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ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄

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第六話「過去/SPAT」

僕の過去、それは忌まわしき記憶。そして僕の人生を狂わせた憎き思い出。
「どうして……皆僕を避けるの?僕は、皆と友達になりたいだけなのに……」
夕暮れ時の教室で僕は泣きながら訴えていた。
(それは無理、だってあなたは私達とは違うんだもの)
背後からその声が聞こえた、声の主はなのはだった。
「なのは……!?」
(それはお前が人間じゃないからだ……)
次は恭也さんの声だ……どうして!?
「……!?」
(この世に生きているだけで迷惑なんだから)
美由紀さんまでも……
「……」
(そうだ、お前は邪魔者だ……)
「し、士朗さん!?」
穏やかな士朗さんまで……
(消えてしまいなさい……)
桃子さん?あの優しい桃子さんも……
(怖いよ……どうして私たちと話すの?)
すずかちゃん……
(あんたなんか大っ嫌い!どっかに消えてよ!?)
アリサちゃん……
(おい、チビ野郎!)
牛島君……
(この危険分子!)
最小院君……
(この、化け物……!)
委員長!?ち、ちがう……
「ちがう……!」
(何が違うの!?)
「ぼ、ぼくは……」
僕は、頭を抱えて叫んだ。
「僕は…化け物じゃない――――!!」

