| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

久遠の神話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十三話 明かされる秘密その八

「何かしら」
「それがわからないね」
「このことはやがて知っていくでしょう」
 マガバーンは考える二人に述べた。
「今あれこれ考えるよりもです」
「それよりもですか」
「今は」
「はい、剣士は十三人います」
 無論戦いを止めようとする上城達も入れたうえでの数だ。
「その十三人のうちからです」
「一人ずつですか」
「その戦いを止めていきましょう」
「そのことですが」
 マガバーンは強い声で話す中で聡美が言って来た。
「おそらく私達が出来ることは少ないでしょう」
「そうなんですか」
「それぞれの方の願いを考えてみますと」
 高代やスペンサー、王、コズイレフ達だ。権藤もその中に入る。
「私達がどうか出来る要素は殆どありません」
「言われてみれば」
 実際に言われてだ、上城も考えた。
 そのうえで彼は高代のことも考えて言った。
「先生にしても」
「あの人もですね」
「先生は御自身が理想としている学園を築こうと考えておられます」
 このことを言ったのである。
「僕達がそのことをどうか出来ることは」
「殆どないですね」
「そうですね」
「私もです。私が司るものは限られています」
 女神である彼女ですらというのだ。
「神の力は無限でも全知全能でもないのです」
「えっ、そうなんですか?」
 樹里は聡美の今の言葉に目を丸くさせて返した。
「神様でもですか」
「はい」
 そうだというのだ。
「キリスト教の神はわかりませんがギリシアの神は」
「力が限られているんですか」
「そうなのです」
 ギリシアでは神々はそれぞれ司るものがある、それはアルテミスである彼女も同じでありそれが故にというのだ。
「お父様ですらそうなのですから」
「ゼウスでもですか?」
「そうです」
「一番偉くても」
「お父様は天空、そして雷の神であられますが」
 それでもだというのだ。
「全知全能ではなくましてや海や冥界には何も出来ません」
「力は限られているんですね」
「そうです。それはお姉様も同じですが」
「そうだったんですか」
「私がその国をどうにかすることは出来ません。月を順調に動かし狩りをする人々を守ることは出来るのですが」
「じゃあスペンサーさんも」
 ここで上城は彼の名前を出した。
「あの人は」
「はい、アメリカ合衆国を動かすことは出来ません」
「大統領の考えを変えることも」
「そうした力もないので」
「そうなんですか」
「神は確かに長い時間を生きて力を持っていますが」
 だがそれでもだというのだ。
「万能ではないのです」
「神様といえどなんですか」
「ただ。人とは違う寿命とそれぞれの力の出し方を知っているだけです」
「力の出し方?」
「どの様な力にも出し方があるのです」
 彼女の月や狩人を守ることについてもだというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