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ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄

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第八話「イレギュラーハンター/IRREGULAR HUNTER」

 
前書き
時空管理局とイレギュラーハンター、双方の関係とはいかに?

あと管理局側のキャラのエイミィですが、七話ではエイミーと間違っていました。
申し訳ありません…… 

 
数時間前にて

「現地では既に二者による戦闘が開始されている模様です」
「中心になっているロストロギアはAプラス、動作不安定ですが無差別攻撃を行っています」
「回収は急がないといけないわね……クロノ・ハラウン執務官、でられる?」
「命令があればいつでも」
「イレギュラーハンター出動!各員戦闘態勢へ移行せよ」
「了解っ!」
「了解です!」
「各員は現地での戦闘の停止とロストロギアの回収、両名からの事情聴取を」
こうして三名の戦士は転送装置トランスサーバーのフィールドに立つ。
「気をつけてね~?」
と、リンディはハンカチを手に見送り、クロノは苦笑い。
「バッファリオ?ホーネックが勝手に暴走しないよう、私の代わりに十分見てくれ?」
と、シグナスはバッファリオへ託する。
「はっ!」
「司令?冗談きついっすよ~……」
三名は転送され、現地へと急行した。

そして、現在にまで至る。
「イレギュラーハンターだ!とりあえず、話を聞かせてもらう!双方武装を解除しろ?」
一人のイレギュラーハンターのホーネックがそう叫び、僕は大人しくバスターを解除する。
ゼロ君も素直にセイバーを納めた。
『イレギュラーハンター……』
「モデルX、知っているの?」
『僕の世界ではイレギュラーを取り仕切る警察機構だ。君たちの戦闘を停止させたとすると、あの二人はかなりの腕前だ』
「とにかく、二人とも事情をお聞かせ願います……」
バッファリオがそう言った瞬間、突如魔導士側に数発物光弾が飛び込んできた。
「!?」
光弾はクロノの結界で防がれたが、攻撃してきたのはアルフであった。
「逃げるよ!フェイト、ゼロ!?」
「……!」
ホーネック側に居たゼロ君はダッシュで距離を取り、セイバーを引き抜いたのだ。
「テメェ!抵抗するか!?」
ホーネックは槍を向けるが、ゼロは彼と戦う気はなく、上空のアルフへ向け走った。
「待てっ!」
ホーネックが追うも、ハンター側にも何者かによる奇襲が襲ってきた。
「だ、誰だ!?」
二人のハンターが上空を見上げると、そこには紫のアーマーのレプリロイドが一体。
「クックック……ハンターの犬共が、もう嗅ぎつけやがったか?」
「お、お前は……VAVA!?」
バッファリオが叫んだ。もと、同じハンターとして行動していたが、今ではシグマと共にハンターを抜け出した最強のイレギュラーの一人である。
「フェイト!ゼロ!急いで!?」
アルフの呼びかけに、フェイトとゼロは振り向くが、双方は戸惑っていた。しかし、仕方なく二人はアルフへと向かうが、フェイトは目の前のジュエルシードを安々と見過ごすわけにはいかなかった。彼女がそれに手を差しのばした瞬間。クロノに寄る攻撃を食らい、地面へと落下した。
「フェイト!?」
ゼロは落下する彼女の体を抱きとめ、野獣と化したアルフへ跨る。しかし、
「動くな!」
ゼロたちはクロノとハンター二人に武装を向けられ包囲されてしまうが、
「やめてください!」
ハンター達の前に僕となのはが駆け出て、両手を広げた。
「坊やたち、悪いがどいてくれねぇか?」
「そうです、抵抗する者は強制確保をしなくてはなりません。危ないから退きなさい?」
「でも、聞いてください!」
なのははハンター達と、上空のクロノにそう叫んだ。クロノも盾になるなのはを目に驚く。
しかし、そんなクロノのもとへもVAVAのキャノンが何発も飛ぶ。
