dark of exorcist ~穢れた聖職者~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第1話「銀髪の少女と少年」
前書き
悪魔狩りの少女・アイリスと、悪魔の末裔の少年・クリス。
二人は何のために戦うのか………
ーーー【イタリア・市街地 出店通り】
時刻は午後の1時。昼食の時間とあって、大勢の人で賑わっていた。
その人の波の中に、一際目立つ銀髪の少女が一人。
少女の片手には、黒いアタッシュケース。
もう片方の手には、食べかけのパン。
銀髪の少女・アイリスは、歩きながら食べかけのパンを幸せそうに頬張っている。
「うん、おいしい」
その後ろから、少女と同じ銀髪の少年が追いかけてきた。
「アイさーん、歩くの早いですよ~」
「遅いよ~クリス君」
クリスと呼ばれた少年が、急ぎ足でアイリスのあとを追いかける。
アイリスはクリスより背は低いが、歩くペースが早い。アイリスは気づいていないが、クリスが
追いついてもすぐに置いていく形になってしまう。
「やっと追いついた……歩くペースを少し落として下さい……」
「キミも食べる?食べかけだけどさ」
「………女の子が男に食べかけを渡すのは……どうかと……」
クリスが少し顔を赤くした。
「えっと……お行儀悪いってこと?」
「(恥ずかしいとかそういう感情が薄いのかな……)」
「あっ、クリス君、もうすぐ着くよ」
「そうですね」
出店通りを抜けて、アイリスとクリスの目の前に大きな民家が見えてきた。
出店通りの賑わいが一気に無くなり、急に人通りが無くなった。
二人の目の前にある大きな民家は、建てられてからまだ5年と経っていない。
それだけに、庭や民家の壁は真新しく、清潔な雰囲気が漂っている。
しかし、民家の窓やドアは、清潔とはかけ離れていた。
窓は無惨に割れ、小綺麗な庭にガラス片が飛び散っていた。
木製のドアには所々穴が開いていた。
玄関には黄色いテープがバリケードのように何重に貼られていた。
しかし、そんなものお構い無しというように、黄色いテープを無視して民家に入っていった。
「……………ここも酷いですね…」
「……そうだね」
二人は、民家のダイニングルームの真ん中に立っている。
部屋の中は薄暗く、家具などはそのままの状態で放置されていた。
そして何より目を引くのは………ダイニングルームの中央の大きな血痕。
ボロボロにされた木製の家具に飛び散っていた大量の血の跡。
普通の人間なら目を背けたくなる無惨な光景。
しかし二人は、無表情で黙々と自分達の調査を進めている。
「アイさん……どう思います?どの悪魔の仕業と見ますか?」
「……随分荒らし方が汚いというか………ターゲットになる人間……以外の家具とかを一緒に壊したり………
何より、逃げるためにわざわざ窓を割って逃げたってことは……下位の悪魔かな?
狡猾な上位の悪魔だったら、人間に擬態して近づいたり……絶対に目立つようなことしないし……」
「そうですよね、こんな目立つ荒らし方するのって、上位の悪魔にはいませんからね……」
「気になるのは……窓を割ってどこに逃げたか、ですね」
「たぶん……地下水路、かな?」
そう言うと、アイリスはダイニングルームから出ていき、そのまま民家を出た。
民家の庭の周りを見回した。すると、庭のすぐ近くのマンホールを見つけた。
よく見ると、マンホールの蓋には黒ずんだ血の跡が付いていた。
「……ここだね。クリス君、怪しいとこ見つけたよ~」
「ここから逃げた、ってことは……他の街に移動しててもおかしくないですね」
「警察がここを捜査したのが昨日だから……早く見つけて倒さないとね」
「ですね。じゃあ、マンホール開けますね」
そういうと、クリスは60㎏近くのマンホールの蓋を片手でこじ開けた。
片手で蓋を軽々持ち上げ、ゴミを投げ捨てるようにポイと放り捨てた。
60㎏のマンホールの蓋が宙を舞い、庭に落ちた。落ちた瞬間、庭の芝生が抉れた。
「キミっていつ見ても力持ちだね。カッコいいよ」
「ハハッ、ありがとうございます」
クリスは照れた様子で、アイリスに笑顔を向ける。
「さ、行こっか」
「はい」
後書き
ダブル連載になりますが、頑張ります!
ご感想お待ちしています♪
ページ上へ戻る