“死なない”では無く“死ねない”男
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話数その11 コレではない
前書き
ようやくここから、本格的に本編へかかわっていきます。
ある日の朝の事。
ブラブラと登校する晋の顔は、いつにもましてダルそうである。
その理由の一つ目が、彼に対する監視の強化だった。
あの日以来、グレモリーや支取達が何度か質問に来たり、偶に実力行使を行ってきたりしたのだが、答える内容は全て同じで実力行使も無意味だったため、彼女達は監視の強化という対策に出たのだ。具体的に言うならば、監視の眼が増えた事、生徒会とオカルト研究部に“無理やり”所属させた事。
しかし、彼にはそれよりもダルいと思っている事がある。そして二つ目と理由ともかぶり、且つ一番ダルいと思っているその理由が―――――
「……なんで、毎朝毎晩ついてくんのよ……」
「……部長の命令です」
「会長の指示です」
「……」
“オカルト研究部の塔城小猫と、生徒会の巡 巴柄が登校と下校時についてくる”ことだった。 一般の考えならば、美少女二人に挟まれて登校するという事は男にとっては天にも昇る気持ちとなれるだろうが、枯れている上に考えがおかしい晋にとってはただうざったくてダルいだけである。
そもそも、駒王学園の“二大お姉さま”の一角であり、美貌とプロポーション含めて男女ともに羨望のまなざしを受けるリアス・グレモリーを、“無駄乳”と呼び興味すら持っていなかったのだから、少し変な言い方になるがコレも仕方ないのかもしれない。
晋がダルい顔をする理由は、実は他にもある。とはいえ、此方は二つ目ほどダルとは思ってはいないのだが。
(……生徒会の連中もオカルト研究部の連中も……“悪魔”ってどういう事だっての)
その理由がコレである。 コレが分かったのはオカルト研究部の部室から自爆をして逃げた翌日で、此方の正体も明かすからそちらの目的も言え、と言った感じで教えてきた事である。 尤も、晋の目的は“静かに暮らす事”以外何もないので、答えは変わらなかったが。 そして、自分が今まで戦ってきた化け物連中の中にも、悪魔等の化け物がいる事も分かった……今まで、化け物の詳しい事柄などどうでもよく、殺すか逃げるの二択で過ごして来た為、そんな事など知らなかった晋はそれなりに驚いたようだ。
駒王学園の生徒たちの“そんな馬鹿な”と言う視線を今日も受けながら、晋達は校門へと着く。 やっと解放された……と、少しダルそうじゃ無くなった晋の表情を――――
「……今日の夜、オカルト研究部に来てください……逃げても無駄です」
塔城のこの一言が、再びダルさMaxへと戻した。 そして反論の余地なく、塔城と巡は足早にその場を去っていく。
(……俺が何したっちゅーの……いや、したか……でも納得いかねぇ……)
晋は現実逃避をするかの様に、すぐ傍で騒いでいる変態三人組を見やり、何の慰めにもならないと溜息を吐いて教室へと向かうのだった。
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―――オカルト研究部――――
「さぁ、灰原晋。今日こそ貴方の目的を吐いてもらうわよ」
「あ~……」
だから何も無いってのに……そう言っても信じてもらえないからどう答えようかと頭を悩ませる晋。そんな彼の腕には謎の紋章が描かれた札が貼ってある。これは“転移符”という物であり、何故が自爆してもボロボロにならない特殊仕様だという代物で、この所為で晋は逃げる事が出来なくなってしまっていた。……ちなみに武器を出して壊そうともしたのだが、如何せん相手が悪い上に晋自体は“格闘家よりは強い”程度なので、簡単に武器を取り上げられてしまう。俗に言う八方手詰まり状態であった。
しばらく沈黙と尋問が続いていたが、突如として魔法陣が床に出現して光を放出し、何時の間にやら魔法陣のあった場所に銀髪のメイドが立っていた。その人物を見た瞬間に、グレモリー達は差異あれど驚いた顔を、晋は思いっきりダルそうな顔をした。
「……お嬢様、彼は?」
「彼は灰原晋。怪しい部分が多い上に十字架を持っていたから、私達に仇成すものかどうか質問していた所よ、グレイフィア」
「そうですか」
(……何で睨む……)
どこか静かな殺気をグレイフィアと呼ばれたメイドは放つ。静かなれど鋭いその殺気に、部屋に居る者達は少し身震いしたようだが、晋は如何でもいいと言わんばかりに欠伸をする。
「貴方は―――」
グレイフィアが何かを聞こうとしたその瞬間二つ目の魔法陣が出現し、今度は光ではなく炎を噴出する。そしてまた何時の間やら、赤いスーツを着た二十代前半の男が現れていた。
その男は髪を掻き上げると、グレモリーの方を見やり笑いかけた。
「ふう、人間界は久しぶりだな………会いに来たぜ、愛しのリアス」
「…ライザー」
「フェニックス……」
(……帰りて……)
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