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MS Operative Theory

作者:ユリス
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ジオン公国軍の試作兵器②

——試作機と形式番号——

 地球連邦軍では「RX計画」以降、試作機は「RX」から始まる形式番号を持つが、ジオン公国軍では特殊な形式番号は与えていない。一部では、試作機に「Y」ナンバー—————YMS-16M(ザメル)やYMS-09(プロトタイプ・ドム)など—————を付けるケースもある。

これはMSだけでなく、YMT-05(ヒルドルブ)やYOP-04(バロール)などの非MS試験機も同じである。しかし、この「Y」ナンバーはYMS-14(先行量産型ゲルググ)やYMS-07B(グフ先行量産機)の様に先行量産型にもつけられているため、試作機専用の形式番号と言う訳でもない。

また、MSM-03-1(プロトタイプ・ゴッグ)やMS-07H(グフ飛行試験型)の様に、試作機でありながら「Y」ナンバーが付かないMSも存在している。

他にもMAX-03(アッザム)やQCX-76A(ヨルムンガンド)のように「X」ナンバーが付くケースもあるなど、試作機用の形式番号に傾向はあっても、統一規格はなかったと考えられる。



——ジオン公国軍のMS開発における試作機——

 ジオン公国軍のMS開発では、ZI-XA3(クラブマン)やMS-06R-3(ゲルググ先行試作型)などの「実験機的試作機」によってMSの基礎技術やビーム・ライフル関連などのテクロノジーが培われ、それら技術を基に「量産化前提試作機」や先行量産型が開発された。

その後、試作機から直接派生した量産機を基に、新たな「実験機的試作機」が作られるというサイクルを繰り返していた。


●ZI-XA3(クラブマン)

 MS-01以前に開発された「実験機的試作機」。初歩的なAMBACシステムを搭載したMSの始祖である。ミノフスキー・イヨネスコ型核反応炉は搭載されていなかったとされる。


●MS-01、MS-02、MS-03

 MSナンバーを与えられた、最初期の人型「実験機的試作機」。以降のザク・シリーズを思わせるフォルムは、MS-01の時点で完成していたとされる。MS-02、MS-03と段階を追うごとに性能は向上していった。


●MS-04(プロトタイプ・ザク)

 新型のミノフスキー・イヨネスコ型核反応炉を搭載した、ZEONIC社の「実験機的試作機」。専用の火器も開発されるなど、実験機(MS-03以前)と実戦仕様機(MS-05(ザクⅠ))を結ぶ過渡期的存在となっていた。


●MS-06RP(高機動型ザク・プロトタイプ)

 宇宙戦力増強策の一環として開発された。ザクⅡの宇宙線特化タイプ(高機動型)。次期主力機の「量産化前提試作機」。生産性と推進剤消費に問題を抱えていたが、ランドセルと脚部推進機がもたらす機動性は高かった。主力機としては不採用となった。


●MS-06R-2P(高機動型ザク・ビーム兵器搭載型)

 ザクⅡR-2型開発にあたって製造された「実験機的試作機」。MS-11(アクト・ザク)様ジェネレーターの簡易版を搭載し、ビーム兵器の稼働を目的としていた。しかし、テスト結果が良好ではなかったため、R-2型にビーム兵器は搭載されなかった。


●MS-06R-3(ゲルググ先行試作型)

 MS-14(ゲルググ)のテスト用に製作された「実験機的試作機」MS-06R-2(ザクⅡR-2型)をベースにゲルググの部品を流用した機体で、試作ビーム・ライフルを携行可能となっていた。データのみゲルググに反映されたと言える。


●YMS-07(プロトタイプ・グフ)

 MS-06J(ザクⅡJ型)のデータを基に、ZEONIC社が開発した地上戦用の「量産化前提試作機」。防御力と機動性向上に重きが置かれていた。量産仕様グフの特徴であるヒート・ロッドとフィンガー・バルカンは搭載されていない。


●YMS-08A(高機動試作機)

 ZIMMAD社が、YMS-07と競合する形で提案した陸戦用試作機。「量産化前提試作機」としての側面を持つ。軽量化が図れた接近戦⁄ゲリラ戦使用の機体であったが不採用となり、計画はグフに統合された。ランドセルの設計はグフに取り入れられた。


●MS-07H(グフ飛行試験型)

 地球上におけるMSの機動性向上を目指した「実験機的試作機」。MSⅡ飛行能力を付与する試みとして、、グフのランドセルと脚部に大推力エンジンを搭載したが失敗。空中爆発事故を起こした機体もあったが、データはホバー走行システムの開発に寄与した。


●MS-07H-8(グフ・クラフトシステム)

 MS-07Hシリーズの8番目の仕様。「実験機的試作機」に分類できる。MS-07B-3(グフ・カスタム)と同等の機体をベースに、10万kgを超える推進力を与えることで、飛行能力を獲得した。機動⁄運動性は高くなかった。