「……!?」
魔法とは違い物理的強大な攻撃を食らい、少し後退る。
「これがA級ハンターの実力か……!」
クロノは軽く評価していた物理的攻撃だが、VAVAの攻撃は下手すると、魔力よりも上回る恐れがあった。
「フンッ……こんなガキが時空管理局とは随分イレギュラー様も舐められたものだ」
そう言ってVAVAはゼロたちへ振り向く、
「その獣と小娘を連れてとっとと失せろ!」
VAVAは転送し、姿を消した。ゼロ君もアルフと共にフェイトを乗せて姿を消す。残ったのはなのはと僕、そして時空管理局の少年と二人のハンター。
「ほう……あの適合者の少年、中々の腕前に見える」
アースラにてその状況の一部始終を見ていたシグナスは派遣した二人の部下へ通信を取る。
「ホーネック、バッファリオ、そちらにいる適合者の少年と話がしたい。その子を連れてきてもらえないか?」
その通信を無線越しに聞き、ホーネンはタケルを見た。
「え、このチビをですか?」
その後、時空管理局提督のリンディもなのはとコンタクトをとるべく、適合者と魔導士の二人をアースラへと招いた。
「ねぇ?モデルX、時空管理局とイレギュラーハンターってなに?」
船内を移動中、タケルはモデルZに尋ねた。
『時空管理局は、数々の異世界へ時空をつたって行き来し、管理防衛する機構組織だ。そしてイレギュラーハンターは僕が住んでいた世界に存在する警察組織さ。そしてこの二つの組織は前々から深い交流があり、管理局はイレギュラーハンター達の戦闘能力を高く評価して今では同盟を結び、幾多の任務で共同を張っている』
「そんなにすごいんだ……」
僕が考えるに、時空で繋がる数々の異世界は大海原にぽつぽつと浮かぶ島々のようなもので、海を越えて他国と交流を深め、そして同盟を結ぶ。そう例えればいいのだろうか?
『とくに、このアースラは管理局の旗艦でもあり、艦長を管理局の提督が、戦闘指揮者にハンターの司令長官が乗りこんでいる。僕らは今、とんでもない船に乗せられたということだ……』
「じゃ、じゃあ……僕となのはが呼び出された理由って?」
『……おそらく、その二人に招待されたんだろうね?』
「き、緊張してきた……!」
クロノに連れられてエレベーターに乗り、そしてある階へ招かれると、クロノは振り返って。二人に、
「いつまでもその姿だと窮屈だろ?バリアジャケットとデバイスは解除していいよ?そちらのロックマンも、変身を解除しても構わないよ」
と、笑みでそう言うので、僕らは変身を解いた。元に戻った僕達を見たクロノは次にフェレットのユーノへ顔を向ける。
「それと、君も元の姿に戻ってもいいんじゃないか?」
そうクロノが言うと、
「ああ、そうでしたね?」
ユーノは光に包まれ、その姿はフェレットアから一人の少年へと姿を変えたのだ。
「ふぅ、なのはとタケルにこの姿を見せるのは初めてかな?」
そう言ってユーノは僕らを見た。そして、なのはは顔を真っ赤にして悲鳴を上げた。今、彼女の考えていることは、フェレットだったユーノと暮らした日常生活。彼の目の前で着替えたり、連れて女湯に入ったり……他にもまだまだある。ちなみに僕も彼女と同じことを考えていた。でも、僕の方は妄想ってやつかな……?少し羨ましい……
「じゃあ、今から艦長に会わせますので……」
クロノに艦長室へと招かれ、僕らは気を引き締めた。しかし、そこには行ってみれば、
「へ……?」
左右には無数の盆栽が飾られた日本の和室で会ったのだ。そんな部屋に一人の若い女性が僕らを迎えた。彼女は管理局の提督リンディ・ハラオウらしい。
「ようこそ、さ?寛いで?」
「は、はい……」
偉く親しく話す彼女に僕らは苦笑いしながら腰を下ろし、お茶と茶菓子も頂いた。
「……あの、ロストロギアって何ですか?」
会話の中、なのはが提督へ尋ねる。
「ああ、遺失世界の遺産……といってもわからないかしらね?えっと……」
提督はもっと簡単に説明し直す。