ガバッ……
「……!?」
勢いよくベッドから起き上がった。汗だくになって僕は時計を見た。時刻は丁度午前二時を回ったところ……
「夢……?」
夢なのか?そう思うと僕はホッと胸をなでおろし、再び眠りに就こうとしたが、先ほどの悪夢がトラウマになって寝付くことが出来なかった。
翌朝、僕は何だか皆の前に出ることが出来なくなり、早朝から置き手紙を書いて家を出て行った。
「行こう……」
久しぶりに自転車に乗って登校する。これまではなのはと一緒にバスで通学していたから、それまでの間使わなくなっていたから周りには少し草が茂っていた。
「……」
僕は自転車で学校へ登校した。学校の正門には腕時計を目に委員長が学校へ入る生徒達に挨拶を交わしている。今までは帽子を深くかぶってしかくぐれなかった正門だが、今ではあまり必要なくなった。
「あら蒼霧君、おはよう?」
「あ、委員長……おはよう」
「ん?今日は高町さんと一緒じゃないのね?」
「うん、たまには自転車で行こうかなって……」
「そう、運動には良いわね?私も今度やってみようかしら……」
そんな委員長を通り過ぎて、玄関の下駄箱へと入った。そこには最小院君が自分の背よりも高い自分の下駄箱に悪戦苦闘していた。
「おはよう……」
「……あ、おはようございますタケル君」
「大変そうだね……?」
「ええ……あ、お構いなく!最近跳力が上がったので大丈夫です」
「え、うん……」
最少院君は、自力で上履きを取ろうと頑張っている、ここは彼の言葉通りにしてあげた方がいいかもしれない……
「……」
玄関を通り過ぎ、次は廊下だ。隣の職員室からは育田先生が出てきた。
「お!タケル君?今日は何時もより早いね」
「先生……」
「どうした?今日は少し元気がなさそうだな?」
「いえ、今日は何時もより早めに来たから少し眠くて……」
「そうか?だが、私の授業で居眠りはご法度だぞ?ハッハッハ」
そういって出席簿を小脇に抱えて先生は別の部屋へ向かった。僕も教室へ向かおう。
ガラガラと戸を開けて教室の片隅にある自分の席へ座りこみ、頬杖をつきながら外から見える校庭を見下ろしていた。
「よ!タケル?」
「牛島君?」
気軽に僕へ歩み寄って来たのは同級生で委員長の部下である牛島君だ。
「今日は早いな?あのチビとは一緒じゃないのか?」
「ああ、なのはのこと?」
「いつもは一緒にバスで通学するじゃないか?喧嘩でもしたのか?」
「ううん?今日は久しぶりに自転車で来たんだ」
「へぇ?自転車か……」
それから彼と会話をいくつか交わした後、朝のホームルームが始まって授業が始まる。
僕は頬杖をし続けながらそれを受けた。先生の授業を聞いて、午後になった。給食を済ませた昼休みは特にやることもなく、机に伏せ続けていたが、
「蒼霧君?」
「……?」
目を覚まして顔を上げると、そこには仁王立ちしてこちらを見下ろす委員長が居た。
「どうしたのよ?そんなだらしない姿は?」
「別に……ちょっと今日は憂鬱なんだよ」
昨日の夢を見たから僕は憂鬱と受け止め、それを理由に答えた。
「そう?でも、そうやってダラダラしていたら午後の授業もまともに受けられないわよ?ほら、廊下でも歩いて校内を散歩してきなさい?」
委員長の言うことも一理ある。僕はゆっくりと机から立ち上がって。校内を散歩した。
歩き終えた後は屋上でのんびり日向ぼっこでもしようかな?
「……いい加減にしなさいよ!?」
すると、三年生の教室からどなり声が聞こえた。驚いて教室を見ると、そこにはアリサちゃんがなのはの机を叩いて喧嘩していた。彼女は一言か二言ぐらい言うと教室から出て行った。すると、彼女は僕と眼が合ってしまう。
「タケル!?」
「っ……?」
やはり、今朝バスで顔を見合せなかったことで怒っているんだろう。
「どうして今日バスに居なかったのよ?心配したのよ!?」
「ご、ごめん……その、自転車で登校したかったから。あの……」
僕は先ほどのことを尋ねた。
「なによ?」
「……なのはと何かあったの?」
「ほっといてよ!」
アリサちゃんはそう言うと何処かへ言ってしまった。たぶんなのはも起こっているだろうな?彼女よりかはカンカンじゃないといいけど……
「あ、タケル君?」
「すずかちゃん……」
アリサの後を追ってすずかちゃんと会った。アリサちゃんのことが心配で後を付けるんだろう。
