ISー電王の名を継ぐ者
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VS代表候補生編
TIME3 自己紹介と代表候補生
あれ?何で俺、教室に居るんだ?
あの後の俺の頑張りは?
一ヶ月の軌跡は?
書くの面倒いからってさぼってんじゃねぇぞ、作者ぁ!
せめて、あと2話分くらい書けよ!
ッと、こんなジ○ンプネタは要らないな。
え~と、野上涼河だ。
今、俺はかなり面倒な状況にいる。
その状況とは………
「なんで、周りが女ばっかりなんだよ………」
そう、周りに一人を除いて女しかいない。
別にクラス分けにミスがあった訳ではない。
あの後、デンライナーから降り、偶々通りかかった姉さんのいるカフェで待っていたのは大量の新聞記者を初めとしたマスコミの山だった。
『来ました!あの野上涼河君がやって来ました!早速、話を伺ってみましょう!』
『今、現場にあの野上涼河君が来ました。話を伺いたいと思います』
どうやら俺の写真を撮った新聞記者が俺がデンライナーに乗っている間に色んな会社に言い回りまくったらしい。
あの後は大変だった。
大量の記者に揉みくちゃにされた末に、色んな機関に連れて行かれ、俺がマイホームであるマンションに帰れたのは実に二日後のことだった。
「はぁ……あれに比べればマシな方なのか……?」
そしてその結果、俺は合格していた学校を辞めさせられIS学園に入学する事になった。
だが……IS学園は女子高なのだ。
そこにISが使えるという事になっている俺が突っ込まれたのだ。
全く、堪ったもんじゃない。
はぁ……良太郎さんの不幸が移ったのか?
考えていると扉が開き、一人の女教師が入って来た。
「皆さん、入学おめでとう。副担任の山田真耶です」
なんか新聞紙みたいな名前だな。
…………かなり失礼な事をかんがえてしまった。
姉さんがいたら死んでたなこれ。
「じゃあ、自己紹介をお願いします」
………何?自己紹介だと?
こんな男女比率の狂ってる空間で自己紹介しろだと?ふざけんな!
と、叫びそうになったがギリギリの所で踏み止まった。
そんな内にもう一人の男、『織斑一夏』が自己紹介を始めた。
「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」
え?それだけか?小学生でも将来の夢くらいは話すもんだぞ?
「以上です」
ガタタッ、という音と共に数名の女子がずっこける。
ノリいいな、ここの女子。
まぁいい。自己紹介のハードルを下げに下げまくってくれた織斑にとりあえず感謝だぜ。
パァン!
すると、いきなりその織斑の頭が殴られた。
その人は、俺のよく知る人物だった。
黒のスーツにタイトスカート、すらりとした長身、組んだ腕に、狼を思わせる吊り目、そして手には出席簿。
その人はまさしく
「げえっ、関羽!?」
ではなく、その名は織斑千冬。織斑一夏の姉にして、世界最強のIS操縦者の称号『ブリュンヒルデ』の名を持つ、まさしく世界最強の女性だ。
これは別に誇れる事では無いだろうが、俺の姉さんの数少ない友達の一人でもある。
パァン!
また、叩かれてる。
ぶっちゃけ超痛そうだ。
「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」
「あ、織斑先生、もう会議は終わられたんですか?」
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」
そして、千冬さん……もとい織斑先生は
「諸君、私が担任の織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物にすることが仕事だ」
その台詞の直後に響く黄色い歓声
流石、千冬さん。女子には大人気だな。
でも、そろそろ男の一人くらい作るべきだと思うのは俺だけか?
「何か失礼な事を考えなかったか野上?」
「めっ……滅相もない!」
忘れてた、この人は第六感がデフォだと思うくらい勘がいいんだった。
「まぁいい。次の自己紹介はお前だ、野上」
「は…はい!え~、野上涼河です。趣味は読書、特技は色々あるけど、敷いて言えば料理です。これから一年宜しく」
この自己紹介なら殴られはしないだろ。
「織斑、あれが自己紹介という物だ」
「あぁ……」
そんな静かになる様な自己紹介だったか今の?