「本来異事件の中には幾つもの世界があるの。それぞれに生まれて育っていく世界、その世界に稀に進化しすぎる世界があるの、進化した世界が、自らの技術で自分たちの世界を滅ぼしてしまって、そのあと残され、失われた世界の遺産。それらを総称して「ロストロギア」と呼ぶの。使用によっては次元さえも破壊してしまうかもしれない恐ろしい技術。それらは絶対的にしかるべき場所へ保管されなくてはいけないもの。特に君たちの世界に存在するロストロギア、ジュエルシードは次元干渉型のエネルギーの照合体。いくつかの方法で、特定の数で起動すれば、空間内に次元震という大きな影響を及ぼしかねない危険物なの」
「君と、あの黒衣の魔導士がぶつかったとき起こった振動と爆発、あれが次元震だよ」
「……!?」
クロノはそうなのはへ言うと、彼女はあのとき、レイジングハートとバルディッシュがジュエルシードを挟んで接触したあの場面を思い出した。
「ジュエルシード一個だけでも、複数集まった威力の何万分の一にすぎない。それが特定数集まってしまえばこの世界は消滅してしまう」
クロノはそう表情を曇らせる。すると、ユーノは心当たりがあるのか、
「もしかして、旧暦462年に起きたあの事件?」
彼が答えるとクロノと提督は酷く暗い顔で語った。
「ああ、あれはひどい事件だった……」
「過去に起こった旧暦462の時空大災害、あれは酷いものだったわ……隣接した複数の世界が幾つも崩壊し、多くの犠牲者が続出した。これ以上の被害は決して起してはならないもの……」
角砂糖を抹茶に入れて、それを飲み干したリンディは僕らへこう告げた。
「これにつきまして、今後ジュエルシードの回収は我々時空管理局とイレギュラーハンターが全権を持ちます」
「え!?」
僕らは目を丸くした。
「君たちはそれぞれの世界へ戻って、いつもの生活に戻ってくれればいい……それと、そこの君?」
クロノは僕に呼びかけた。
「え、はい……?」
「君は偶然のなり行きでライブメタルに接触し、適合者として登録されたんだね?」
「そ、そうですけど……?」
そのとき、艦長室へもう一人、指揮官帽を被った軍人が入室してきた。
「あら、シグナス司令?」
リンディはシグナスを見てまた明るい表情へ戻った。
「いやぁ、部下の後始末が問題で遅くなりました……で、そちらの少年が例の?」
「はい、ライブメタル「モデルX」の適合者の……ごめんね、お名前は?」
「……蒼霧タケルです」
「タケル君か、今までモデルXは居るかい?」
『はい、シグナス司令……』
すると、モデルXは光を発しながら僕のポケットから離れて浮かびあがった。
「本日付けで、蒼霧タケル適合者との任を解く、以上……」
『……!?』
「タケル君の世界のライト技術顧問に回収されればいい」
『し、しかし……!』
「ジュエルシードは民間人が協力できるほどのレベルじゃないんだ!犠牲は出したくないんだよ……」
クロノがそう叫ぶと、モデルXも、なのはたにも皆黙った。
「まぁ、とりあえず一晩考えて次会ったときに答えを聞かせてもらうわね?」
そうリンディ提督に言われ、僕らは元居た場所に戻された。
「それにしても驚いたな?ユーノ君が人間に戻るなんて……」
僕は初めて知ったユーノ君の正体。初めは部族名だとかあまり理解していなかったが、こうして彼の正体を見ると、服装からしてなんとなしに納得させられる。
「モデルX……?」
でも、僕はそんなことよりも近付きつつあるモデルXとの別れに不安を抱いていた。
『……指令が、あんなに早く君との任を解くなんて驚いたよ』
いつかは別れる時は来ると思っていたけど、でも……こんな形で分かれるなんて僕は嫌だよ!でも、イレギュラー化したジュエルシードの力があれ程強大だったとは知らなかった。
「でも、僕たちはこれまで一緒に戦ってきたじゃないか?どうにかならないの!?」
『ごめん……僕にもどうすることはできないよ。ライト博士にはもうその知らせが付いているころだろうし……でも、僕はタケルと戦えたことを誇りに感じているよ?』
「モデルX……」
『とりあえず今日は遅いからもう帰ろう?何とかなるよ……』
「うん……」
僕らはそれぞれの不安を抱きながら家へと帰った……