「喧嘩……?」
僕がそう尋ねると、彼女は頷いた。
「ちょっとね?」
「アリサちゃんって、怒ると怖いな……」
僕はそう言うと、すずかちゃんも苦笑いして、
「まぁね?でも、アリサちゃんはああ見えてとても優しいよ?初めて会った時と比べて」
「初めて会った時……?」
「あのね?アリサちゃんと初めて会った時、私はアリサちゃんに意地悪されていたの」
「……」
僕は黙って彼女の過去を聞いた。
「そこをなのはちゃんが来てくれてアリサちゃんと仲良くできるようなったんだよ?」
「そうなんだ……あ、そのさ?なのはのことなんだけど」
「なのはちゃんの?」
僕は言いづらくも、彼女に尋ねた。
「あの、なのはどうしてた……?今朝僕が黙って学校へ行ったから怒ってる?」
「あ、そのこと?心配していたけど怒っていなかったよ?」
「そ、そうなの……」
僕は胸をなでおろして後でなのはに謝ることにした。
「あ、タケル君!」
「……?」
後ろから最少院君が呼びに来た。
「どうしたの?」
「委員長が君に話があるようですのですぐ来てください」
「え、委員長が?それじゃあすずかちゃん、僕行くから……」
「う、うん……」
僕は委員長に呼び出されて教室へと戻った。
「なに?委員長……」
僕は少し不安になっていた。委員長が僕を呼び出すと言えば大抵注意だろう。けど、最近僕はあまり委員長の目につけられるようなことはしていないけどな?
「あら、来たわね?じゃあ早速本題に入るわよ」
そういうと委員長は牛島君と最少院君を集わせて本題を発した。僕はそれを聞いて驚いてしまった。なぜなら……
「ロックマンX捜索!?」
僕が思わず声を上げてしまった。
「あら、知っているの?それなら話が早いわ」
「で、でもどうしていきなり?」
僕が訳を問う。もし正体がばれたらとんでもないことになる。もしかして、僕もそれに加わるんじゃないだろうな?
「そこで、あなたにもメンバーの仲間入りに加えようと思っているの」
「えぇ!?」
僕は全否定したい。けど、断れば委員長のことだから強行手段に乗り出すだろう……
「あら?もしかして御誘いを断るつもりなの?」
「だ、だってぇ……」
僕は何か正当な理由を思いつこうとするが、咄嗟に良い案が思いつかない!
「これはスクープなのよ!?私はあの時以来、ロックマンX様のことが忘れられないのよ!」
委員長は自分の世界に入って目を輝かせている。
「そ、そうなの……」
僕は苦笑いをしてどうしたらいいのか戸惑い始める。
「え、えぇっと……」
「どうしたのよ?はっきり言いなさい」
「そ、そのさ?集合時間は何時?」
「今夜の九時よ?」
「……あ、それなら僕はちょっと……」
「どうしてよ?」
「そ、その……夜更かしすると、朝起きるのが……」
「ああ、そういえばあなたって夜更かしが苦手なのね?なら、連れ出して明日遅刻したら困るし、ならあなたは来なくていいわ?」
僕はそれを聞いてホッとした。だけど、今夜三人が外を出回るというのだから下手に野外で変身はできそうにないな……
学校が終わって僕は自転車で自宅へ帰った。なのはは先に帰ったようで、僕も急いで帰り、彼女に一言詫びよう……
「なのは?僕だけど……」
帰宅後、僕は自室にランドセルを置くと真っ先になのはのもとへ向かった。
「タケル君?どうぞ」
「おじゃまします……」
僕は不安な顔でなのはの顔を窺った。なのははおやつのたい焼きを食べているようで、お食事中申し訳ないけど、僕は一先ず謝った。
「今朝はごめん……先に行っちゃったりして」
「心配したよ?」
「ごめん……」
「いいよ、それよりたい焼きがあるから一緒に食べよ?」
「う、うん……」
機嫌を直してくれて、僕は安心したが……
「……!?」
突然、この場が歪んで見えた。赤紫に歪むなのはの部屋、僕は目を丸くし彼女を見ると、
(嘘つき……)
「!?」
どこからともなく……いや、その声はなのはから聞こえてきた。そんな!?最近聞こえなくなってきたと思ったのに……!?
(この嘘つき……そして、化け物!)
「……!?」
僕は頭を抱えてこの場から逃げ去った。
「た、タケル君!?」
僕の後をなのはが追う。僕は外へ飛び出し、とにかく逃げ回った。
「ど、どうして……どうして聞こえるんだ!?」
僕はその事態に苦しみながら疾走した。

