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久遠の神話

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第六十三話 明かされる秘密その九

「神はそれを知っているのです」
「じゃあその力の出し方を人が知れば」
「はい、神の力を使えます」
「そうだったんですか」
「つまり神様の力とかは普通の人でも手に入るんですね」
 樹里は聡美が上城に話すことからこのことを理解した。
「そういうことですよね」
「その通りです。それを考えますと」
「長生き出来ることが」
「それもまた不老長寿の知識を知っているからこそで」
「それだけの力を持っているからですか」
「そういうことです」
 聡美は樹里にも話した、そうした事情もまた。
「不老長寿が出来るだけの力を集めそれをネクタルやアンブロジアに入れて飲み食べるのです」
「神が口にするという酒や黄金の林檎ですね」
 大石がそれだと指摘した。
「それをですね」
「はい、神の不老長寿はその二つにもたらされるのです」
「神の酒、そして林檎で」
「それは神話にある通りです」
「その二つを育てる糧が力ですか」
「普通の水や糧に加えて力を入れて」
 そしてなのだった。
「ネクタルとアンブロジアが出来るのです」
「そうして育てるのは技術ですね」
 大石はまた言った。
「私達の科学に近いものでしょうか」
「そうかも知れないです。私達の力は」
「科学ですか」
「魔術、錬金術かも知れません」
 聡美は自分でこう話した。
「私達の力は」
「では神々は技術を持っている存在でしょうか」
「技術を力と考えるのならば」
「そうなりますか」
「はい、そう解釈して頂いてもいいと思います」
「神はオーバーテクノロジーを持った古代の文明人の生き残りだったのではないかという説を聞いたことがありますが」
 大石が言う神はここではキリスト教の神のことだ、しかしそれと共にギリシアの神々とも重ね合わせて話していた。
「それは」
「いえ、私達はまず原始の母神ガイアからはじまり」
 ギリシア神話におけるはじまりの神だ、大地即ち地球の女神だ。
「そこから生まれた存在です」
「古代人ではないのですか」
「はい、彼等とは違います」
 このことは否定して言うのだった。
「古代のそうした力はアトランティスが持っていましたが」
「アトランティス、伝説の」
「実在しました」
「ではアトランティスは剣士と関係があるのでしょうか」
「いえ、また別です」
 違う話だというのだ、剣士とアトランティスは。
「ですから特にお考えになられずに」
「そうですか」
「神は長く生きる術を知り。ガイア様からはじまり」
 それはその母神ガイアからはじまるというのだ。
「知っていったもので」
「まずは不老長寿から知られたのですね」
「最初のガイア母様は地球そのもの、つまり」
「それだけの命を持っておられると」
「そして知識もあられますので」
 まさに全ての母だったのだ、知識のうえでも。
「私達はガイア母様に教えて頂きはじまっているのです」
「神々の知識はそこからですか」
「そうです。知識即ち力は」
「ううむ、ギリシアの神々のことが多少わかった様に思えます」
「ギリシアの神々の世界ではそうなっています」
 あくまでその中だけでのことだった、聡美は話を限定もした。 
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