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八条学園怪異譚

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第四十八話 薔薇園その八

「その二つか」
「うん、麻雀もいいけれどね」
 狼男は麻雀も好きだ、無論フランケンもだ。しかしそれだけではなくというのだ。
「身体も動かして」
「そうだな、それではな」
 ドラキュラも狼男の言葉に頷いた、そしてだった。
 彼等は四人で午後はまず麻雀をしてそれから散歩をすることにした、彼等の午後はそうしたものになった。
 そして愛実と聖花、彼女達はというと。
「じゃあ今日の夕方ね」
「ええ、その薔薇園に行ってね」
「それで確かめましょう」
「薔薇を見ながらね」
 こうなった、しかしだった。
 ここでふとだ、愛実が顔を曇らせてこう聖花に言った。
「何か今ふと思ったんだけれど」
「どうしたの?」
「ええ、薔薇っていうとね」
「薔薇がどうかしたの?」
「何か小林先輩がおられてね」
 彼女が、というのだ。
「それで絵を描いておられるとか」
「ああ、先輩大学の美術部だからね」
 しかも芸術学部所属だ、芸術好きであることは事実だ。それでだというのだ。
「おられてそれで絵を描かれておられるとか」
「有り得るわね、ただ先輩ってそれ自体は絵になる方だけれど」
「その絵がね」
「そうなのよね」
 問題は奈生子、彼女の絵のことなのだ。
「もう何が何だかわからないって感じで」
「カオスだからね」
「あの絵はちょっとね」
「そうよね」
 聖花もだった、愛実の話を聞いて困った顔で応えたのだった。
「凄過ぎて」
「あの絵を見ることは勇気がいるから」
 それで話すのだった、そうしてだった。
 愛実はさらにだ、こう言うのだった。
「あの絵を見ることになってもね」
「それでも行くのね」
「あの娘の絵は確かにな」
 凄いものがあるとだ、フランケンもここで言う。
「壮絶なものがあるな」
「最初何が何かわからなかったわ」
「もう何を描いておられるのか」
「うむ、わしもだ」
 妖怪であり何百年生きており様々なものを見てきている彼もだというのだ。
「あの絵はな」
「あれは何ていうかね」
「画伯っていうか」
「そんな絵よね」
「どう言葉で表現していいかわからない」 
 そうした絵だというのだ、まさに。
「とてもな」
「そうよね、ちょっとね」
「あの方の絵だけは」
「あの娘は本質的に芸術家だ」
 このことは間違いないというのだ。
「茶道も華道も書道もかなりのものだ」
「元々そうしたお家の人よね」
「だからそうした方は凄いのよね」
「そうだ、魔女であると共にな」
 魔術研究会所属であることも話される。
「素晴らしいものがある、だがだ」
「絵だけはなのね」
「それだけは」
「そうだ、それだけはね」
 芸術といっても様々だ、書が優れているからといって絵も美麗であるとは限らないということである。だが奈生子の絵はというと。 
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