夕暮れ、聳え立つマンションの一室にはソファーに座るアルフが居た。見た限り食事中である。
「うん♪こっちの世界の料理は美味しいね!」
食べているのはゼロの手料理。最初はドックフードの味を占めていたが、ゼロの作る料理の方が倍も味占めた要であり、同居の条件として食事当番はゼロの役目である。
「ったく、どれだけ食うつもりだ……?」
あきれ顔でゼロはどんぶりを持ってきた。テーブルには、何十枚もの茶碗や皿が積み重なっている。今アルフが平らげたのは天丼、カツ丼、親子丼、ピザにハンバーグとステーキ、さらにはパンケーキ六枚とデザートにパフェ五杯も……
「いいじゃん♪住まわせてやっているんだからこれだけはしてもらわないとねぇ?」
「俺の部屋を荒らしまわっておきながら何を……」
手を震わせながらゼロは歯を噛みしめた。
「あ、それよりもフェイトは食べた?」
と、アルフは寝室に居るフェイトのことを尋ねた。先ほどゼロが料理を運んでから姿を見せない。
「まだ見ていない。何せ、お前の飯の相手をするのに見る暇がなかったからな……?」
「し、仕方ないじゃん!使い魔ってのは結構大量にエネルギーを消耗するんだから……」
「どれ、様子を見てくるか……」
「あ、あたしも行く!」
ゼロに続きアルフも付いていく。ゼロはフェイトの部屋のドアをノックした。
「俺だ、入るぞ……?」
ゼロは応答の無いフェイトの寝室へ入った。ベッドの棚にはゼロがトレーに乗せた料理があったが、フェイトは何も手を付けてないように見える。
「また……食っていないのか?」
無表情な顔から出すゼロの言葉でも、口調はやや心配していた。
「そうだよ?コイツはブッキラ棒で仏頂面だけど作るもんは美味しいよ?」
「お前は黙っていろ、アルフ……!」
一言余計だとゼロは言うと、横たわるフェイトのベッドの隣に腰を下ろした。
「フェイト、お前は最近秘密だと言って本部へ直接連絡しに行くようだが?」
「……」
だが、ゼロがそれを言った直後、フェイトやアルフまでも黙り込んだ。
「何かあるのか……?」
「別に関係ないよ……お母さんのもとへ会いに行って来ているだけだから」
そういうとフェイトは背を向けて起き上がった。だが、その背にはわずかながら叩きつけられたような、線状の傷が数か所見えた。それをゼロは見る。
「……?」
「さて、行こうか?ゼロ、アルフ……」
「フェイト……」
ゼロはフェイトを見て不安に思った。もしや、自分の居ないところで彼女がなにか傷ついているのだろうか?
「フェイト、今回限りは俺に任務を譲れ……」
「え…?」
「その様子では任務へ参加できるような状態ではない。戦士たるもの、空腹でなくても飯は食えるときにくっておかないといけない。俺が言っている間お前は飯を食っていろ……アルフを連れていくがいいか?」
「ぜ、ゼロ!大丈夫だよ?私、平気だから……」
しかり、フェイトは無理にでもベッドから起き上がって任務に参加する。
「ふぇ、フェイト?今回ばかりは私ゼロ坊やと一緒に回収へ行ってもいいよ?だってあんた……」
「アルフ……」
「い、いや!でもさ?私はフェイトの使い魔だから、フェイトに従わないといけないけど……」
「でも、アルフその手にあるのは……」
すると、いつのまにか、アルフは片手にゼロの作ったパンケーキを手にしていた。無意識に持ってきたのだろう。
「お前……」
ゼロも流石にアルフの食い意地には呆れた。
「あ、いや…これはその……」
「食べ終わってから行こう?ゼロもそれまで待っていてくれる?」
「ああ……だが、フェイト?」
「なにゼロ?」
「……危なくなったら、すぐに俺の後ろへ隠れろ?」
そういうとゼロは先に部屋を出て行った。

