつつ、レンは同じく苦笑している女顔男剣士に言った。

「本名はレンホウだけど、レンって呼んでねー」

右手を差し出す。

「俺はキリトだ」

そう言いながらキリトと名乗った剣士はレンの右手を握り返してきた。

そして、ユウキも合わせ、三人同時に言う。

「よろしく」 
 

 
後書き
なべさん「最後変な感じで終わってごめんなさい。始まりました、そーどあーとがき☆おんらいん、今回はゲストとしてユウキさんが来てくださってます!」
ユウキ「いぇーい!ここ初めて」
レン「今回は、重い回だったねー」
なべさん「そーだねー」
レン「………………………」
ユウキ「………………………………」
なべさん「ハイ、自作のキャラ、感想などをばんばん送ってきてください」
レン「えぇ!?終わり!?」
ユウキ「まだほとんど何も喋ってないのに!!」
なべさん「うるさいぃ!そんなにネタがあるわけないでしょ!!」
ユウキ「うわっ!逆ギレされた」
レン「末期だナ」
──To be continued──
 
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