万華鏡
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第四十八話 文化祭の準備その五
その焼酎を見てだ、美優は言うのだ。
「これを飲んでだよな」
「文化祭過ごすのね」
「クラスにも置いてるんだよな、どのクラスにも」
「うん、クラスにはまだ行ってないけれど」
話を聞くとだ、そこにもなのだった。
「あるのよね」
「そうだよ、だから夜はどっちに行ってもな」
「飲めるのね」
「そうなってるな、ただな」
「ただって?」
「問題は寝る時だよ」
美優は首を少し傾げさせてから琴乃に言ったのだった。
「寝袋とかハンモックだよな」
「そう、ハンモックは吊るしてね」
「ワイルドだよな」
「そうよね、凄い期間になりそうね」
「あたし寝袋もハンモックも使ったことないんだよ」
そうしたもので寝たことはというのだ。
「一度もな」
「私も、ハンモックはね」
「寝袋はあるんだな」
「そっちはあるの」
寝袋で寝たことはというのだ。
「テントでね」
「テントの中では毛布だろ」
「うん、一回だけ使ったことがあって」
「それでか」
「そう、寝袋は使ったことがあるから」
だから知っているというのだ、実際に使ったことがあるからこそ。
「温かいわよ」
「そりゃいいな、もう涼しくなってきたしな」
秋の真ん中にある、もう夏は遠くに過ぎてしまっている。
「寝袋の方がいいかもな」
「ハンモックは多分ね」
琴乃はこちらは使ったことがない、それでこう美優に話すのだった。
「下が涼しいから」
「吊るされてるだけだからな、布一枚で」
「だからね、寝る時に温かくしたいのならね」
「寝袋の方がいいか」
「うん、そう思うわ」
こう美優に話すのだった。
「後はどっちで休むかね」
「クラスか部室か」
「部室部長さんおられるのかしら」
「そうじゃねえの?焼酎楽しみにされてたしな」
美優はこのことから予想していた。
「だからな」
「そうなのね」
「ああ、部長さんここで飲まれるだろ」
そのつもりだろうというのだ。
「だからな」
「ううん、それじゃあここは」
「ああ、部長さんの宴会の場だよ」
文字通りそれになるというのだ。
「それと多分二年生の人達のな」
「それまずいわよ、高見先輩とか宇野先輩とか」
夏の合宿で相部屋だった二人の先輩達のことがここで話に出た、琴乃の口から。
「お酒入ると」
「あの人達露出凄くなるからな」
「ジャージだからそんなに、って思うけれど」
「いや、ジャージでもな」
一見すると身体全体を包むこの服もだというのだ。
「ずれたりチャックが下ろされてたりしてな」
「見えるっていうのね」
「そうだよ、そうなったらな」
「若しそこに男子生徒がいたら」
「いないよな、流石に」
「男女別々に寝ることは絶対みたいだからね」
流石にそこは守られている、間違いがあってはならないからだ。
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