予期を同じくして、アースラの分析室にはロックマンとなったタケルとなのはのこれまでの戦いが映像となって記録されていた。
「凄い!初心者としては信じられないほどの経験値の上昇力、魔同士ではあの白い服の子、初めてなのにあれ程凄い才能なんて……でも一番気になるのはあの青いロックマンの子よね?まるで伝説通りだわ!」
映像を見ているのはエイミィと、彼女の隣に居るクロノであった。
「伝説?」
と、クロノは首をかしげる。すると、エイミィはつまらなそうな顔を向けてその伝説とやらを説明した。
「知らないの?イレギュラーハンター達の間では神話とされた「ROCKMAN」の伝説」
「ロックマン……?ロックマンってライブメタルの称号だろ?」
「ううん?本来はオリジナルのロックマンが居たの。絶え間ない進化と無限の可能性を秘めた最強の戦士。彼は幾千の戦いを越え、傷つきそして倒れた。後に彼をベースに現在、ライブメタルという金属物質が作られたのよ?ライブメタルの数は全部て六つ…いいえ、七つだったかしら?ううん……八つかも?」
「そんなにあるの?」
「シグナス司令の世界では今のところ六つのライブメタルが存在しているけど、あと二つ……幻のライブメタルがあるんだって?そんなライブメタル達の中で特にモデルX、あのライブメタルはかの有名はオリジナルロックマンをベースに開発されたのよ?」
「へぇ?結構詳しいね……」
「興味があるの、さっきバッファリオさんと仲良くなれたからもっと興味がわいたわ?」
「……」
クロノは黙りながらロックマンの戦闘シーンを見つめた。
「あら、ロックマンの話?」
すると、そこへリンディが歩み寄って彼女もその映像を目にした。
「モデルXと、モデルZ……数千年前に世界を救った二人の英雄のベースとなったライブメタル……」
「え、提督の御存じなんですか!?」
エイミィは興味深い顔で彼女に尋ねた。
「ええ、一様ね?シグナス司令と仲良くなったから益々興味がわいて……」
(提督もエイミィと同じ共通点があるな……)
クロノは隣でそう感じた。リンディはそんなクロノとエイミィに自分が知るロックマンの歴史を語った。
「……その昔、極めて人間に近い高度な機械生命体「レプリロイド」が生まれたの。彼らは限りなく生命体に近感情を持ち、人間と共に共存の道を歩む最高のパートナーとなるはずだった。でも、双方の歯車は次第に軋み始めた。人間に近い感情があるがゆえにレプリロイド達は時に人間へ逆らい反抗した。人々はそんなレプリロイドを「イレギュラー」と呼び恐れた。そしてレプリロイドはレプリロイドの手に寄って処分させる。それが人間達のとった答えであり、人間達のために同族と戦うレプリロイド達にとって迷う余地はなかった。こうして、いつ終わることの知らないレプリロイド同士の長い争いが始まり、多くの犠牲者が出た。しかし、その戦争はROCKMANと名乗る二人の戦士によって集結された。蒼き英雄と紅き英雄にね……」
「じゃあ、蒼き英雄のベースはモデルXのあの子で、紅き英雄のベースは……モデルZなんですか!?」
エイミィが驚く。当時は共に戦った戦友同士の力が敵同士となり再び激突しあう。
「でも、エイミィ?そのあと調べたことなんだけど意外な事実は発覚したの……」
すると、リンディは興奮状態のエイミィへとっておきのロックマン秘話を話した。
「……クロノも聞いて?今回の事件の主犯格ドクター・ワイリーは、モデルZの適合者、ゼロ・アンリミテッドの祖父というらしいけど……仮にそうだとしたら祖父は祖父でも曾・曾・曾・曾お爺ちゃんかもしれないの?」
「……!?」
そのお気楽的なリンディの口調にクロノは目を鋭くした。
「え、どういうことですか?」
まだわからないエイミィにリンディは答える。
「……信じられないかもしれないけど、ドクター・ワイリーはその昔、紅き英雄を生み出した生みの親なの。もし祖父だというのならゼロ君の御先祖様になるのよ?」
「えぇ!?じゃあ、どうして現世に?」
「科学が発達した世界の住民なんだからタイムマシンの一台や二台は作ったんじゃないかしら?それに……彼の元同僚のドクター・ライト博士、彼もそれっぽいのよ?タケル君に話したら彼はかなりショックを受けてしまいそうだから言わなかったけど……」
「もし、それが本当なら……ライト博士もワイリーと同じ世界の住民ということになりますね?」