まぁ、そこから淡々と自己紹介は終わり……
「諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう……その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ、私の言葉には返事をしろ」
『はい!』
暴君だ……!!
休み時間、この教室は出入り不能のシェルターと化していた。
教室の外はあらゆる学年の人(もちろん女子)が押し寄せてきている。
どうせ面白半分にここじゃ珍しい男を見に来ただけの野次だろうが……。
まぁ、本でも読むかな。
「なぁ、ちょっといいか野上」
「ん?」
振り向くといたのはこの学園にいるもう1人の男である織斑一夏だった。
「何か用か?」
「いや、ここにいる数少ない男同士仲良くしようと思ってさ……」
「そういうことなら、涼河でいいぞ。そのかわり俺も一夏って呼ばせて貰うからな」
「おう、よろしくな涼河」
爽やかな笑顔だな~おい。こいつはモテるな。
「あぁ、よろしくな一夏」
と、簡単な挨拶をした所で1人の少女がやってきた。
「ちょっといいか?」
「箒?」
その彼女はさっきの自己紹介で剣道が得意だと言っていた篠ノ之箒だった。
「済まない野上。一夏を借りてもいいか?」
「あぁ、どうぞご自由に」
一夏はそのまま、篠ノ之に連れていかれた。
する事の無くなった俺は本を手に取った。
「――――であるからして、ISの運用には国家の認証が必要で―――」
今は山田先生の座学の授業。
内容はISについてだ。
まぁ、この辺りは簡単な範囲だから分からない奴はいないだろ。
と思っていた矢先、
「ここまででわからない人はいますか?」
「先生………」
「なんですか織斑くん?」
一夏だけ手を上げていた。
そして
「ほとんど全部わかりません」
ピタッ
「え…………ぜ、全部……ですか……?」
(…………なんだと?)
あいつ、馬鹿なんじゃないか?と本気で思ってしまった。
「え、えっと……織斑君以外で、今の段階でわからないっていう人はどれくらいいますか?」
誰も手を上げない。
当然だ、今やっているのは、参考書を読んでいれば普通にわかる範囲だからな。
「……織斑、入学前の参考書は読んだか?」
「古い電話帳と間違えて捨てました」
パァン!
あいつ、ある意味天才だな。
「えーっと……野上君は分からない所とかありませんか?」
「はい、大丈夫です。今の所は簡単ですし」
そこに話が終わったらしい織斑先生が話しかけてきた。
「ならば野上、織斑に勉強を教えてやれ」
まさかの命令系かよ!
「ま…まぁ、俺で良ければいいですよ」
「すまないな。では一週間以内に基礎知識くらいは分かる様にしておけ、いいな?」
また命令系かよ!
「分かりました……」
面倒な事になったな……。
「これはさっき見た143ページの内容が分からないと話にならない。覚えてるか?」
俺は今、一夏に勉強を教えている。半強制的だが任された以上、基礎くらいは覚えてもらわなきゃ俺の立つ瀬がない。
「あぁ、確かアラスカ条約の話だったよな?」
「そうだ。で、ここは……」
「ちょっとよろしくて?」
「「ん?」」
「聞いてます?お返事は?」
「いや、聞いてるけど」
「え、ああ。なんだ?というか君はだれ?」
「私を知らないんですか!この「セシリア・オルコット。イギリス代表候補生で入試主席……で、いいか?」あら、そちらのかたはご存知のようですね」
「そりゃあ……な」
そりゃあ、皆が1分掛からずに自己紹介してるってのに、一人だけ30分くらい話してるんだからな。
俺、校長の話よりつまらない話初めて聞いたぜ。
「でも悪いな。今俺はこいつに勉強教えるので手一杯なんだ。悪いがまたの機会という事で」
「なっ!?あ、あなた!!私が声を掛けてあげましたのに何ですかその態度は!!」
超普通の対応だろ……俺は悪くないはずだ。
キーンコーンカーンコーン
「!!!また来ますわ!逃げないでくださいね!!」
(来んなよ)
と心の中で思ったのは言うまでもない。
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