とある星の力を使いし者
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第128話
男は麻生が片膝をついているのを見ると、ため息を吐いて言う。
「お前、どうしてあの一撃に手加減をした。」
男の質問に麻生は答えない。
「そう言えば、お前は黄泉川という女のと約束をしているんだったな。
確か、内容は人を殺すな、だったかな。」
「ッ!?
お前、どうしてそれを知っている!」
男の発言に麻生は歯を食いしばって、立ち上がり問い掛ける。
麻生は愛穂との約束を桔梗以外、誰にも話していない。
あの二人はこの事を誰かに言いふらす人ではないのは確かだ。
それなのに、この男はその内容を知っていた。
「答えろ。
何故、知っている!」
麻生がもう一度、問い詰めると男は小さく笑い声をあげながら答えた。
「そりゃあ、その女に聞いたからだよ。
中々口を割らないから、少し身体を痛めつけたら教えてくれた。」
その言葉を聞いた瞬間、麻生の頭から理性が一瞬で無くなった。
「ガマリエル」のアンカーを、男の真上に一瞬で移動すると一切の躊躇いもなく、振り下ろす。
地面を叩き割り、粉塵が巻き起こる。
だが、男は傷一つなく、後ろに下がり距離を取る。
「ははははは!!
いいね、そうでなくちゃな。」
男は嬉しそうな声をあげながら、そう言った。
麻生はそのまま男に向かって、突撃しようとするが。
「安心しろ、さっきのは嘘だ。
何故、知っているのかは言えないが、黄泉川とか言う女には一度も会ってない。」
男は少し笑い声を堪えつつも、そう言った。
麻生はそれを聞くと、足を止める。
それを見た男はいきなり堪えていた笑い声が聞こえなくなり、退屈そうな声で言う。
「何だ、もう冷めたのか。
答えを言うのは早すぎたな。」
「お前は何が目的なんだ。」
先程と比べれば、理性が残っているが、殺気の籠った声で男に再度問い掛ける。
「言った筈だ、俺は今のお前の実力を知りに来たんだってな。」
「もしかして、お前はあいつらの仲間か。」
あいつらと言うのは、依然に出会ったスーツ男や刀の男、触手を操っていた女の声の人間だ。
その言葉を発した瞬間だった。
麻生の背筋がゾクリ、と一瞬恐怖した。
それは殺気だった。
今までに感じた事のない殺気を麻生は感じたのだ。
その殺気を出しているのは一人しかいない。
「俺があいつらの仲間だと?
あんな奴らと俺が一緒だって、言ったのかてめぇは?」
その声は酷く冷たく、怒りや憎しみの負の感情がこもっている。
「遊びは終わりだ。
そんな言葉を口にしたクソ野郎は此処で死ね。」
男は両手を前に突き出した。
クトゥグア イタクァ
男はそう唱えると、男の両手に二つの拳銃が出現する。
麻生はその拳銃を見た途端、鋭い痛みの頭痛を感じた。
「死ね。」
男は麻生にそう言うと、二つの拳銃の引き金を引く。
二つの拳銃から放たれた弾丸は、麻生に向かって飛んでくる。
(あれはやばい!!)
直感でそう思った麻生は、右手を突きだし、叫ぶ。
「熾天覆う七つの円環!!」
そう叫ぶと、麻生の前に光で出来た七枚の花弁が展開される。
熾天覆う七つの円環の花弁は、一枚一枚が古の城壁と同等の防御力を持つ。
故に投擲武器や、使い手から離れた武器に対して無敵という概念を持った概念武装なのだ。
それは拳銃の弾丸であろうと、例外ではない。
二つの弾丸が熾天覆う七つの円環にぶつかった瞬間だった。
凄まじい轟音と共に、花弁が一瞬で二枚も吹き飛んだ。
「なっ!?」
これには麻生も驚きの表情を浮かべる。
熾天覆う七つの円環にぶつかっても、弾丸は依然と勢いが衰える事はない。
それどころか、熾天覆う七つの円環の花弁が次々と消滅していく。
「ぐっ!・・・・おおおおお!!!!」
それでも麻生は残りの花弁に能力の全てを注ぎ込む。
一瞬で熾天覆う七つの円環の花弁を吹き飛ばした弾丸だ。
もし、これが麻生を貫けば後ろの市街地がとてつもない被害が及ぶだろう。
人払いや昏倒の結界を張っていても、範囲がある。
もし、この弾丸がその結界の範囲外まで及べば、被害は甚大になるだろう。
次々と花弁は消滅していき、最後の一枚だけが残る。
(くそ・・・もう止めきれない!)
最後の花弁にひびが入り、消滅しかけた時だった。
「うおおおおおお!!!」
聞き慣れた雄叫びが聞こえた。
麻生は振りかえなくても、その声の主は誰だか分かった。
その人物は麻生の横を通り過ぎると、最後の花弁に向かって右手を突きだした。
その人物とは、言うまでもなく上条当麻だ。
上条の右手が花弁に触れると、その花弁は一瞬で消滅する。
花弁に触れていた弾丸もその右手に触れた瞬間、消滅した。
上条はそのまま勢いを止める事無く、男に向かって走り出す。
「死に来たか。」
男は次の弾丸を上条に向かって撃つ。
弾丸は上条に向かって、放たれるが。
「俺がさせると思ったか!」
麻生の右後ろには拳ほどの大きさの鉛色の石球が二つ浮いていた。
それは青い稲妻を放ちながら、麻生の右手の甲の上に浮遊する。
青い稲妻がより強くなると、石球の本当の姿が現れる。
それは短剣だ。
小さな短剣が現れ、麻生はその真名を放つ。
「斬り抉る戦神の剣!」
麻生がそう言うと、斬り抉る戦神の剣はレーザー状の光弾となって、男に向かって放たれる。
二つの光弾は男の両肩に向かって、放たれる。
男に向かった光弾は男に当たっても、傷一つ負う事はなかった。
だが、男の両肩の照準を逸らす事はできた。
そして、二つの銃から弾丸が放たれる。
これが、斬り抉る戦神の剣の能力だ。
相手の発動より明らかに遅れて発動しながらも、絶対に相手の攻撃よりも先にヒットする。
そして、因果を歪め「相手よりも後から攻撃、先に命中させた」を「相手より先に攻撃した」という事実に改竄してしまう。
その絶対条件は、相手の切り札が発動することが発動条件。
麻生はあの拳銃があの男の切り札であると、判断してすぐさま斬り抉る戦神の剣を創り、発動させたのだ。
麻生が斬り抉る戦神の剣を放った目的は男に傷を負わせるのが目的ではなく、照準をずらす事が目的だ。
斬り抉る戦神の剣で照準をずらされ、上条を貫く筈だった弾丸は、明後日の方向へ放たれる。
「ちっ。」
男は舌打ちをすると、何かしらの魔術を使ったのか、二つの銃が消滅する。
そして、上条に向かって無数の鎌鼬が襲い掛かる。
麻生は上条の前に空間移動して、「ガマリエル」の盾で上条を守る。
麻生は何かを呟くと、麻生の周りにも風が吹き荒れると、風の刃となって鎌鼬を相殺していく。
「ガマリエル」を捨て、麻生は男に向かって走り出す。
それに続いて、上条も走る。
相殺しきれてない鎌鼬が二人に襲い掛かる。
二人は傷を負いながらも、それでも前に進んでいく。
麻生は左手を、上条は右手を強く握りしめ、男に向かって突き出す。
男は特に避ける事もせず、二人の拳が男の顔面を捉えた。
後書き
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