八条学園怪異譚
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第四十八話 薔薇園その七
「それが凄くてね」
「戸惑うから」
「誰であろうが花を愛することはいいことだ」
しかしまだこう言うドラキュラだった。
「私も花は好きだ、食べるのもな」
「そうそう、薔薇って食べられるのよね」
愛実は右手の人差し指を立たせて話した。
「ジャムとかにも出来るし。他には菊もお浸しにしたり」
「詳しいな」
「お花料理をうちのお店で出したこともあるから」
だから知っているというのだ。
「それでなのよ」
「ふむ、そうした事情が」
「そうなの、薔薇はお菓子にいいわよね」
「うん、うちのお店でも薔薇のジャム売ってるわよ」
聖花もここで言う。
「薔薇は食用でもあるから」
「そうよね、あと蒲公英も食べられるらしいから」
「お花を食べるのもいいわよね」
「綺麗な感じで」
「貴殿達は結構サバイバルが出来そうだな」
ドラキュラは二人の話を聞いて述べた。
「いいことだ」
「まあね、お料理はね」
「お家の仕事だし」
「それでね、こうしたことはね」
「それなりに知っているの」
「そうか、薔薇のこともか」
薔薇が食べられるということもだというのだ、ドラキュラは二人の話を聞いて納得しそうしてだった。
窓の外を見てだ、こう言うのだった。
「ではだ」
「ええ、その薔薇園に行ってよね」
「泉かどうか確かめて」
「それで、よね」
「薔薇を見て来いっていうのね」
「今は食べることはないだろうがな」
ドラキュラはそれはないとした、薔薇園だが食用に用意されている場所ではないからである。
「ではな」
「行って来るわね」
「今度はそこにね」
「行くといい、さて」
それではと言ってだった、ドラキュラは。
仲間達に対してだ、こう言うのだった。
「諸君、これからどうするかだ」
「ああ、今日だね」
「今日の午後のことだな」
狼男とフランケンがドラキュラの言葉に応える、ミイラ男は丁度牛乳をストローで飲んでいるので喋れなかったのだ。
その二人がだ、こうドラキュラに答えた。
「そうだね、散歩とか?」
「校内を散歩するか」
「それもいいがだ」
ここでミイラ男が話に入って来た、そのうえで言うことは。
「中で遊ぶのもよくないか」
「部屋の中でか」
「麻雀はどうだ」
ここでミイラ男が挙げた遊びはこれだった。
「それをしないか」
「ふむ、麻雀か」
「そうだ、どうだろうか」
「悪くないな」
ドラキュラはミイラ男の言葉を受けてまず頷いた、それでだった。
彼は狼男とフランケンに顔を向けてこう尋ねた。
「貴殿等はそれでいいか」
「じゃあこうしない?」
ここで狼男が言うのだった、ドラキュラの話を受けて。
「夕方まで麻雀してね」
「それでか」
「そう、夕方から散歩しないかい?」
「室内と運動だな」
フランケンも応えて言う。
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