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検索失敗の異世界録

作者:biwanosin
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プロローグ

 皆さんこんにちは。私は朱羽(あかばね) (あおい)。一応、普通に女子高通ってます。
 で、今どういう状況かと言うと・・・

「だんまり決め込みやがって、なめてんのか、アアン!?」
「こっちはダチ傷つけられてんだ!」
「なめたまねしてると殺すぞ!」

 まあ、こんな状況です。
 本当にいるんですね~、こういう人たち。
 あ、もちろん原因はこの人たちと、そこで男性特有の急所を押さえている人ですよ?私ではないです。

 これまた古臭く、四人で囲んでナンパしてきまして・・・
 生まれてからずっと女子高に通っているので、男性に囲まれて、怖くなってしまって・・・

 まあ、嘘ですけど。普通に男友達いますし。私は人見知りとかしませんし。
 そもそも、そう感じるような人は、こんな時間に出歩きません。もう二十三時過ぎてますし。
 実際には、ただ邪魔だったし、気持ち悪かったから思いっきりやっただけです。
 なにが「ちょっといい?」ですか。なにが「お金ならあるから」ですか。そんな暇とお金があるなら、親孝行でもしてきてください。

「このアマ、いつまで・・・もう我慢できねえ!ブチコロス!」

 あ~、無視してたら本格的に怒らせちゃったみたいですね・・・反省はしていませんが。
 で、なにやら懐をまさぐって・・・小型のナイフを取り出しました。
 他の人も刃物とかを取り出して・・・一人は銃ですか。
 う~ん、にしても・・・

「全然手入れされてませんね。銃はこんなところに埃が溜まっていては暴発の元ですし、ナイフも刃が飛んでいってしまいそうなほど緩んでいます」
「「「!?」」」

 これではこの子たちがかわいそうです・・・あとでちゃんと整備しましょうか。
 ひとまず、空間に穴を開けてそこにそっと置きます。

「特に銃の人は、もう少し銃について知ってから銃を持ってください。あんな古い型のでは、暴発が起こりやすいですよ。使うにしても整備にしても技術がいりますし、買ったときに安かったとしても整備もろもろを考えると他のものより高くつきます」
「あ、ああ・・・そうか・・・」

 私が急に饒舌になったことで戸惑っていますね。このままやり過ごしましょうか?

「ナイフの方々も、もう少し質がいいものを選びましょう。これは、買った人が整備してから使うこと前提のものです。素人には荷が色々な意味で重いですし、刃こぼれもしやすいです」
「分かった・・・オヤジにそう言ってみる」
「だな・・・」

 お、こちらの方々もですね。まあ、ここらで有名なお嬢様高校の制服を着たタレ目の女子が、こんなことに詳しければ当然かもしれませんね。
 でも、この高校に通っているのは、私を拾ってくれた院の方に迷惑をかけないためです。お嬢様だからじゃありません。
 トップ十人に入れば学費、その他もろもろの免除。孤児院で暮らしている私には、これが魅力的でした。

「では、私はこれで失礼します。これからはそういったことにも気を配って武器を選びましょうね?」
「「「はい」」」

 では、私はこれにて失礼・・・

「って、マテやゴラ」

 ・・・駄目ですかね?

「確かに今の話はためになった。そこに礼を言うぜ」
「そうですか。どういたしまして」
「おう。だが、そのこととそいつの件は別だ」

 そういって、リーダーっぽい人はいまだに倒れている人――――よく見たら気絶してますね。――――をあごで指します。

「そうですか・・・このまま穏便に済ませたかったんですけど」
「あんたが行動した時点で無理な話だ」
「それもそうです。では、もう少し行動するとしますか?」

 怪我人は増やしたくなかったのですが、仕方ないですね。
 とりあえず、とうせんぼうしている人を軽く、五メートルほど殴り飛ばします。

「ただし、もう意思を変えるつもりはないですよ?こうすることを選択したのは、あなたたちですから」
「アンタ、まさか・・・ガハッ」
「ちょ、待って、ゴ・・・」

 残りの二人も、衝撃を一切外に出さず、体内にとどめる方法でその場に崩れてもらいます。
 変に騒がれても困りますし。

「はあ・・・まあ、明日の話題には困りませんね。でも、もうこんな話題は何回かした気もしますし・・・」

 今年に入ってからはなかったのですが、去年は多かったんですよね。
 話すたんびに、見た目と中身が違いすぎるからね、といわれます。友達にしては酷いでしょう・・・

 確かに、多少見た目とは違う自覚はありますよ?
 このおっとりしたタレ目とか、身長も低めですし、大人しい子に見えるんでしょうね。
 ん?他にですか?特に話すことはないですよ・・・・胸も小さいですし・・・
 いいんです。きっとまだ育ちますから。まだ見込みはありますよ。これだけは譲れません。

「さて、早く買出しを終えて帰りますか。・・・おや?」

 そう言って荷物を拾い上げたところ、かばんの上に見慣れない手紙が乗っています。
 宛名は・・・『朱羽 葵殿へ』。驚くことに、私宛です。

「いまどき手紙とは・・・いえ、その前にいつ置いたのかを問うべきですかね?」

 でも、まずは買出しとその他もろもろを終えてからですね。



△▼△▼



 さて、やることも終えて自室に戻ってきましたし、例の手紙でも開けるとしますか。
 あ、でもその前に着替えないとですね。ちょっと色々ありまして、せっかく着替えた私服がボロボロです・・・仕方ない、制服でも着ておきましょう。
 さて、やっと手紙が読めます。どれどれ・・・

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
 その才能を試すことを望むならば、
 己の家族を、友人を、財産を、世界のすべてを捨て、
 我らの“箱庭”に来られたし』

 
 全然分かりませんでした。

「誰かのいたずらでしょうか・・・へ?」

 ですが、今の状況はよく分かります。上空3000メートルから落下中ですね。
 ここは、こう叫んでおくべきでしょうか・・・他にも人がいるみたいですし、第一印象は重要ですよね。
 とりあえず、スカートの前後を抑えて、中の下着が見えないようにしてから、大きく息を吸って、

「きゃあああああああああああああ!!」

 我ながら、かなりいい感じに悲鳴が出せたと思います。 
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