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万華鏡

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第四十九話 準備期間の朝その九

「止めておきましょう」
「わかってるわよ、だから入口の看板に使ってね」
 運動会で描いたそれをさらにだというのだ。
「怖くするわよ」
「何か色々考えてるのね」
「だってネタにしがいがあるから」
 委員はここでも将軍様の顔を見て言う、今も気持ち悪い顔である。
「もう徹底的にね」
「それでお化け屋敷の中も」
「怖くするからね」
 こちらも徹底的だというのだ、こう話してだ。 
 琴乃は委員と共に真剣にお化け屋敷の用意をしていった、午前も午後もだ。
 それが終わって夜になってだ、皆シャワーで作業の汚れを落としてから酒を飲む。当然つまみも一緒にある。
 琴乃は今もカップ焼きそばだ、それを食べながらだ。 
 そのうえでだ、ビールを飲みながら言うのだ。
「終わったって気分よね、また」
「そうそう、一日がね」
「無事にね」
「作業も順調だし」
 クラスメイト達も応える、見れば彼等もビールにつまみを楽しんでいる。
 そしてだ、委員が五〇〇ミリリットルの缶のビールを飲みながら言う。
「皆明日も頑張ってね」
「うん、あんたもね」
「頑張ってるけれど明日もね」
「そうするわ、いやそれにしても」
 委員はビールを飲みながらこうも言った。
「ビールって美味しいわね」
「あんたビール派なのね」
「そうだったのね」
「大好きなのよ」
 満足している顔での言葉だ、そこに全てが出ている。
「お酒はね」
「ビールね、確かに美味しいわね」
「でしょ?ビールと一緒に食べるのは」
 そのつまみの話もする。
「ソーセージとかハム、柿の種やピーナッツもいいわね」
「いい組み合わせね」
「でしょ?だからね」
 それでだというのだ。
「私はいつもビールを飲んでるのよ」
「飲む時はなのね」
「そうなの、けれどね」
「ビールはね」
 琴乃も言う、このことについて。
「痛風があるから」
「それが怖いのよね」
「女の子はまだ安心出来るけれど」
 男に比べてだ、女はまだ痛風になりにくいのだ。痛風になるのはどうしても男の方が圧倒的に多いのである。
「けれどね」
「飲み過ぎるとね」
「やっぱりなるから」
 そのビールを飲みながらの言葉だ。
「注意してるわ、これでもね」
「じゃあビールはそれ以上は」
「どうしようかしらね」
 言いながらもだ、琴乃はまだビールを飲んでいる。
 そしてだ、こう言うのだ。
「ビール以外のも飲むべきよね」
「お酒は一つじゃないからね」
「じゃあ何がいいかしら」
「ワインじゃないの?」
 琴乃は委員にその酒を勧めた。
「プロ野球選手でもビールからワインに切り替えた人がいるから」
「そうなのね」
「鈴木啓示さんね」
 近鉄バファローズのエースだった、三百勝を達成したことでも知られている。監督としてはともかく選手としては一流だった。 
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