「タケル君!?」
なのははタケルの名を呼びながら彼の捜索に当たっていた。心配をかけてはいけないので家族には理由を付けて外出した。
「どこなの……?」
なのははどうしてタケルがいつもああやって疾走してしまうのかをこれまで考えていた。それはひょっとしたら自分に責任があるのではないかと思っている。
「もしかして……わたしのせいかな?」
「なのは!今は早くタケル君を探そう?モデルXが現在位置を送ってくれている。場所はここからそう遠くは無い」
彼女の方からユーノがそう言う。なのはは必死で夜の町中を探し回った。
「あら?あなたは蒼霧君と居た三年生の……」
すると、彼女の背後から三人の上級生、委員長達がなのはと出会った。
「あ、五年生の委員長さん?」
なのはも時折タケルから愚痴を聞かされるので委員長ら三人のことは聞かされていた。
「どうしたの?下級生がこんな夜遅くに出歩くのは危険だわ?」
「あの、タケル君を探していて……」
「蒼霧君を?」
「はい、急に走って家を出て行ったんです。だから探して……」
「そう……あの子、まだ治っていないんだ」
委員長はタケルが抱えた発作や疾走のことを思い出した。最近はあまり起こらなかったから安心していたものの、今になって発生したとなると、彼のことが不安に思った。
「全く迷惑かけるわね?X様の捜索は、今日は中止。私たちが蒼霧君を探しに行くわ?あなたは自宅へ帰っていなさい?行くわよ!ゴン太、キザマロ?」
「「はい!」」
三人は凄い勢いでタケルの捜索を手伝ってくれた。なのはなそれを見て苦笑いした。
時を同じくして、町のビルの屋上からフェイト達はジュエルシードの捜索に当たっていた。
「こうもゴミゴミしていちゃあ探すのも一苦労だわね?」
と、アルフ。町中を行きかう大勢の人ごみの中からジュエルシードを見つけるとはかなり難しい。するとフェイトが。
「ちょっと乱暴かもしれないけど、周辺に魔力龍を打ちこんで強制発動させるよ?」
フェイトがバルディッシュを掲げてそう言った。
「ああ、待って?それ私がやる」
アルフがそう言い出た。しかし、この魔術は結構なエネルギーを消費するためフェイトはあまり勧めない顔だった。
「でも、大丈夫?結構疲れるよ」
「フェイト、アルフにやらしてやれ……」
「ゼロ……」
ゼロもアルフと同じようにこれ以上彼女に負担をかけさせたくないと思っている。
「それじゃあ……お願い」
フェイトはお言葉に甘えてアルフにその役を譲った。
「それじゃあ……!」
突如アルフの周りから魔法陣が展開され、三人が居る屋上から光の柱が上空へ向けて放たれた。すると、町の上空は巨大な雲に覆われ激しい稲妻に見舞われた。
「な、なに!?」
一方のなのはは突然の事態に上空を見上げる。
「まさか!こんな町中で強制発動!?防御結界…間に合えぇ!」
ユーノは飛び出して結界を展開した。
「レイジングハート、お願い!」
つかさずなのはもレイジングハートを掲げて魔導士へと変身した。
「なのは!発動したジュエルシードが見える!?」
ユーノはなのはにジュエルシードの位置を尋ねた。彼女の目の前には巨大な光の柱が空を突き刺している。
「うん、すぐ近くだよ!?」
「たぶんあの子たちも近くに居るんだ!あの子たちよりも早く封印して!?」
「わかった!」
レイジングハートはジュエルシードへ向け閃光を放つが。同時にもう一つの閃光と衝突し、ジュエルシードを取り合う形になった。しかし、そんな彼女の背後から、
「そうはさせん……!」
「!?」
Zセイバーを掲げてゼロが切りかかって来たのだ。
「紅いロックマン!?」
タケルが居ない今、なのはは封印以外は無防備であった。しかし、
「エックスバスター!」
「!?」
突如、斬りかかって来たゼロに数発のチャージショットが放たれた。
「チッ……!」
ゼロはなのはから距離を取ってそのバスターをギリギリのところで回避する。
「タケル君!」
間一髪のところでタケルが来てくれたので助かった。
「遅れてごめん!なのは、この子は僕に任せて君は早くジュエルシードを!?」
「う、うん!……リリカルマジカル…!」なのは
「ジュエルシード、シリアル19!」フェイト
「封…」なのは
「印!」フェイト
レイジングハートとバルディッシュは主の台詞に寄って光を放ち、激しく衝突しあうが、ジュエルシードに届いた光は同時、光が消えてジュエルシードは誰の手にも渡らず宙へ浮かんだままだった。
「ご、互角!?」
戦闘中、僕とゼロは宙に浮かぶジュエルシードを目に戦い合う体が止まり、それを見つめた。なのはもまたそれを見つめて何かを思った。昔の過去である。自分がアリサとすずかに出会ったあの頃の記憶……
そして、タケルもその光景を目に何かを思った……
「……母さん」