遠見市のフェイト宅にて

フェイトは再びゼロに手当てを受け、片腕に包帯が巻かれていた。
「時空管理局やイレギュラーハンターまで出てきたか……これはそう問う難関な任務になりそうだ。次は無事帰ってこれるかどうか……」
ゼロはそう予期せぬ予想を立てながらソファーへと座った。
「フェイト、ゼロ、時空管理局やイレギュラーハンターまで出て来ちまったんだ。もうどうにもならないよ!逃げようよ?三人でどっかにさ?」
アルフが二人へそう尋ねた。しかし、二人は聞く耳を持たない。
「駄目だよ、アルフ……」
負傷した痛みに耐えながらソファーで横たわるフェイトが起き上がった。
「だって!ザコクラスならともかく、あいつらは一流の魔導士とA級ハンターだ!本気で捜査されたら、ここだって何時までバレずにいられるか……それにあの鬼婆、アンタの母さんは訳のわからないことも言うし、フェイトや……ゼロにも酷いことをするんだよ!?」
そんな怒り悲しむアルフにゼロ振り向いた。
「アルフ……人の親のことをそう悪く言うもんじゃない……」
「ゼロ!何言ってんだい!?アンタも見ただろ?あいつは実の娘に……それにアンタだって……」
「俺は師匠とその部下にやられただけだ……」
「師匠、師匠って言うけど!師匠か弟子にそんな酷いことしていいのかよ!?」
「……」
ゼロはこれ以上返す言葉は無く、途端に黙った。アルフはそんな二人を目に泣き叫んだ。
「訳わかんないよ……あたしは、フェイトやゼロがこれ以上辛い思いをするのが嫌なんだよ!?そりゃあゼロと初めて会った時、不愛想で嫌な奴だと思ったさ?でもね、コイツと一緒に居るたびにフェイトと重なって、いつしかもう一人の御主人みたいに思えるようになったのさ……二人が傷つくと私も傷つく、二人が悲しくなれば私だって目がしらが熱くなるんだよ……!」
「……ごめんね、アルフ……でも、私は母さんの願いをかなえてあげたいの、きっと自分のためにも、だからもう少し……もう少しだけお願い」
そうフェイトは泣きじゃくるアルフの髪の毛を優しく撫でそう言った。
「アルフ……」
すると、ゼロはソファーから離れ、泣きじゃくるアルフへと歩み寄り、彼女の肩に手を添えて彼はこう言う。
「アルフ……お前はフェイトの護衛に専念しろ?」
「ぜ、ゼロ……?」
泣き顔でアルフはゼロを見上げた。ゼロは優しげな顔で彼女の微笑んでいた。
「俺が……奴らを引き付ける。フェイトがジュエルシードを回収出来たら、お前はフェイトを連れて直ぐにその場から撤退するんだ。俺のことは構うな、危なくなったら俺を置いてすぐに逃げろ?」
「ゼロ!アンタまで何を言うんだい!?」
「俺のアーマーはジュエルシードを、バルディッシュのように収納できる機能は持ち合わせていない。なら、俺が魔導士とハンターを相手にするしかない。倒せなくても、刺し違えるくらいの力は残っているだろう」
「ゼロ!あんたもしかして……」
フェイトは、ゼロの意図を悟った。ゼロの目には、もう思い残すことは無かったのだ。
「禁じ手の技、天照覇のパワーを極限にまで引き出せば俺の体は耐久性を失い消滅し、大爆発を引き起こせる……」
「そんなことしたらアンタが……!」
「アルフ、お前はフェイトに必要だ……だからここで死ぬな?フェイトがそこまで母親を愛しているんだ。なら俺は、フェイトに幸せになってもらう為の犠牲になろう……」
「そんなっ……ゼロ!?」
しかし、フェイトもゼロの犠牲は否定した。彼女もまた、ゼロをアルフのように大切な家族の一人だと思っているからだ。
「フェイト……母親と幸せにな?」
ゼロはそう言って自室へと戻った。

