MS Operative Theory
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ジオン公国軍の試作兵器①
——MSやMAだけに止まらない、ジオン公国軍の試作兵器群——
ジオン公国は、地球連邦との絶対的な国力軍事力の差を覆すため、新兵器の開発を推進した。この結果、MS-06(ザクⅡ)やMS-14(ゲルググ)に代表される主力汎用MS、MS-09(ドム)やMSM-07(ズゴック)などの局地戦用MS、そしてMA-05(ビグロ)のような高機動MAなど、多くの傑作機が開発された。
これらの傑作機は、試作機、先行量産機、実験機によって得られたデータを反映し、兵器史に名を残す性能を獲得したのである。
試作機と言うと、RX-78(ガンダム)に代表される地球連邦軍製の試作MSの印象が強い。また、ジオン公国軍ではMS-06S(ザクⅡS型)など、量産機のカスタム仕様こそ有名だが、試作機に関する一般的な認知度は高いとはいえない。
だが、史上初の実験型MSとして制式化されたザクⅠの形式番号が「MS-05」であることからも分かるように、MS-01からMS-04までの「試作機」が存在していたことは明らかである。
中でも、「MS」ナンバー以前に開発され、MSの方向性の決定に大きく貢献した試作機動兵器「ZI-XA3(クラブマン)」や、新型熱核反応炉を搭載した「MS-04(プロトタイプ・ザク)」、MAの原型機と言える「MIP-X1」などは機動兵器技術史上、重要な意味をもつものである。
このような試作機は基本的に戦力化を前提としない実験機、または技術立証期的な側面が強く、本稿ではこれらを総称して「実験機的試作機」と呼ぶ。サイコミュ搭載MSの始祖となったMS-06Z(サイコミュ・システム試験用ザク)や、ドム・タイプの脚部を試験的に搭載したMS-06RD-4(高機動試験型ザク)もこれに含まれる。
それとは別に制式化を前提として、改装を行った後に量産が可能な仕様の試作機も存在していた。それがEMS-10(ヅダ)やYMS-09(プロトタイプ・ドム)、MA-08(ビグ・ザム)などで、量産化を前提としたこれらの機体を本稿では「量産化前提試作機」とする。
「量産化前提試作機」は、量産時に盛り込まれる具体的な仕様や装備を取り入れたモデルとなっている。技術的な信頼度を除けば、量産機と比べて大きな性能差やスタイルの違いがない場合が多い。
MS-05A(先行量産型ザクⅠ)( YMS-05(試験型ザクⅠ)と同型と言う説もある)の様な先行量産試作型も、これに分類されると考えてよい。
旧来の発想では「量産化前提試作機」が試作機と呼ばれ、「実験機的試作機」は実験機などにカテゴライズされる。そのため、一般的に試験機は分類が難しい種別と言える。
だが、宇宙世紀に入ると「試験機」は、実験機も含むようになった。また、制式化されながらも生産数が少ない機体が、試作機に分類されるケースがあることもこの時代の特徴である。
これはジオン公国だけでなく、地球連邦軍や後に出現するベスパなどの軍事組織でも同じことが言える。このため、今回は「量産化前提試作機」や「実験機的試作機」といった名称を用い、機体の開発目的や傾向を明確に定義しているのである。
補足事項
——実戦に投入されたジオン公国軍試作兵器——
地球連邦軍が試作機のRXシリーズを戦線に投入したように、ジオン公国軍でも試作機を実戦機を使用したことがある。
これは評価⁄運用試験と、一年戦争後期以降の戦力不足を補助するため、または戦局の挽回を目指した「超兵器」としての運用が主な目的となっていた。
●MSM-07Di(ゼーゴック)
ジャブローから打ち上げられる敵艦艇を、大気圏に再突入しながら迎撃する試作機動兵器。事実上の急造兵器であった。
●MA-08(ビグ・ザム)
ジャブロー攻略用試作MAとして開発されていたが、ソロモン防衛戦に投入された。量産計画も進められていた。
●MAN-08(エルメル)
ニュータイプ専用MA。サイコミュ制御式無線攻撃端末「ビット」を装備し、コンペイトウへの奇襲などに投入された。
●MSN-(ジオング)
サイコミュ式有線攻撃端末を装備したニュータイプ用MS。ア・バオア・クー戦に投入され、多大な戦果を残した。
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