「お母さん、どうして僕を見て泣くの?」
幼いころ、彼は自宅で自分を見つめては涙する母親を見つめていた。母親は彼を見ては何時も涙を流している。その出来事は半年前にさかのぼる……
「囚人とはいえ生身の人間を強化アーマーの実験台にしたことで死なせてしまった……私のせいだ!」
そして、毎晩食卓で両親が悔しがりながら言い合っていた。
「仕方ないわ?主任が強制的に実行に移したのだもの、あなたに責任は無いわ?」
「だが、あの引き金を引いたのは私の指だ……もう、これ以上のこのプロジェクトは行えない……なのに主任はっ!」
「……生身の人間のDNAにバイオ技術を組み合わせて超人に改造させる次の新プロジェクト、これも残忍な実験ね」
「それも実験対象は子供だっていうじゃないか!?主任は正気なのか……?」
彼らの主任は政府とつながりがあり、どのような実験を行おうとも繋がった政府に寄って自分だけは逃げのびることはできなのである。
「実験対象者は体に障害をもった未成年。動脈にバイオDNAを注入させて超人化させる。暴走に備えて起爆ベルトを着用……実験とはいえこれ以上人の命を奪いたくない!」
そして数日後、僕は交通事故にあって下半身が半死状態に陥った。今まで実験対象を見つけることが出来なかった両親に対して主任は、
「おたくの子を実験台へ使いたまえ?」
「無茶を言うな!そんなことが出来るわけ……」
「他人の子には出来て自分の子にはできないというのかね?」
「主任、私たちはこの計画から降りさせて頂きます!」
「いいのかね?私の命令を聞かなかったらこの真相を夜のマスコミ共に公表するぞ?」
「そ、そんな……!?」
「そうなったらもう君達親子はもう二度と表に出ることはできないねぇ?」
「……」
「するんだ!さもなくば今までの実験による真相を私なりに公表するぞ?」
「ぐ、うぅ……!?」
そして……
「父さん!?母さん!?なにするの……?僕、注射は苦手だよ?」
「タケル……許してくれ!?」
「ごめんね、タケルちゃん……!」
「い、いやだ!嫌だよ!?父さんやめてえぇ!!」
僕の動脈にその注射は打たれた……そして、
「化け物……!」
「化け物!」
「化け物め……」
「哀れな化け物だ……」

