久遠の神話
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第五十九話 三人の戦いその七
『すぐに剣士の方全てにお伝えします』」
「あっ、貴女がそうしてくれるんだ」
『はい』
そうするというのだ。
『私としては戦いの結果、今度こそあの人が』
「今度?あの人?」
「といいますと」
『いえ』
王とスペンサーに言葉尻を掴まれたと思いその言葉を消した、そのうえで仕切りなおしてこう言ったのである。
『それでなのですが』
「うん、皆を集めてね」
「そのうえで、ですね」
『まずは今いる十二人の中から一人です』
「その一人を絞る」
「そうすることにですね」
『しましょう。私にとっても悪い話ではありません』
声は何処か期待している感じで述べた。
『それではです』
「頼むよ、全部の剣士達をね」
「集めそのうえで」
二人は声に言った、こうしてだった。
声は剣士達にそれぞれ王の提案を話した、中田もその話を聞いた。この時彼はバイクで道を走っていた、ドライブ中だったのだ。
ドライブをしつつ右手の山、左手の海と緑と青を見て楽しんでいた、その時にだったのだ。
声が来てこのことを言ってきたのだ。その言葉を聞いて。
中田はまずは声にこう返した。
「なあ、ちょっとな」
『こうした時にはというのですね』
「無粋だと思うんだけれどな、そうした話はな」
『確かにそうですね』
「まあそれでもあんたにはあんたの事情があるな」
これを察してこう言う中田だった。
「じゃあいいさ。それでか」
『今いる十二人の剣士が集まりです』
「戦えってか」
『それで決められてはどうでしょうか』
「俺も長い間戦うってのは好きじゃないしな」
中田もまた戦いは本音のところでは好んでいない、それでこう声に言ったのである。
「それじゃあな」
『それで宜しいですね』
「ああ、いいさ」
賛成だというのだ。
「けれど来ない奴もいるだろ」
『そうした方は私は強制的に離脱させますので』
強権、それを発動するというのだ。
『ご安心下さい』
「徹底してるな。っていうかな」
『というかとは』
「あんたどうしても戦いを進めたいんだな」
中田は自分のその読みを声に対して言った。
「そうなんだな」
『だとすれば何が』
「何かをするには目的があるものだろ」
中田はこの世の摂理から問うた。
「そうだろ」
『私の目的ですか』
「あんたも同じだよな、それは」
『目的はあります』
声も中田に対して答えた。
『ですから貴方達に戦ってもらいたいのです』
「だよな、やっぱり」
『戦って頂くと』
そうすればだというのだ。
『私にとって喜ばしいことになるので』
「俺達の戦いがあんたに利益をもたらすか」
『そうなります』
「そこも知りたいな。けれど言わないよなそこは」
中田は山と海から正面に顔をやって答えた、彼もこれまでのやり取りから声の性格を読んでそして言ったのである。
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