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万華鏡

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第四十九話 準備期間の朝その三

「別にね」
「もう拭いたのかよ」
「そうなの、だからね」
「ううん、琴乃ちゃんって髪の毛服の上手なんだな」
「上手っていうかね」
「っていうか?」
「私の髪の毛ってすぐ乾くみたいなのよ」
 そうした髪の質だというのだ。
「何かね」
「へえ、そうなんだ」
「そうみたい、それでね」
 さらに言う琴乃だった。
「里香ちゃん達は?」
「三人共そろそろじゃないか?」
 美優はシャワールームの方に顔をやってから琴乃に答えた。
「あたし達よりちょっと酔いがあったからな」
「それを醒ましてるのね」
「多分な。それにしてもな」
 美優も二日酔いから解放されている、それですっきりとした顔で言うのだ。
「やっぱり二日酔いの時はシャワーかお風呂だよな」
「それで一気に抜けるわよね」
「酒がな」
「そうよね、いやそんなに酷くなかったけれど」
 残っていたことは残っていたというのだ、それで今それが完全に抜けたというのだ。
「これで大丈夫ね」
「だよな、あたしもだよ」
「何かお父さんが若い頃だけれど」
 その頃の話だというのだ、琴乃の父の。
「大学のテニスのサークルの合宿でしこたま飲んで」
「その朝かよ」
「まず起きて走ってね」
 体育会系のサークルだからだ、最初はそれからだったというのだ。
「シャワー浴びたらしいけれど」
「それでもだったのかよ」
「朝御飯食べる時になってやっとだったらしいわ」
「お酒抜けたんだな」
「そうみたいよ」
「親父さん結構飲んだんだな」
「そうみたい、そのせいでね」
 酒が結構残っていたというのだ。
「そんなこと話してたわ、お父さん」
「成程なあ」
「けれど私達はあっさり抜けたわね」
「だよな、それじゃあだよな」
「ええ、今日もね」
「朝御飯食べてな」
「また働こう」
「皆でな」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人は里香達を待って部室に戻った、そして全員が戻ったところで。
 部長は部員達の点呼を取ってだ、こう言った。
「じゃあ今からね」
「はい、文化祭の準備ですね」
「今日も」
「こっちも大事だけれど」
 部長は皆に言う。
「それぞれのクラスのことも忘れないでね」
「はい、わかりました」
「そちらも」
「こっちは順調というか予想以上に進んでるから」
 だからだというのだ。
「クラス優先でもいいわよ」
「こっちは今日中に終わりそうね」
 副部長はその流れからこう言った。
「だからそれぞれのクラスをね」
「優先させて、ですか」
「そうしてもいいわよ、とにかくね」
 副部長も言うのだった。
「文化祭は間に合わせて、そして」
「それで、ですね」
「怪我をしないで」
「そうよ、本番気合入れていくわよ」
 副部長もこのことは言う、何だかんだで部長の隣にいながら。 
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