一方、時空艦船アースラにて

分析室にはリンディら管理局の三名と、イレギュラーハンターのシグナスが居た。彼らのもとへユーノとモデルXの通信が届いたのである。
「……なのはちゃんにも協力を?」
リンディはユーノとモデルXから聞かされたなのはとタケルの戦闘データーを報告した。
「僕となのは達も、そちらに協力させてください。僕はともかく、あの二人は有効的な戦力だと思います」
「有効的……」
シグナスは手に顎を添えて考え込む、いくら優秀とはいえ幼い少年少女を戦いに巻き込むのはいささか抵抗があった。
『自分からもお願いします。シグナス司令、リンディ提督、ジュエルシードの回収やあの子たちの戦闘、どちらしてもそちらとしては有効的な戦力となるはずです』
「「……」」
提督と司令双方はしばらく考えた後、提督は笑みを浮かべて、
「いいでしょう、こちらで考えておきましょう?」
「か、母さ……リンディ提督!?」
クロノは思わず言い間違えるほどに驚いた。そしてシグナスも彼女と同じように、
「……いいだろう?許可する。だが、適合者にせよ、まだ少年だ。その点は責任をもってするよう。それとこちらからの指示は絶対守るようにな?」
シグナスはそうウインクで答える。
『ありがとうございます!司令、提督』
そう言って通信は途切れた。

