万華鏡
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第四十九話 準備期間の朝その十
「あの人そうしたらしいから」
「ワインねえ」
「それにビールって身体冷やすでしょ」
「ええ、だからね」
飲んでいるとだ、それで。
「今も結構ね」
「おトイレ近いのよね」
「お酒自体がそうだけれどね」
アルコールに利尿作用があるからだ、それで水分を出して身体の中のアルコールが多くなれば後で二日酔いになる。
「けれどね」
「ビールは余計に身体を冷やすからね」
「そう、だからね」
それでだというのだ。
「ワインは身体を温めるから」
「身体を冷やすより温めた方がいいしね」
「だからビールもいいけれど」
「ワインもなのね」
「飲んでみたらどうかしら」
琴乃は実際にその手にワインを出していた、そのうえでコップの中のワインを飲みながらそのうえで言うのだ。
「そっちもね」
「それじゃあね」
「まあお酒もね、飲むのならね」
「健康的によね」
「私もビールは飲むけれど」
琴乃にしてもビール好きだ、今さっきまで飲んでいた程だ。
「それでもね」
「そうね、じゃあこれからはね」
委員もビールからワインに替えていた、白ワインだ。
その白ワインを飲みつつだ、こう言うのだ。
「いいわね、白ワインも」
「そうでしょ」
「これなら結構飲めるわね」
「アルコール度はビールより強いからね」
「ビールみたいな感じで飲むとなのね」
「後でくるから」
二日酔いのことである。
「そこは注意してね」
「ワインの二日酔いってきついの?」
「ビールもきついけれど」
ワインもだとだ、琴乃は自分の経験から話す。
「くるわよ」
「そうなのね」
「日本酒とか焼酎はそんなにこないけれど」
こちらの酒は実はそれ程悪い二日酔いはしない、尚アリストテレスはワインの酔いよりもビールの酔いの方が悪いと書き残している。
「ワインとかビールはくるから」
「あっ、私日本酒は飲まないから」
こちらは駄目だとだ、委員は言った。
「あまり口に合わなくて」
「そうなの」
「軽音楽部の、というか文化系の部活の夏休みの合宿は日本酒だったわよね」
「広島の地酒ね」
「広島のお酒をもうとことんまで飲んでたって聞いたけれど」
「委員長バスケ部だからね」
「そうなの、合宿はあったけれど」
だがその場所がだというのだ、委員は自分のコップの中のワインを柿の種と共に楽しみながらこう話した。
「京都でやったから」
「確かバスケ部と合同よね」
「そうなの、そっちで出たお酒はビールだったから」
「京都もお酒有名でしょ」
「そっちも出たけれど」
ビールも出ていたというのだ、彼女が好きな。
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