久遠の神話
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第六十三話 明かされる秘密その四
「その仏教においてですね」
「十二天や十二神将と」
「ありますね。五や七や八、十もありますが」
曼荼羅を見ればいい、インドは古代から数字の国でありこうしたあらゆる進法でのくくりが見られるのだ。そしてその中でなのだ。
「十二もあります」
「そうでしたね」
「それでなのですが」
聡美が再び口を開く。
「何故剣士が十三人だったかといいますと」
「丁度罪人がそれだけいたからですか?」
樹里はこう考えて聡美に問うた。
「だからですか?」
「それもあります。ですが」
聡美は樹里の問いに静かに答えた。
「それと共にです、実はギリシアにも十二に加えてです」
「キリスト教のユダみたいにですか」
十三番目の使徒だ、あのキリストを裏切った。
「もう一つ加わることも」
「あります、蛇遣い座もそうですし」
黄道十二宮にさらに加わるとされる星座だ、近頃ではまた無視されているが。
「それにオリンポスの神々もです。ティターンもそうでしたが」
「十二にさらにですね」
「オリンポスの神々は十二、しかしその座は増えることもあります」
十二からさらにだというのだ。
「ヘスティア叔母様やハーデス叔父様、ポセイドン叔父様が」
「ええと、ゼウスにヘラ、アポロンに聡美さんに」
樹里はオリンポスの神々を自分の指も使って数えだした。聡美をアルテミスとして入れてそのうえでそうしていく。
「アテナにヘパイストス、アーレス、アフロディーテ、ディオニュソス、そのヘスティアにヘルメスに」
「これで十一ですね」
「そうですね」
「そこにです」
さらにだというのだ。
「もう一柱ですが」
「それが、なんですか」
「ここにデメデル叔母様です」
「あっ、十二ですね」
「これで満席になりますね」
「そうですね」
「ポセイドン叔父様とハーデス叔父様はオリンポスでは時々その席が十三番目になったりそもそもなかったりするのです」
それは何故かもだ、聡美は話す。
「お二人もそれぞれの世界を支配されていますから」
「オリンポスは天界です」
大石が言う。
「ゼウスはそこの主神、即ち天空の神です」
「はい、その通りです」
「ポセイドンは海、ハーデスは冥界」
大石はさらに話していく。
「そのそれぞれの世界を治めています」
「ギリシアは三柱の主神に治められています」
そうなるのだった。
「ゼウス父様とポセイドン叔父様、ハーデス叔父様に」
「その三柱の神々は同格でしたね」
大石がこのことを指摘する。
「兄弟であり」
「そうです」
「それぞれ世界を分け合い治めている」
「私達はお父様の下にいます」
だからオリンポスにいるというのだ。
「叔父様達はオリンポスにおられることもありますが」
「十二の中にはおらず」
「十三番目ですか」
「そうなっています」
「十三はギリシアでもある数字ですね」
「十二が基本ですが」
オリンポスからはじまる、しかしだった。
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