同時刻高町家宅にて

士朗さんと恭也さん、美由紀さんはトレーニングのため家を留守にし、残ったのは僕となのは、そして桃子さんの三人だけ、僕はモデルXからの知らせを受けてホッとした。とにかく、しばらくは一緒に戦えるというわけだ。しかし、僕となのははロックマンと魔導士としての最後の決戦に挑む。そうなればしばらく家を留守にするのだ。僕らはそのことを桃子さんと相談した。さすがに、ロックマンと魔導士のことは話せないけど、話せる限りのことを相談した……
「少し、危険かもしれないんです。でも大切な友達と一緒にどうしてもやり遂げたいことがあるんです……僕も、なのはも……」
「うん」
桃子さんは頷きながら僕たちの話を聞く。
「だから……お母さんには心配かけちゃうかもしれないの。その、やっぱり心配?」
そうなのはが尋ねると、
「そりゃあもう毎日心配よ?だって、私は二人のお母さんなんだもの?」
「……でも、僕は他人です。心配なんてしないでも構いません……」
僕は高町家とはとても遠い親せき、縁もゆかりもない他人のようだ。だから、僕よりもなのはの方だけを心配すればいいのに、そう思っていた僕だったが、
「何言っているの?タケル君は……いえ、タケルはもう私たち高町家の一員なのよ?大切な家族なの。だから、あなたの身にもしものことがあったら、私は悲しむわ?」
「桃子さん……」
「そんな名前で呼ぶのはもうやめて?これからはあなたも私たち家族の一人なんだから渡した士朗さんのことはお母さん、お父さんって呼んでほしいの。私はタケルをなのは達のように愛しているわ?それに……」
桃子さん、いや……母さんはそう言うとなのはと僕にこう言った。
「危ないことで悩んでいるなら母さんは「やめなさい」っていうけど、もう決めたことなんだし、やるって決めたのならお母さんは止めないわ?もういちど、その友達と最後までやり通すって、二人と出会ったその子達ともう一度話をしてみたいって?」
「うん……」
なのはがうなずくと、母さんは立ち上がって僕たちの髪を撫でてくれた。
「じゃあ行ってらっしゃい?体に気をつけてね、お父さんたちのことはお母さんがちゃんと説得しておいてあげる」
「あ、ありがとうございます……!その、お母さん……」
僕は照れくさそうな顔で小さくそう言った。そんな僕に母さんは優しく微笑んで、でも、少し嬉し泣きをしていた。
「ありがとう……タケル」
もう僕の目には、歪んだ背景やそれに乗じて響いてくる妄想の偽りの声は、もう何も聞こえてこない。僕が、自らの手で完全にそれらを絶ったんだ。もう僕は負けない、絶対に屈したりはしない!という強い決意で……
そして僕となのはは部屋で戦いに向けての荷造りを始めた。最低限必要な物だけをリュックに入れ、そして最後に僕はモデルXを握った。
「モデルX……」
『タケル、最後まで君らしく戦えばいい……そしてモデルZを、ゼロに勝利し、彼をワイリーの手から救い出すんだ!』
「うん!行こう?モデルX!!」
そして、僕たちはこの夜を栄えに家を飛び出した。もう、後戻りはできない。でも、必ず生きて帰ってくる!だって僕は……
「僕は……!」
僕は、「ヒーロー」なんだからっ……!!

同時刻Drワイリーのアジト、高自空間内『庭の庭園』にて

ドクター・ワイリーの研究ラボでは四つのジュエルシードが格納されていた。それを見つめるのはフェイトの母プレシアと、彼女の隣に立つのが悪の科学者ドクター・ワイリーである。
「いよいよだな?プレシア御婦人?」
「ええ、いよいよですわね?ワイリー博士……」
「戦闘準備が整えました。いつでも出撃可能です……」
ワイリーの後ろからシグマが報告に現れる。彼らが向かうはタケル達が住む世界……
「よし、結構……わしが指示を下すまで各員退機じゃ!」
「はっ!」
シグマはラボから去り、あとはプレシアの静かな笑い声が響き渡る。
「そう、いよいよなの……急ぎなさい?フェイト、約束の地が、アルハザードが待っているの!私の……私たちの救いの地が!!」
「クックック……ライトよ?今に見ておれ……貴様の抱く理想郷をこのわしが片ッ端から
灰にしてくれるぅ!!」
また、ワイリーは己の野望を浮かべ、不気味に笑いあげた……
「ハハハハハアッ!見ていろ?愚かな人類どもよ、この世はすべて機械が支配するのじゃ!貴様らのような愚かな生き物には後の世を継ぐ資格など無い!我がロボットたちの奴隷となるがいい……!!」
 
 

 
後書き
次回予告

イレギュラーハンターと協力し、僕は再びゼロ君達の再開する。これが最後の決戦だ!
そしてドクターワイリーとプレシアの野望とは……?

次回ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄

第九話「決戦/DECISIVE BATTLE」

「蒼霧タケルと高町なのははこれより命令違反を犯します……!」
 
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