●MS-08TX(イフリート)

 YMS-08Aの系譜に属すると思われる陸戦用試作MS。スラスター推力が非常に大きく、接近戦を意識した兵器が施されていたとされる。これをベースとして、ニュータイプ殲滅デバイスである「EXAMシステム」を搭載された機体も試作された。


●MS-07C-5(グフ試験実験機)

 ZIIMMAD社が製造した、地上戦用MSの「実験機的試作機」。ライセンス生産を行っていたMS-07B(グフ)を改修した機体で、試験データはMS-09(ドム)の開発に役立った。頭部形状や兵器にドムとの共通点が見受けられる。


●YMS-09(プロトタイプ・ドム)

 ZIMMAD社が開発した陸戦用⁄局地戦用の「量産化前提試作機」。地球上における機動性を向上させるため、脚部を中心とした熱核ハイブリッド・システムによるホバー走行システムを確立。このシステムは、量産仕様のMS-09(ドム)が採用した。


●YMS-09D(ドム・トロピカル・テストタイプ)

 YMS-09の2号機を改修した熱帯専用試作機。「実験機的試作機」だが、先行量産型ドムや量産仕様ドムも、合計30機がこのタイプに換装されたといわれる。MS-09⁄TROP(ドム・トローペン)の過渡期的機体とも考えられる。


●EMS-10(ヅダ)

 EMS-04(ヅダ)をドム系MSの技術で改修した試作機。新型の推進機である「土星エンジン」を搭載していたが、EMS-04で露呈した欠陥はそのままであった。プロパガンダのために評価試験が行われた特殊な試作機として知られる。


●YMS-15(ギャン)

 ZIMMAD社が「第2期主力MS開発計画」で提案した「量産化前提試作機」。接近⁄格闘戦に特化した仕様の機体であったが、ビーム・ライフルを搭載可能なゲルググに敗れ、主力としては制式採用されなかった。


●YMS-18(ケンプファー試作機)

 MS-18E(ケンプファー)を開発するにあたって製造された試作MS。MSに単独飛行能力を付加する目的で開発するといわれる(実際にはうつ伏せ状態での滑空)。この説によると「実験機的試作機」に分類される。


●YMS-16M(ザメル)

 陸戦における中距離支援を目的とした試作機。「量産化前提試作機」と「実験機的試作機」のどちらにも分類できる。ホバー走行システムと60mカノンを搭載した。移動砲台的な機動兵器であった。


●MS-06RD-4(高機動試験型ザク)

 MS-09R(リック・ドム)開発のために製造された「実験機的試作機」。ザクⅡの脚部をドム系の物に換装した機体で、良好な試験結果を残した。テストの結果を基に宇宙船使用ドムの改修計画が進められた。


●MSM-02(水中実験機)

 MS-06M(水中用ザク)を基に開発された水陸両用MS。その名から「実験機的試作機」と思われる。水中機動性は向上したものの総合性能は低かった。本機で収集されたデータは、後の水陸両用MS開発に活かされた。


●MSM-03-1(プロトタイプ・ゴッグ)

 水陸両用MS、MSM-03(ゴッグ)の試作機としてZIMMAD社が開発した「量産化前提試作機」。水中用ザクのデータを参考に、水中機動性や耐圧能力を高めるため流線型の機体形状を採用。また、低出力ながら2門の拡散ビーム砲を搭載した。


●MSM-07Di(ゼーゴック)

 大気圏に再投入を行うと同時に、上昇中の敵艦艇を攻撃するために開発されたモビルダイバー・システムのコントロール・ユニット。「実験機的試作機」だが「量産化前提試作機」として評価試験に供された。MSM-07(ズゴック)を流用している。


●MS-06Z(サイコミュ・システム試験用ザク)

 MSN-02(ジオング)開発のために開発されたテスト機で、「実験機的試作機」にあたる。ジオング同様、両椀にサイコミュ制御式有線ビーム砲を搭載。ザクⅡの性能限界もあり、高機動時のサイコミュ・オペレーションのデータは得られなかった。


●MSN-01(サイコミュ・システム高機動試験機)

 MS-06Zで不完全だったサイコミュ使用時における、高機動レベル⁄ゼロ・レンジ攻撃のデータ収集を目的とした「実験機的試作機」。MS-06Zの2号機の脚部を熱核ロケット・エンジンに換装したが、本機でも十分なデータは得られなかった。


●MSN-02(ジオング)

 ニュータイプ用試作MS。サイコミュ式有線ビーム砲を装備し、脚部の代わりに大推力推進器を搭載したMA的機体だった。「量産化前提試作機」と思われるが、ニュータイプの絶対数が不足していたため、量産化は困難であった。

 
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