戦国異伝
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第百四十六話 闇の仕掛けその十一
「勘十郎と三郎五郎に任せる」
「ですか」
「石山御坊は攻め落とさずともよい」
本願寺の本拠のあの巨大な寺はというのだ。
「堅固じゃ、そう簡単には陥ちぬわ」
「だからですな」
「あの地jはとりあえず主だった寺を潰し石御坊を囲む」
「そうしてですか」
「抑える、また伊勢は彦九郎を尾張に置いて備えとしておくからな」
弟の一人信興をだというのだ、置いて備えとするというのだ。
「長島等も必ず潰す」
「わかりました、そしてですな」
「一番厄介なのは越前と加賀じゃな」
そこであった、最も厄介なのは。
「北陸が一向宗の力が最も強い」
「あの二国をどうするかですか」
「越前は一時手放すことになるやも知れぬ」
信長は袖の下で腕を組み難しい顔で述べた。
「しかしそれでもじゃ」
「最後はですか」
「北陸の一向宗も潰す」
必ずだ、そうするというのだ。
「わかったな」
「はい、さすれば」
こう話をしていってだった、そして。
信長はそのそれぞれの優先順位を決めた、まずはだった。
「伊勢じゃ」
「あの国ですか」
「あそこで騒がれては元も子もない」
尾張のすぐ隣だ、特に長島は信長にとって喉元と言っていい。そこで騒がれる訳には決していかないというのだ。
「他の場所はまずは抑えじゃ」
では主な兵はですか」
「伊勢に向ける」
まさにその国にだというのだ。
「そしてあの国を押さえてからじゃ」
「他の国ですか」
「近江じゃな」
そこに兵を進めるというのだ、近江の次は。
「それまでは浅井の者達と与三に頑張ってもらう」
「与三殿ならばやってくれますな」
丹羽も森のことはわかっている、彼の武ならというのだ。
「かなりの数の相手でも」
「あ奴なら大抵の状況でも凌いでくれる」
信長もまた彼のことは信じていた、伊達に常に傍に置いている訳ではない。
「近江の南がおかしくなれば都にも響く」
「だからですな」
「ここはあ奴に任せる」
伊勢を静かに戻すまでの間は、というのだ。
「わかったな」
「では急ぎ伊勢を」
こう話が進んでいく、そうして。
「それから越前になるか」
「北陸ですな」
「加賀もな。あの二国もどうにかせねばならぬ」
何があろうとも、というのだ。
「だからじゃ」
「伊勢、近江の次はですか」
「北陸じゃ」
即ち越前、加賀だというのだ。
「あの二国もまた何があろうともな」
「平定ですな」
「そうするぞ。とにかく兵は全て出す」
二十二万、織田家が持っている全軍をだというのだ。
「そしてそのうえでじゃ」
「戦いますぁ」
「今回は全ての兵を使う」
そうして戦う、信長は本気だ。
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