「……!?」
回想から覚め、僕は今一度中に浮かぶジュエルシードを見つめた。
あのときから、僕は変わった。いや、狂わされた。両親の実験台にされ、僕は超人的身体能力を有するDNAを埋め込まれた。しかし、実験は僕の下半身を回復させるまでしか至らず、実験は失敗。両親は一時喜んだけど、僕の体には完全に影響は無いとは言い切れなかった。何か起こると、感情が爆発すれば、間ありにいた人が傷つき、傷を負って泣いていた。僕は感情を抑えきれなくなると超人的力が発動され、周囲に迷惑が及ぶ体質になってしまったのだ。それが原因で僕は化け物扱い、両親もそれを知り嘆いた……
「……あ、なのは!早くそれを……」
僕がそう言うが、背後から僕へゼロが切りかかってくる。
「そうはさせんぞ!」
「くぅ……!?」
僕は再びゼロの攻撃を受けることになった。なのはも我に返り、ジュエルシードを見るが、既にジュエルシードのそばにはフェイトが浮遊していた。そんなフェイトになのはは名乗った。
「(ぶつかり合うのは当然、だけど……)私は、なのは!高町なのは!」
「……」
しかし、フェイトはバルディッシュを彼女へ向ける。寂しい目をして……
フェイトはバルディッシュを掲げて彼女に襲いかかる。そして、ゼロは、
「蒼いロックマン、お前の名は何と言う……?」
「……?」
「名乗れ、蒼いロックマン……」
ゼロはセイバーを向けて僕に名乗るよう言い放った。
「……タケル、蒼霧タケル!」
そんなゼロの目は孤独で寂しそうだった。感情を無理にでも抑えて、剣を握る。その寂しさはまるで一昔の僕と重なった。
「そうか……タケル、ジュエルシードを求め会うため、勝負!」
「……!」
僕とゼロ、そしてなのはとフェイトは激しくぶつかり合った。
僕のバスターとゼロの刃が衝突し、激しい音を上げる。
「フェイトちゃん!」
上空で戦う会う二人の少女の内なのはは相手のフェイトへそう問う。
「……!?」
名を呼ばれ、フェイトは目を見開く。
「話しあうだけじゃ、言葉だけじゃ何も伝わらないって言ってたけど……だけど、話さないと、言葉にしないと伝わらないことだってきっとあるよ!?」
「……」
「ぶつかり合ったり競い合ったりするのは仕方ないけど、何も知らないでぶつかる会うのは私嫌だ!」
そのなのはの悲しげな瞳がフェイトに伝わる。そしてロックマン側のほうにも、
「やめてくれ!ゼロ君、僕は君と戦いたくないんだ!!」
「甘いぞ?タケルとやら……和解などで戦いにケリがつくとでも思ってか!?」
彼の高速な剣さばきを交わしながらも、僕はバスターを放たず説得を続ける。
「何故だ……何故反撃しん!?」
「したくないから!君と戦いたくないからだよ!?」
「馬鹿にして……!」
「違うっ!」
そうして僕はあの時のように彼の持つセイバーの握り手を受け止めて彼の動きを止めた。
「離せ……!」
また僕の脇腹に蹴りが入るが、それでも僕はひるまなかった。それを見てゼロは目が驚く。
「……ゼロ君、確かに君が言う通り戦いの中に和解なんて出来ないかもれない。けど……だけど!何もしないままむやみに戦い続けてしまえば、いつしか誰かが傷つき、大切な人だって失ってしまうかもしれない!!」
「……!!??」
タケルの言葉を耳に彼が思い抱いたのは守れずに失った幼馴染の顔だった。
「ゼロ君……僕は、「ヒーロー」が嫌いだった……」
「……?」
「大勢の人の命を奪って自国で英雄と称えられるヒーローが憎かった。だから偶然ロックマンになってヒーローになったとき、僕は怖くなった。イレギュラー化したジュエルシードを集めるのだって最初のちょっとした勢いだけだった。けど、今は違う!自分の意思でロックマンになって皆のために戦っている!誰かが目の前で傷つくのは嫌だから、大切な人達を守りたいから、僕は……誰も傷つけず、皆を救うヒーローになると決めてロックマンの道を選んだんだ!」
「……」
ゼロは決意の固いタケルの目と気迫に圧倒されそうになった。彼は命に代えてまで他者を全て守り通す、誰かのために戦いたいという強い正義感に満ち溢れていた。
それなのに、自分は守るものを失い、ただ命令のためだけに感情を押し殺して戦い、目の前の存在を破壊し続けてきた。
「お、俺は……!」
「フェイト!ゼロ!惑わされるんじゃないよ!?」
「「……!?」」
その声を挟んできたのはアルフであった。
「コイツらは生温かい家庭で恵まれながら育ったガキ達だ。あんた達のことなんざ何一つわかっちゃいないんだよ!?フェイト、早くジュエルシードを!?」
「……!?」
アルフの声に動かされ、フェイトはなのはの戦闘から引いてジェルシードへ急降下した。
なのはもまたジュエルシードへ向かって突っ込むも、お互いの杖がジュエルシードを挟んでぶつかりあったのだ。
「え……!?」
「どういう……!?」
ユーノとアルフはその光景を目に驚き、
「同時だと……!?」
「なのは……!」
タケルとゼロもその光景を見た。しかし変化は起きた。レイジングハート、バルディッシュはお互いの身に罅が割れ、巨大な光りが地響きを上げて辺り一帯を大きく包んだ……
 
 

 
後書き
次回予告

ついに明かされるジュエルシードの秘密!そして、現れる真の黒幕の正体……

次回ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄
第七話「ドクター・ワイリー/Dr・W」

「……渡り合いたい人がいるんです」
 
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